第18話 それぞれの弱点
アドルフはリッターに翌日から訓練をすると伝え、その日はゆっくり休んだ。一方深緑隊のほうでも話しがされていた。キューンハイトが話し出す。
「どうした?急に話があるとか言って。」それにゼーンズフトが
「次の作戦、アングリフは自分たち4人に任せてくれないですか?」と聞き、
「前回の戦いで、自分たち4人はアングリフに手も足も出ませんでした。自分、それが悔しくて。だから次は負けたくないんです。」と言った。するとキューンハイトは
「ゼンティメント、お前はどうなんだ?」と聞くとゼンティメントは
「僕もあいつともう一度戦うのはすごい怖いんだ。でも僕も悔しいんだ。」と答えるとキューンハイトは
「よし、わかった!次の戦いでアングリフはお前ら4人で倒してくれ。その代わり猛訓練だぜ。」と言うと4人は真面目な顔で頷いた。
翌日、アドルフとリッターは稽古を始めた。初めに3分間木剣で打ち合いをしてから、アドルフ
「リッターは基本通りできれいな戦い方だ。だから攻撃が単調で読みやすいな。」と言うと続けて
「もしもルフトに勝ちたいなら、そもそもの戦闘力を上げるか、一発逆転の大技を狙うかだな。ちなみに俺は後者をおすすめする。」と言った。
深緑隊のほうでも訓練をしていた。深緑隊は4人でキューンハイトと戦う訓練をしていた。するとキューンハイトが
「俺じゃみんな癖がわかるから訓練になんねえな。そうだ、ちょっと待ってろ。」といい走っていき、すぐにエーデルシュタインを連れてきた。
「ちょっと俺の隊の4人に稽古つけてやってくれ。」とキューンハイトがいうとエーデルシュタインは
「いきなり来させて訓練だあ?」と返す。だがキューンハイトは
「頼むって。こいつらとやってがっかりはさせねえからよ。」というとエーデルシュタインは
「しゃあねえ、その代わり満足しなかったらキューンハイト、お前が俺と勝負しろや。」というと
「いいぜ。」とキューンハイトは答えた。実際に訓練を始めると4人は思ったよりも苦戦した。エーデルシュタインとキューンハイトの戦い方は似ているが、それでもやはり手の内を明かしていない相手との戦いは苦戦した。するとエーデルシュタインは
「お前らの戦い方はおもしろくねえ。お前らは互いの攻撃を邪魔しないように戦いすぎてんだよ。もっと見方を信じて戦ってみろ。これ以上そんな戦いすんならキューンハイトと戦うぞ。」と言うと4人は互いに頷きあって、またエーデルシュタインに攻めかかった。今回の攻撃は先ほどよりも通りやすくなっていた。エーデルシュタインの言う通り、今まで4人は互いの攻撃を気にしながら戦っていたため、今回お互いに気を使わなくなったことで逆に、それぞれ自分の力を発揮することができたのだ。
―――1か月後
ザボギア攻略作戦の最終打ち合わせのため、参謀部からトラオム、深緑隊からキューンハイトとアンムート、白金隊からエーデルシュタイン、黒狼隊からアドルフとヴァイスハイトが作戦本部に集まった。初めにトラオムが話し出す。
「この1か月間でみんな訓練してきたと思うけど、それは敵も同じで兵力が増えてるかもしれない。でも兵力が増えたといっても、うちの精鋭の兵士たちと比べると練度は低いと思う。敵の兵力はうまく偵察ができなかったんだけど、おそらく3万ほどでそのうち前の戦いの生き残りが7000ぐらいだから、乗り込みさえすればこっちの勝利は間違いないと思うよ。じゃあ後は現場の君たちに任せるよ。」それをきいてヴァイスハイトが
「作戦はもう決めているので、あとは出撃するだけです。」と言うとトラオムは
「そっか、じゃあがんばってねー。」といい自分の部屋へと帰っていった。そしてついにザボギア攻略作戦が決行される。
クリスタ軍は早速セレウスを発ってザボギアを包囲した。それぞれの隊が自分の隊に訓示をする。
黒狼隊・アドルフ「みんな今までよく頑張って戦ってくれた。今回の作戦でやっとこの戦争を終わらせることができる。全員生き残って国に帰るぞ!」
深緑隊・キューンハイト「お前ら!これが最後の戦いだ。だからって別に気張らなくてもいいからな。いつも通り勝つぞ!」
白金隊・エーデルシュタイン「最後の戦いだ!俺らが一番暴れるぞ!」
それぞれの隊長の声で兵士たちは湧き上がる。そしてそれぞれが自分の配置に移動し、攻撃の準備が整った。ついに戦争最後の戦いが始まろうとしていた。
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