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 向こうも私に気づいて、にこりと会釈してくれた。今日は、かごいっぱいにお肉を買っている。鶏肉、特売なのね。

 こないだはキャベツを3玉買ってたし、一体何人家族なんだろう。


 想像している自分に気づいて、誰ともなく照れる。

 やだ、これじゃ私、ストーカーみたい。

 特売の鶏肉を私も買って、レジに向かう。人も多いからレジも混んでいたけど、ひとつだけ短いレジがあった。

 不思議に思いながらそこに並ぶと、レジのところに若葉マークがかかっていた。


 ああ、研修中の方なのね。急いでいる人は、ベテランさんのとこに並んでいるのか。

 私は急いでもいないので、のんびりとそこで順番を待つ。

 新人さんかあ。いつから入ったのかわからないけれど、私と一緒だね。


 私の前の人の順番になった。中年の男性だったけど、長く待たされてイライラしているらしく、乱暴にかごを置く。

「お待たせいたしました」

 レジの人は、若い女性だった。私と同じくらいかな。疲れている様子がわかる。


「さんざん待ったぜ。とっととしろよ」

 中年の男性が乱暴な調子で言った。びくり、とレジの人が肩を揺らす。おびえてしまったのか、何度も打ち間違いをしていた。

「段取り悪いなあ、おい。なめてんのか」


 大きな声ではないから、どうやら他の店の人は気づかないみたい。でも、ねちねちと絶えず続く文句に、レジの人の手が震えているのが見えた。

 ああ、あんなふうに言われたら怖いよね。

その様子をはらはらしながら見ていると、ついに中年の暴言に耐えられなくなったのか、レジの女性がぽろりと涙をこぼした。


「そ、そんなに言わないでください」

 私は、ついにがまんできずにその中年に言った。


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