◆数学大好き?

「というか。人のことバカにするだけバカにしておいて、そういう李奈りなは何かいいアイデアがあるのかよ」

 オレのバカげたアイデアを否定するということは李奈にも何か考えがあるはずだ。

「……円周率を数えるとか」

「何桁数えられるんだよ」

 せいぜい数えられて小数点第八位までだろ。

「素数を数えるとか」

「数学から離れようよ」

 そこまで数学が好きなわけじゃないだろ。

「オレ以下のアイデアじゃねえか!」

「だっておとこの娘になってまだ日が浅いし。こんな経験初めてだもん!」

 また涙目になっている。

 拗ねると女の子に戻るんだな。

 二人そろって泣きたくなるのはいかがなものか。

「……悪かったよ。おまえに男の子を教えると言ったのはオレだしな。一緒に何か別のアイデアを考えよう」

「……うん。ありがとう悠聖ゆうせい。……迷惑かけてごめんね」

 李奈はそういうと涙目ながらも笑顔を向けてくれた。

「お互い様だ」

 とりあえず李奈の顔に笑顔が戻ってきた。

 よかった。よかった。

 それにしても少し情緒不安定すぎないか?

 さっきまで泣きそうになっていたオレが言うことではないと思うが。

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