第2話 この男子高校生には、夢があるッ!!

俺、小説家になる。


ん?待てよ。

もし、俺が小説家になるとしたら、俺の青春ハチャメチャライフが・・・


あー---------あああああああ!!


俺のアオハルは高校生活2日目にして儚(はかな)く去っていくのか。

と、嘆(なげ)いているのも束(つか)の間。


もうこんな時間か。

今日は早く行って安土さんに伝えよっと。


特にやる事もないからし・・・

今日は学校までのルートを紹介しよう。

流石に家から駅までは教えないぞ♡

家、バレちゃうからね♡


そんなことはどうでもよくて、俺の家の最寄り駅はここ!

神楽坂!どうだッ!結構立地いいだろ。


おい!今!誰があんな午前と午後で一方通行しかできない坂道に住むんだよって言ったな!

絶対聞こえたからな!

いいか!よく聞け!

神楽坂は江戸の街並みが沢山残っているんだぞ!

例えば横丁っていう路地裏があったり、昔ながらの江戸前寿司、和菓子、(あとは・・・)

と、とにかく凄いんだぞ!


(あ!)


そ、そう言えば交通の便もい、いんだぞ。

10分以内に東京駅に行けたり、15分以内には東京の主要駅には大体いけるんだからな!

どーだ!凄いだろ!


じゃあ、本題に戻るか。

って何話してたっけ?

そうそう学校の行き方だ。


まず神楽坂から飯田橋に行ったら、中央線に乗り換えて新宿で降りる。

そこから歩くこと10分。

ここが我が校!

うむ。今日もいい校舎だ。

入学2日目のやつが言うセリフじゃないけど。


はあ、この階段、きついんだよなあー。

お!一番乗りか。


安土さん早く来ないかなあ。

ん!?足音!誰か、来るッ!

ゴゴゴゴゴゴ!!

ガラガラガラ

ドンッ!!

なんだ!?この・・・圧迫感は・・・

自分でも何かわからない・・・


「おはよう!」


「お、お、お・・・」


こ、声が・・・出ない・・・

どうなっているんだ・・・


これは・・・まさかやつの能力・・・なのか・・・


体が震えているッ!


「貴様、動揺しているな・・・」


「なに!?」


「動揺しているということは恐怖しているということだ」


・・・

あいつは、土井 イコレア 桜介(おうすけ)

イギリス人のハーフだと自己紹介で言っていた。


「ねえ、どうだった?」


は?俺は意味が理解できなかった。


「今、ジョ〇ョに出て来る〇ィオの真似をしたんだよ。わからなかった?」


は?こいつの言っていることがわからない。

だが、〇ィオは知っている。

一様ジョ〇ョは一通り見たからな。


「今、これを使ったんだ」

不気味な笑顔で見せつけてきた。

いかにも、見せつけてきたのはブツだ。

ブツを見せつけてきやがった。


俺は思った。

こいつ、関わっちゃいけない・・・

よし、今後一切関わらないことにしよう。


「これはダークウェブで買ったんだ」


「へーそーなんだ。すごいねー」


「そうだろ!これを吸い込むと人は圧迫感を覚えさせることが出来るんだ」


「へーすごいねー」


「これで、〇ィオ様に一歩近づいたぞ」


いや、ブツを使ったら近づいたどころか離れただろ。

そう思いながら適当にそうだねーとでも返しておいた。


はあ、朝から疲れた。


安土さん、早く来てくれー。

あ!また誰か来た


お願いだー安土さん来てくれー頼むッ・・・

来た!安土さんだ!!


「おはよう、瞬君」


「おはよう安土さん」


「あのさ、安土さん、俺、」


「ちょっと待って。なんか雰囲気重くない?真面目な質問来る気がするから心の準備するから待って」


・・・


「もういいかなあ?」


「うん、いつでも!」


「俺、将来の夢決めたよ」


いや、そっちかよてっきり愛の告白されると思ってたのに・・・

もう、わたしのバカ!


「え?なんで残念そうな顔してるの?」


「うんん、何でもない」


「それならいいんだけど」


「で、夢ってなんなの?」

「それは、小説家になる」


「小説家かー難しそうだねー」


「そうなんだよ。俺、書いたことなくて」


「じゃあなんで小説家になろうと思ったの?」


「テレビで見たんだ。あんな凄いステージで俺も表彰されたいって」


「小説をそんな適当に書こうとしてるならあきらめたほうが懸命だよ。実は私、一時期小説を書いてた事があったんだ」


「そんな・・・」


「まだプロのスポーツ選手になろうとした方が未来があるよ」


・・・


「小説家を甘く見るな」


・・・


「わかったよ」


「あ、ごめん、言い過ぎちゃったよね」


「いいや、まったく。逆に火が付いたよ」


「え?」


「俺は必ず安土さんが納得いくような小説を持ってくるよ!」


「話聞いてた?」


「うん!凄く聞いてたよ。だって安土さん、小説書けるんでしょ?だったら安土さんが納得いくのを持って来れば大ヒット間違いなし」


「聞いてその答え・・・」


「近いうちに持ってくるから待ってて」


「あ、うん」


「俺は、小説家になるんだ」

この俺には、夢があるッ!!

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