第15話腹立つ姉

「なぁー姉貴、そろそろ行き先くらい教えろよー」

「着いてからのお楽しみだよ、お楽しみぃ〜!あんたを楽しませてやる、だから黙って乗ってろ」

「何がだからなんだよッ!ったくよー……ってか、後ろの荷物なんだよ。アレは」

後部座席を埋め尽くす大量の紙袋を一瞥しながら、訊く俺。

「内緒ぅ〜!いつも詰まらなそうな面してるあんたに欠落した感情を取り戻させようってねぇ〜」

「はんっ、余計なお世話だってぇの。男子ヤロウのケツばっか追っかけるくらいしか楽しみがねぇクセして」

俺は鼻で笑い、皮肉を姉にぶつける。

「言うねぇ〜克貴ぃ。あの娘と別れてずいぶんとやせグレたねぇ〜あんた……未練たらたらってかぁ〜?」

姉の挑発に下唇を噛み、低く唸る俺。

「ぐぅっ……んなんじゃねぇっ!未練、なんてねぇよ」

「あれあれあれぇ〜おかしな間があったなぁ〜図星なんじゃ〜ぁんっ、あんた!」

「ぐぐぅっ……シめてやりたい」

「ほぉ〜ヤレるもんならやってみんしゃいよぅ〜克貴ぃ。ほれほれほれぇ〜」

からかいがすぎるな、ほんとに姉貴ってやつは。


もうーほんと最悪……姉貴の弟に生まれて。

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