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 職員会議が終わって帰る頃には、すっかり暗くなっていた。

 いつもなら小野先生が誘ってくるのだけれど、今日の小野先生は私には話しかけてくることはなかった。


「小野先生、よかったらこれからお食事でもどうですか?」

 その代り、沢田先生と山口先生が小野先生を誘っていた。

「ありがとうございます。けれど、今日はこれから用事がありまして。ぜひまた誘ってください」

「まあ、それは残念です」

 用事があるから私にも声をかけなかったのかな。違うよね。もう終わったことだし。


 いつもとは違う軽い足取りで、私は職員室を出た。


 

 改札から出ると、遅い時間のせいか人はまばらだった。淡い期待を抱いてあたりをみまわすけれど、相良さんの姿はない。

 時間も言ってないし、当然だよね。それでも、ちょっと寂しいなんて思っている。

 私は、スマホを取り出す。

 ラインは送ったけど、やっぱり直接話したい。今とても、あの笑顔が見たかった。

 迷ったけれど、連絡をするのはやめた。


 今日はもう遅いもの。また、早い時間の時に、連絡してみよう。


 それでも、未練がましくいつものスーパーに寄ってみる。店内をうろうろしてみたけれど、相良さんは見つけられなかった。

 今日はお仕事早いって言っていたから、もう帰っちゃったかな。


 そんな風に考えている自分に気づいて、つい笑んでしまう。

 私、思っているよりずっと、相良さんの事好きなのかも。


 結局何も買わずにスーパーを出て、部屋に帰ることにした。

 アパートの階段をあがって、部屋の鍵をあけた、その瞬間だった。


 どんっ。

 いきなり突き飛ばされて、私は部屋の中に倒れ込む。


「きゃっ!」

「静かにしろ」

 後ろ手にドアを閉めたのは、小野先生だった。全身の血の気が引く。

「お……の、せんせい?」

「誰もいないな」

 小野先生は、暗い部屋に目を向けていた。

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