第5話 幽霊の正体
私は、一体何が起こっているのか理解出来なかった。紗英は恐怖で腰が抜け、床に座り込んでしまっている。
間も無く、エントランスの方から黒いスーツを来た体格のいい中年男性数人が近寄ってくる。
「あぁ?ガキがまた忍び込みやがったか?最近のガキは調子に乗りすぎて可愛げがないわ!」
「てめえら!何しにここに来やがった⁉︎」
私は、やっと状況が理解できた。
この人たちは、いわゆるヤクザだ。
この場所は、ヤクザが取引の現場として使っていたのだ。
私は、紗英を引きずって奥へ逃げようとした。
しかし、男たちはみるみるうちに目の前まで迫ってくる。
私は、紗英の手をギュッと握りしめた。
次の瞬間、
「お前ら!そこで何をやっている⁉︎」
今度は何が起きたかハッキリ分かった。
警察が大勢入って来たのである。
外はパトカーの赤いランプによって、一面明るく照らされていた。
「やべえ!サツだ!逃げろ!」
私たちに向かっていた数人のヤクザは、蜘蛛の子を散らした様に逃げていき、警官がそれを追いかけて行く。
「美咲ぃ…美咲ぃ…。」
隣で紗英がわんわん泣いている。
私も肩の力がグッと抜け、紗英に寄りかかって座り込んでいた。
「ギリギリ間に合ったね。」
影薄丸はと言うと、あっけらかんな顔をして、そう答えた。
『一体、どう言う事なの⁉︎』
「うーん…説明はまた来週、学校で…かな。ってか、今晩はお巡りさんが許してくれなさそう。」
と言い終えるや、私たちは警察に保護された。
家に帰ると、案の定、家族からこっぴどく叱られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます