彼女がおとこの娘になったなら

◆女性医師にみられて興奮しない１００の方法

　問.　女性医師にみられて興奮しない方法を答えよ。

　　　もしくは興奮しても勃たなくする方法を答えよ。

　　　ただし賢者モードになることを許してはいけない。

　こんな問題高校入試にも出ない。きっと大学入試にも。

　答えを知っている者がいるのならお金を払ってでも答えを教えてほしい。

「さて、時間もないからいい加減対策を考えないとな」

　いくら休み時間といってもこう何分も教室を空けていたら誰かが呼びに来てもおかしくない。

　身体測定までの時間もあまり残されていない。

「九九を全部唱える」

「数学から離れろ」

「私には数学しかない！」

「帰ってきてほしい」

「答えのある数学が美しく感じるのよ」

「気持ちはわかるけどな」

　答えのない難問を考えると答えのある問題が美しく感じることがある。

　国語で『この文中で作者が伝えたい事を述べよ』の問題を解いた後、数学の計算問題を解いてその答えに美しさを感じるみたいな。

　だが、今は美しさなどどうでもいい。

　美しくなくても答えを出さなければならない。これはそういう問題だ。

「とりあえず別のことを考えるという案は却下だ。漫画とかでもその作戦の成功例をオレは知らない。特に数学」

　あくまで少年漫画（ラブコメ）の中での話だ。少女漫画のことはよくわからない。

「やはりここは慣れが一番だと思う」

「慣れ？」

「一度オレに胸をみせてみるのはどうだ？」

「悠聖にはもう何度もみせてるでしょ。それに興奮するって言ったよね」

「女性にみられるとだろ」

「悠聖にみられるのも興奮するって言ったでしょ！大事なところなんだから覚えておいてよ。それにそんな短時間で慣れるわけないでしょ！」

　プリプリ怒る李奈（りな）はめっ可愛（かわ）だな。

　それに男じゃなくオレにみられると興奮すると言ってもらえた。

「もしかして私を恥ずかしがらせることが楽しくなってきてる？」

「そんなことはない」

　嘘です。本当はちょっと楽しいです。

　でもここで正直に話すと話が進まないので黙っておく。

「それじゃあ疲れておくのはどうだ？」

「疲れておくと勃たないの？」

「男は疲れていると勃たないものなんだ」

「本当に？」

「本当だ」

　少なくてもオレは勃たない。

　中には疲れた方が勃つ人もいるらしいけど。

「というわけで腿上げ百回始め！」

「えっ！ちょっと待って」

「はい！いち、にい、さん、し」

　オレのとる手拍子のリズムに合わせて李奈は腿を高く上げていく。

「ねえ！これって本当に意味があるの！」

　息を切らせながら当然の疑問を投げかけてくる。

「やり遂げればわかる。このまま続けるぞ」

　半信半疑だがそれでも付き合ってくれるあたりノリがいいな。

　部活のコーチのようにリズミカルに手拍子をしているとあることに気づいてしまう。それは。

　李奈の胸が揺れている。

　腿上げのたびにその年相応のふくらみが上下に動いているのがよくわかる。

　確か李奈はスポブラを着用している。さっきこの目で見たから間違いない。

　スポブラはスポーツをするために着けるブラのはずだ。それなのにあんなに揺れるということはまた成長したのか。

　昨日、みたときは他のものに目を奪われて確認できなかったし、さっきみたときはスポブラに目を奪われて大きさにまで気が回らなかったが、明らかにあの時より成長している。

　こいつは身体測定が楽しみだぜ！