第20話 ザボギア攻略戦ー②

―――アドルフとファルケ

   アドルフとファルケは次々に兵を倒していき、ほかの隊と同じぐらい城壁に空間ができていた。するとそこにアルメヒティヒが現れ、サボジオ軍の動きが止まった。それを見てアドルフが

「お前なにもんだ?」と聞くとアルメヒティヒは

「僕はアルメヒティヒだ。サボジオ軍最高司令官を任されている。」と答えた。それを聞いてアドルフは

「お前は深緑隊の突撃で戦死したと聞いたが、あれは偽物だったのか。それかお前が偽物か?」と聞くとアルメヒティヒが

「僕が本物が偽物か実際に戦ってみせるよ。」といい槍を構えた。そして槍でアドルフを突いてきた。それをアドルフは躱して

「速いな。」と言った。確かにアルメヒティヒの突きは恐ろしく速かった。だがアルメヒティヒは不服そうに

「僕のこの攻撃が躱せるとはやるね。」と言った。そしてアルメヒティヒは、もう一度槍で突き、今度は躱した方向に槍の反対で殴ったがそれもアドルフは躱した。だがアルメヒティヒの攻撃はこれで終わりではなく、槍の持ち手の先の方を外して切ってきた。それをアドルフがすれすれで躱すとアルメヒティヒは

「今のも躱すか、驚いたね。」と言う。そしてアドルフは

「今のでお前の全部か?」と聞くとアルメヒティヒが

「君も躱すのが限界じゃないか。」といいまた槍で突いた。するとアルメヒティヒの槍がアドルフを逸れていった。アルメヒティヒが一瞬動揺するとアドルフが、足をかけながら後頭部を殴って地面に叩きつけた。アルメヒティヒが鼻血を出しながら立つとアドルフは

「今ので立てんのか。まあまあやるな。」と言う。するとアルメヒティヒは勝てないことを悟って、ファルケ目掛けて槍を投げた。だがなぜか、投げた槍が自分の腹に刺さっていた。この時アドルフは、アルメヒティヒがファルケに投げた槍を受け止めて、逆に投げ返していたのだ。アルメヒティヒがその場で膝をつき血を吐くと、アドルフが

「お前は一番やっちゃいけないことをした。」といい首をはねた。アルメヒティヒが打たれた瞬間に敵兵が一気にアドルフに攻めかかった。ファルケとアドルフでその兵士たちを倒しながらアドルフは、

「ファルケ油断すんなよ。こいつら前の戦いの生き残りだ。」と言った。この兵士たちは前の戦いで多くの仲間を失い、自分たちも死ぬ気でかかってきた。だからほかの兵士よりも士気が高く、明らかに強かった。


―――深緑隊

   深緑隊も、弓兵も城壁に乗り込んで戦っていくと、前のほうで戦っていた兵士が一気に倒れていった。そこにはアングリフの姿があった。その存在に最初に気づいたのがアウゲだった。アウゲは大声で

「アングリフが来たぞー!前の兵士は下がれ!」というとすぐにほかの3人も集まった。するとキューンハイトが

「お前らがんばれよ!」といい反対の敵を倒しに行った。4人はアングリフを囲んでゼーンズフトが

「あの時の借りを返す時が来たようだな。ここで貴様を倒し」といっている途中でアングリフが

「うるせえ。俺は早く黒狼隊のとこに行かねえといけねえんだ、邪魔すんな。」といい剣を抜いた。そしてゼーンズフトが4人に

「いくぞ!」というと一斉に攻めかかった。


   それは一瞬の出来事だった。ゼーンズフトが切りかかると、アングリフに剣で払われた瞬間に、同時に槍で攻撃していたドルフが切られていた。ゼーンズフトは一瞬何が起こったかわからなかった。そしてゼンティメントとアウゲが放った矢がアングリフに届く直前で、アングリフの投げていた剣がアウゲに刺さっていた。ゼーンズフトがそれを見て

「ゼンティメント逃げろ!」といい、もういちど間合いを詰めようとしたが、先に間合いを詰められてゼーンズフトが切られた。そしてゼンティメントが弓をもう一度構えようとしたとき、すでにゼンティメントの腹に剣が刺さっていた。この4人はわずか5秒ほどの時間で討たれた。すると後ろからキューンハイトが大剣で切りかかるがアングリフはそれを躱した。そしてキューンハイトが

「よくも俺の仲間を!」といいもう一度切りかかると、それをアングリフは双剣で受けた。その時、アングリフの剣にひびが入り、アングリフは間合いを取った。そしてアングリフは

「お前が深緑隊のキューンハイトか?噂より速いな。」というと、キューンハイトがそれを無視して大剣で切りかかる。アングリフはすべての攻撃を躱していたが、しばらくするとそれを後悔する。アングリフはキューンハイトの攻撃を見切るために、攻撃を躱していたがキューンハイトはどんどん速くなっていった。しばらくするとアングリフも避けるので必死になった。アングリフは徐々にキューンハイトの動きについていけなくなり、ついにキューンハイトの蹴りが当たりアングリフはぶっ飛んで壁にぶつかった。そこにキューンハイトが大剣を振り下ろす。アングリフはとっさに剣で防御するが、キューンハイトの大剣は剣ごとアングリフを切った。キューンハイトはアングリフを倒してすぐに自ら分隊長の4人を抱えて城外へと降りて行き、すぐに救護隊のところに連れて行った。


   救護隊の隊長のレッフェルンが負傷した兵士たちを診ていると、キューンハイトが焦った様子で

「お前確か黒狼隊のやつだな。頼むこいつらを早く診てやってくれ!」といい4人を見せるとレッフェルンは

「残念だけど無理だね。」というとキューンハイトが

「なんだと!こいつらは死にかけてるんだぞ!。」と返すと

「もうその人たち死んでるよ。」と答えた。それを聞いてキューンハイトは動揺しながら

「嘘だろ?先に自分の隊のやつらを見たいからそんなこと言ってるんだろ?」と聞くがレッフェルンは

「認めたくないのはわかるけど、私も死んでる人を蘇らせることはできないんだよ。」と答えた。するとキューンハイトは

「俺はまだこいつらと話したいことがいっぱいあったんだ。この戦いが終わったらいっぱい褒めてやりたかった。」と言い、その場で崩れ落ちた。

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