一章 月と海 第一話 邂逅
夜空に広がる星と月灯かりに照らされて、波静まった海がほうっと群青色の光を帯びて発光して見える。
その中に際立つ大きな月が、海辺を青白く照らしている。
「克己……克己……」
「渚……渚……」
「……」
「……」
海辺に二つの姿がある。
渚と克己は互いに手を取り合って、身を寄せる。
星灯かりの下で、砂浜に二つの影が重なっていく。
「克己……会いたかった!」
「渚……会いたかった!」
「……」
「……」
見つめ合う二人の視線が重なり、静かに顔が近付けられていく……
……
……
「愛してる」
「愛してる」
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