どうしようもない人生の袋小路に落ちてしまった人(もしくは、人たち)のお話。
分量にしてわずか1,000文字、シンプルながらも重たい現代ものの掌編です。
ある種の悲劇というか、どうにもならない現実を描いたワンシーン。
本当に誰もなにも得していないのが切なく重苦しい……。
こういうのは結局なるようにしかならない、というか、起こってしまった悲劇に後付けで「たら・れば」の話をするようで詮無いのですけれど。
それでも、どうしても「それでもどうにかして止められなかったのか」と、そう思わされちゃうところがなんともやりきれなくて好きです。
前半と後半で視点保持者がわかれており、それぞれの立場からいろいろ考えてしまうのが楽しい作品でした。