第7話

いつの間にかお祖父さんの過去へと入り込んだ僕は、宿の前で荷物を駱駝に結わい付けてその荷物を船まで運ぼうとしていたその時、 ハキムがニヤニヤしながら向かいの路地から現れた。

「出航はいつだい。」

「あぁ、予定は明日だが、、、」顎で港を指すとハキムは空を見上げて

「3日は間違いなく足止めだな、下手したら10日かもな」そう言ってニンヤリと口角を上げた。


風雨が荒れる前に荷物を船に積み込み、誘われるままにハキムと宿に戻る。まぁ駱駝も返さねばならないので、どちらにしてもやどにもどるよてだった。


定宿の屋根裏には、ハキムの寝床が有る。

暑くて昼間は居られないが、夜は風通しが良く快適だ。

外階段の下に幾つが有る隠し棚からハキムは小さな箱を取り出した。

「俺が先に見つけたらどうするつもりだったんだ。」と少し眉間に皺を寄せながら、ニヤリと笑って問いかける。

その箱には、おじいさんが隠しておいたアスピリンや消毒液などの薬品、顕微鏡、精巧な方位磁針が入っている。

ハキムの職業は、手品師ではなく占い師。此処ではちょっとした医者の様な役目だって有る。

「本当に欲しかったのはこれだろとぅ…」

そう言って今度は僕が手妻の様に背中から大きな箱を差し出す。

ハキムの目が大きく開いて、

「これがそうなのか」と呟いた。

それは、まだこの国では軍部でくらいしかお目にかからないラジオだった。


使い方を教えて、ガサガサと聞き取りづらい電波をどうにかキャッチしたが、それは何語だから分からない言葉で語られていた。

それでも通信機を使ったことのないハキムは感動した様子で、

「外の世界へ通じる魔法の箱だな」という様なことを早口で呟いた。

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