第13話 敵主力撃滅作戦-①
オルドヌングの話によると、作戦本部では都市攻略よりも敵主力を叩くことを優先することが決定したという。その作戦には全員反対意見はなかった。オルドヌングが作戦の詳細を話し出す。
「今本部で候補に挙がっている作戦は、味方の兵士を集めて形だけでレイドを包囲し、敵首都であるザボギアとレイドの間に、味方主力2部隊で陣を敷く。そこに救援にやってきた敵主力部隊を陣を敷かれる前に叩くという作戦だ。」それに対しアドルフが
「でも、もし敵が都市の攻略や防衛よりもこっちの主力を叩くことを優先してた場合、敵が寄ってこない可能性もあるな。」それを聞いてヴァイスハイトが
「なら都市を包囲するのではなく、深緑隊と白金隊を本隊、黒狼隊を別動隊とし、本隊でサボジオに向かって進行し、それを察知した敵軍が主力を出してきたときに先回りしていた我々別動隊が裏から攻撃し敵を挟撃するというのはどうだろう?」
「いや、決戦場所となるところは川と山脈に挟まれている。そこにどうやって先回りするつもりだ?」オルドヌングがそう聞くとヴァイスハイトは
「我々は山脈を越えて敵の背後を襲う予定だ。」それを聞いてオルドヌングガ驚きながら
「そんなことは危険すぎる!君たちの部隊が強いのは知っているが、そんなの敵の背後につく頃には疲労が溜まって戦いどころじゃなくなるぞ。」とその作戦に反対する。
「俺たちならできる。」とアドルフが自信満々に言い出す。
「もしも失敗したとしても俺だけでも敵に向かっていく覚悟だ。」それを聞いてオルドヌングは渋々その作戦を本部に伝えるといい帰っていった。
―――2週間後
本部から使者が来て作戦開始が告げられた。作戦通り黒狼隊は山脈に入っていった。それぞれ深緑隊と白金隊もサボジオに向かって進軍を開始した。本隊はゆっくりと進軍し始めて5日が経ったころ、ちょうど決戦場所と定めていたところで敵主力6万が姿を現した。この時の兵力はクリスタ軍本隊1万5千対サボジオ軍6万であり、本隊は圧倒的に数的不利であった。この決戦場所は両端が川と山脈にはさまれているため、サボジオ軍は圧倒的兵力の力を発揮することができない。クリスタ軍はそれを狙ってこの場所で戦うことを決めていたのだ。だがいくら場所がいいとしても兵力に差があり、この戦いで勝てるかどうかは別動隊の黒狼隊にかかっていた。
戦いが始まった時、クリスタ軍のほうが早く陣を敷けていた。陣がしけた瞬間にクリスタ軍が攻撃を始めた。まだ陣を敷けていなかったサボジオ軍に対しての攻撃はかなり優勢になった。しかしサボジオ軍の陣ができ始めてくると戦線は膠着していった。クリスタ軍は先に攻撃を仕掛けたものの、隊長たちは後ろで指揮を執るだけで本格的な攻撃はしていなかった。先に攻撃を仕掛けたのはこちら側の作戦を読まれないようにするために仕掛けただけであり、別動隊が到着し突撃を開始し始めたときに本隊も一斉に突撃をする手筈だったので、隊長たちは後ろで待機していた。本隊もクリスタ軍の主力であり精鋭ぞろいだが、敵も精鋭を集めた主力部隊だったためここでは体力勝負となっていた。戦いが始まって1時間ほどが過ぎたころ、クリスタ軍が少しずつ押され始め、兵力もお互いに消耗してきていた。その状況がまだ1時間ほど続き、本隊は別動隊が早く到着するのを祈りながら耐えることした出来なかった。兵士たちも隊長たちに早く攻撃を開始するように進言するものが増えてきた。兵士の士気も下がってきており本隊にも少し焦りが見えてきた。すると敵のほうから矢文が飛んできた。キューンハイトが紙を見てみるとそこには「攻撃開始」と書かれていた。この時、別動隊の黒狼隊が敵の背後に突撃することに成功していた。それを見てキューンハイトとエーデルシュタインがそれぞれの隊に突撃命令を出し自分たちも兵を率いて突撃を開始した。
クリスタ軍本隊と別動隊の突撃は凄まじく、敵をすり潰していった。そんな中サボジオ軍の3人の男が本隊の突撃を止めた。その3人とはアングリフ、シュラハトそしてアンファングにとどめを刺したクライネの3人である。この三人はサボジオ軍の主力3隊それぞれの一番強い兵士たちだ。そのころ別動隊のほうでもサボジオ軍の3隊長が突撃を止めていた。本隊に現れた3人を見てキューンハイトとエーデルシュタインが相談し始めた。
「あいつら倒さねーと進めねえな。俺が二人相手するからエーデルシュタインはあのチビ頼むわ。」
「ふざけんな!俺が二人相手するからチビはお前がやれよ!」とくだらない言い合いをしているとエーデルシュタインにクライネが攻撃してきて、それをエーデルシュタインはぎりぎりで躱した。
「チビチビ言って俺を下に見やがって、お前は俺が殺してやるよ木偶の坊」
「チビにしては悪くない突きだったぜ。」これによって自然とキューンハイトが二人を相手し、エーデルシュタインがクライネの相手をすることになった。
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