第4話
縄梯子を降り始める。想像以上にゆらゆらと揺れて、底になかなかたどり着けないくらい深かった。足から力が抜けていく様な恐怖があったが、次第にリズムが出て来て、上手く降りる事が出来た。
箱よりもかなり深そうな底は、地下室にでも続いているのだろうか。おじいさんの遊び心から忍者屋敷みたいな造りになっているなのかな。疑問符を頭の中にいっぱいにしながら、きっと硬い床だと思っていた底に足を下ろすとぐぐっと沈み込んだ。「えっ」
この感覚知っているな、
「あぁ、砂浜だ」と言うとフワリと周りが明るくなる。
足が沈んだその砂は、明るいラクダ色でサラサラときめが細かく乾いていた。
砂が敷いてあるなら、何か動物でも飼っているのかしら?と目線を足元から上げると、そこには広々とした空が広がっている。
砂丘の向こうに紅く揺らめく夕日が空を茜色に染めている。
外?嘘でしょ?これはプロジェクションマッピングか何かなの?
そう思った時、ブルブルッとと胴震いの音がした。
まさか馬?頭の中は?マークだらけで焦点が定まらない。
大きく息をフーッと吐いてギュッと目を瞑る。
「落ち着け、落ち着け」自分に言い聞かせながら目を開けると、まん丸いまつげの長い目がこちらを見ていた。
「砂漠にラクダ⁈」あはははと笑うと、「さぁお乗り」と頭の上から声が降って来た。
ラクダが話したのかと驚いて一歩下がってる見上げると、おじいさんが立って手を伸ばしている。
夢なのかもしれない、それともおじいさんが仕掛けたアトラクションのようなものなのか、どっちにしても僕はもうそのラクダに乗って旅に出ようと心を決めていた。
僕が鞍に跨ると、ラクダはゆっくりと立ち上がり、行く方角を指示される事もなく歩き出した。
アラビアのロレンスの様な衣裳を纏って、僕の知っているよりうんと若いおじいさんが、もう一頭のラクダから僕を見ていた。
見るといつのまにか僕も白いフワフワした生地で出来た服を着て、アラジンに出てくる猿の様な刺繍の施された小さなベストも羽織っていた。
アラジン?アリババ?
ワクワクと心が躍る。
お爺さんと一緒だからか、不思議と全く不安が無かった。
ラクダの背に揺られ砂丘を一つ越えると、眼下にオレンジ色の城郭が見えて来た。
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