- 4 -
「あの二人、自分たちが小野先生に誘われないのが気にいらないのよ。気にしちゃだめよ」
今井先生が眉をしかめて言ってくれた。
たしかに小野先生は、背が高くてモデル並みのスタイルしているし顔もいい。確か空手だか柔道だかをやっていて、全国で何位だったかになったことがあるとも言っていた。話もうまくてまとめる力もあるから、もてるのもわかる。
でも私は、あの強引さが少し苦手だ。こちらの話を聞いているようでいて、結局は自分の意見に丸め込んでしまう。それでも、沢田先生たちにとっては魅力的な男性なのだろう。
小野先生も、なにも私に声かけなくても彼女たちだったら喜んで食事してくれるだろうに。
「はい、お先に失礼します」
私はバッグを持つと、今井先生にぺこりと挨拶した。
「お疲れ!」
小野先生が戻ってこないうちに、さっさと帰ろう。
☆
最寄りの駅を出ると、いつものスーパーに向かう。
なんとなく今日はまっすぐ帰りたくない気分だったけど、食事は家でゆっくりと食べたい。こんな時間から一人で遊びに行くのも苦手だし、気分転換したいと思ったらせいぜいスーパーで買い物するくらいだ。
かごを持って入ると、今日もなかなかの込み具合だった。
ここのスーパーは、夜遅くまでやっているし、お惣菜も店内で作っていてすごくおいしい。私も自炊は頑張っているけれど、それでも仕事が遅くなったりするときには強い味方になってくれる。
お夕飯、何にしようかな。レタスが安いな。んー、あとは……
献立を考えながらあちこち見ていると、一人の男の人をみつけた。
あ、しらすさんだ。
しらすの件以来、あの男の人を勝手にしらすさんと呼ばせてもらっている。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます