5-13 レベル60と増えた4次職
『精霊のおもちゃ』が完成してから3日。
作った日は休みとし、フォースリムダンジョンはずっと午後から潜ることになっていたので、それは崩さず第35波までをそれぞれ2周した。
カイトのサードジョブで今レベルを上げている基本3次職は2周でマスターできるので、【格闘士】【攻撃魔法士】【回復魔法士】をマスターし、今は【補助魔法士】となっている。
新たに出現したのは【パワーファイター】【デストロイヤー】【パラディン】、【グラディエーター】、【魔法戦士】【護法戦士】、【魔闘士】【練気士】、そして【メイジ】である。
カイトが予想していたように基本3次職を2種類マスターすることで基本4次職が現れているので、基本3次職18種類から派生する基本4次職は153種類あることになる。
「多すぎだよなぁ。把握しきれない。」
「ん。使えるのだけ。」
「工夫次第?」
「まぁ魔力消費のこともあるし、どうせ使いきれないんだから、ルナ達が言う通り工夫して使えそうなやつだけでいいんじゃない?どっちかって言うと情報収集目的でしょ?」
実際4次職のデータは少なすぎる。
皆無と言っていいほどだ。
カイトの知識でも【パワーファイター】【デストロイヤー】【グラディエーター】くらいなら発見できた可能性はまだあるが、【護法戦士】や【魔闘士】【練気士】などはほとんど聞いたこともないものだ。
「まぁ選択肢が増えたのは悪くない・・・はずだ。【スキルスロット】で使うには難しいのも多いけど。」
バフばかりあっても30秒のクールタイムのせいで使いにくい。
効率的に使うには【スキルラーニング】が必須だろう。
【職業体験】もほぼ【ジェネラリスト】で固定されている。
「それよりレベル60になったんだし、【職業斡旋】はどうするの?」
【リクルーター】レベル60のスキルは【職業斡旋】だ。効果は他者を転職させることが出来るというもの。
「【職業斡旋】の条件が『対象がそのジョブをマスターしていること』だったからな。試すにも試せないよ。ガルドさんに使うのもまだ保留だな。レベル70になって5次職になれなかった時に使うくらいか?」
【スキル情報】で得られない条件は習得しないとわからない。
現状のカイトでは【職業斡旋】を使う対象がいないのだ。
「ん。ちょっと残念。」
「【遊び人】は大変そう。」
【遊び人】になるには転職を50回しなければならない。マスターしないと転職出来ないのであれば、かなりの時間がかかることになる。
ちなみにマスターした職業に転職出来るかは不明だ。
出来ない可能性を考えると安易な転職も出来ない。
「やっぱりそうなるわよね。そうなるとレベル60で戦い方が変わるのは私だけかしら?」
【ジェネラリスト】のレベル60スキルは【消費マナゴールド半減】なので、直接戦闘に関わることはない。
【精霊術士】のレベル60スキルは【精霊器召喚】。
『精霊のおもちゃ』は半ばそのために作ったところもある。
精霊のおもちゃの変形はカイトが想定していたよりもかなり速かった。一瞬と言っていいくらいだ。
フェリアがオーク相手におもちゃを使って【精霊撃】の練習をした際には、攻撃する度にその姿が変わるほどだった。
【精霊器召喚】はそんな精霊のおもちゃの形状に合わせて、その武器を得意とする精霊が、精霊のおもちゃを核として不可視に近い武器を顕現するスキルだった。
柄しかない剣や鞭は、その剣身や鞭のボディは何らかのエネルギーで見えるくらいのものにはなる。
杖は全体がそのエネルギーで覆われ、丈夫になる形だ。
精霊器はほぼ、常時使用可能な【精霊撃】と言える。
もちろん召喚中はフェリアの魔力を使用するし、精霊力も使う。
ミスリルのおかげで消耗はかなり少ないらしいが。
何より特筆すべきは、発動にかかる時間がほぼないというところだろう。
これでフェリアが咄嗟に近接攻撃をしなければならなくなった際も安心と言える。
精霊が顕現していれば自動的に使われることすらあるのだ。
「まぁそれでも使いすぎることは出来ないだろうからバランス良くやるしかないかな?」
「軽く使うくらいならほとんど消耗がないと言っていいくらいなんだけど、常用はちょっと難しいかしらね。」
「ん。フェリアは遠距離。」
「近接はレナ達!」
「そうね。遠距離と言って弓や銃ばかり使うと他の子が拗ねちゃうし。」
矢や弾として他の精霊の力を使うことも出来るのだが、やはり精霊器が使われるのは特別のようだ。
危ない時には文句は言わないのだが、安定している時は平等に使われたがる。
「一応俺も【スロットアップデート】でバフスキルを指定できるようにはなったけど、バフスキルの【スキルラーニング】はものすごい時間かかりそうだし、そこまで変化はないかな?」
アクションスキルがラーニングするまで200回使用だったので、パッシブスキルは200分かと思ったが流石に甘かったようだ。
もしかしたら【コンビネーション】のように条件付きのパッシブは条件を達成している時しかカウントされないのかも知れないが。
「とりあえず、今後の攻略をどうするか相談しよう。先に進むか、ここまでの流れを繰り返すか。」
「んー余裕があるし第39波までは何とかなりそうな気がするわ。」
実際フェリアの強化で2時間かかっていた周回が1時間半に短縮されている。
次からは使うかは分からないが【精霊器召喚】もある。
「計算上第38波まで終われば、今の倍の収入になるはずだ。攻略にかかる時間次第では確実に効率が上がるとは言えるな。」
第35波までで獲得できるマナゴールドは1,100,000ほど。
第36波で300,000、第37波で350,000、第38波で400,000獲得できるので、ほぼ倍になる計算だ。
「レッサードラゴンも最初はびっくりしたけど、結局数の意味はなかったし、やってみないと分からないんじゃない?」
「まぁそうなんだけどなー。序盤スキップして効率上げられるなら先に進みたいのは間違いないんだけど、あまり頑張りすぎると、ここの領主を潤しすぎることにならないかなって。」
「その辺りは何ともだけど・・・。まだ街の雰囲気は変わってないし、不穏なのも継続中だと思うわ。むしろ私たちが頑張れば、不満の爆発までの時間が伸びると助かると思っておくのがいいんじゃないかしら?」
カイト達は素材を売却していないので、市民の景気の上昇には繋がっていない。
「この街に来てから11日か・・・。フォレストリアに行くのは基本的にフォレストリアダンジョンの攻略の目処が立ってからでいいのか?」
「うーん。一応アルマリアは私たちがここにいるのは知ってるからそれでいいと思うけど・・・。素材を売却しやすくするためにもそろそろ管理局に登録したいとこよね?」
「まぁ売却しなくてもお金には困ってないけどな。使い道があまり無いのは事実だし、売却した方が世間のためにはなるだろ?お金も使わないと行けないけど。」
お金がダンジョンから生み出されるこの世界は少しは違うかも知れないが、それでも経済を発展させるにはお金を使うことが重要である。
カイト達が抱えている素材とマナゴールドを放出すれば、その街の経済は良くなるだろう。
この世界の税金は基本的にクランにかかるものと、お店などで働く者たちの人頭税だけだ。
領主によっては他のものに税金をかけている場合もあるが、稼げば稼ぐほど潤うようになっている。
領主にはダンジョンを維持する義務があるが、ダンジョンの維持費はダンジョンを攻略する者がいれば基本的に賄われるし、スキルで使用するマナゴールドもダンジョン維持費に回るからだ。
つまり人がいて、経済活動が行われて、攻略者がいれば、基本的に余分なマナゴールドは必要ないと言える。
税金は単純に領主が街を維持するための現金のような扱いだ。
「とりあえずフォレストリアはまだ行かなくても大丈夫だから、まずはレベル70を目指しましょ。第40波はここまでの流れならランク5モンスターが出て、それでダンジョンも終わりでしょう?」
「そうだな。ランク5モンスターで何が出てくるか分からないけど、それも第36波に出てくるモンスターが分かれば予想できそうだし。」
「それじゃ明日は第36波以降を攻略してみるってことで。」
「ん。賛成。」
「異議なし。」
「そうだな。それじゃ休むとするか。」
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