「それは、あなたが悪い!」
2日後、再び東国原杏が何でも屋を訪れた。
鬼塚は東国原杏に伊万里が代わりに先輩に謝罪をしに行く事を伝えると
「一つお伺いしてもよろしいですか?東国原さん、そのアルバイト先の先輩と何があったんですか?」
「はい」
そう鬼塚に聞かれた東国原杏は、気まずそうに話した。
東国原杏はアルバイト初日、先輩の押井クミがミスをした際、笑いながら上司に言われた事を言った。それ以来、東国原杏は押井クミを上から目線で言うようになった。また、押井クミも東国原杏から距離を置くようになってしまった。
そんな2人の関係を更に悪化するような出来事が起こった。
その日、押井クミは店内に落ちてた財布を店長が不在のため、社員に報告し、社員は落とし物の財布を事務所へ持って行ったが、5分後、「お財布を落とした」という高齢の女性が東国原杏に聞いた。押井クミが社員に財布を渡した所を見た東国原杏は、押井クミに八つ当たりをするように財布の場所を聞いた。押井クミは少しドン引きしたが、社員に報告して事務所に預けた事を伝え、結局、事務所で預かった財布は持ち主の高齢の女性へ渡す事ができた。
財布の事があってから押井クミは東国原杏を無視するようになってしまった。
「東国原さん、一言よろしいですか?」
鬼塚はそう言うと東国原杏は
「はい」
と少し訳がわからないといった態度で答えた。
「それは、あなたが悪いです!100%あなたが悪いです!」
鬼塚は怒鳴った。
「ちょっと鬼塚さん!」
伊万里は止めようとしたが、横から本郷が制止した。
「そんな事されたら口聞いてもらえないのは当たり前です。人のミスを笑う⁉︎怒りをぶちまけるように人に聞く⁉︎態度悪かったんですね!アルバイト先で!先輩もさぞ不愉快な思いをした事でしょう。申し訳ありませんが、この依頼はお受けできません!」
「え…お願いします!私反省しますから!」
東国原杏は泣きながら訴えた。
「いいえ。お帰りください」
鬼塚は静かに言った。
東国原杏は子供のように泣きながら何でも屋を出て行った。
「鬼塚さん、考え直してください!最後までやりましょう!東国原さん、かなり真剣でしたし」
伊万里は言った。
「鬼塚さん〜!今回はやり過ぎですよ〜!」
一華は言った。
「そんなに言うなら君らでやれば?僕は知らない。ちょっとコンビニ行ってくる」
そう言うと鬼塚は何でも屋を出て行った。
伊万里は、唖然として鬼塚が去って行くのを見る事しか出来なかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます