第14話ヒマだからって…付き合わされるのは勘弁だっての

ヨレヨレのグレーのスウェットを着た姉が欠伸をしながら、本日の予定を訊いてきた。

「ふぁー……今日って出掛けんの、あんたって?何もなかったら付き合ってくんない」

「あぁー、何もねぇ。入れときゃよかった、なんか。ったぁ〜ッ!なんでやられなきゃなんねぇんだよ、姉貴ッ」

正面に座っていた姉がわずかに腰を浮かせ、前のめりになって俺の肩をゴツっと、ど突いてきた。

「あんたが生意気な態度取ってんからだよ。付き合うか、付き合わねえのかどっちだ?あァんッ!」

「付き合わされる内容による。トリッキーなのじゃ、ねぇよな……?」

「トリッキーだぁ?いつトリッキーなのに付き合わせたよ、あんたに」

「自覚ねぇのかよッ!だから周りから浮くんだよ、姉貴はよぉ」

「弟をもつ姉ってこんなんじゃない?えぇー……」

自覚なしほど怖いものはない。

姉は納得していないようで、首を捻って唸る。

「容姿はそれなりにイケてるのに、残念だよなぁー姉貴このひと

「そんな致命的な感じ?えぇー傷付くぅー……」

「めんど。わぁーったよ、付き合う。姉貴に付き合う、だから内容言えって」

「さんきゅー、克貴ぃ。じゃっ、行こっか。時間は有限だしっ!」

軽いお礼を返し、俺の隣まで歩んできたかと思えばひょいっと手首を引っ掴み、リビングを出ていこうとする姉だった。

「ちょちょちょちょいぃっ!待て待て待てぇーッ!まだ着替えてねぇんだぞ、俺っ!」

「あーぁっ悪い悪い、先走り過ぎた。着替えて来な」

「ったく……」

階段を上がっている最中に、姉を振り返ると微笑みながら片手を上げヒラヒラと振っていた。


なんて厄介な姉をもったんだ、と嘆きたくなった。

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