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 警察のSPと言ったら、ただのボディカードとは違う。文武両道に長けた、ほんの一握りのエリート中のエリート。武道やってる小野先生でも簡単に抑え込まれちゃったのは、そういうわけだったのね。


「バイト、って言ってませんでした?」

「うん。今はバイトの身。任務中にここ、やっちゃってね」

 そういって相良さんは、立てた自分の膝を、ぽん、と叩いた。


「普通に生活する分には問題ないんだけど、今までと同じ任務にはつけなくなっちゃって。その頃、独立してた先輩が声をかけてくれたから、退職してそっちに。バイトで、民間の探偵みたいなことやってる」

「もしかして、私、囮に使われました?」

 私が小野先生に執着されているのを知っていて、私に近づいたんだろうか。

 相良さんは、苦笑する。


「結局は、そうなっちゃった。誤解しないでほしいけれど、最初はそんなつもりじゃなかったんだ」

「最初?」

「あのスーパーで顔を合わせるようになったのは……君の近所に住んでいたのは、本当に偶然。君が小野と関係があると知ったのは、あいつが君をつけてきた日。まさか知り合いだとは思わなかった。どうしたものかと上と相談したんだけど、うまくしたら今度こそ小野を起訴できるかも、ってことになって」

「やっぱり、囮にしたんですね」

 私が呟くと、相良さんは眉間にしわを寄せる。


「ずいぶん迷ったんだ。君は何も知らない一般人だし。だからあのまま小野を泳がせようって決まった時に、絶対君を守るって決めた。傷一つつけないように、俺が守るって」

「……だったら、ちゃんと話してくれればよかったのに。勝手です」

 事前に話してくれれば、こんな風に怖がらなくてもよかったかもしれない。

 それが、守秘義務のある仕事だから仕方ないとしても。


「うん。巻き込んじゃって、本当にごめんなさい」

 そういうことがあったから、あの日、相良さんは私の家の前で見張りをしていてくれたんだ。

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