4-10 【スキルテイカー】と4次職のレベル30スキル
【技能士】の4次職は【スキルテイカー】だった。
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【スキルテイカー】
特殊【技能士】系統4次職
転職条件
【スキルコレクター】をマスターする
成長条件
特になし
レベル上限:70
習得スキル
【リリーススキル】(1)
【テイクスキル】(30)
【スロットアップデート】(60)
○【リリーススキル】:【スキルスロット】に指定されたスキルを解放し、【スキルスロット】を即時使用可能にする。
○【テイクスキル】:対象の持つスキルを指定して【スキルスロット】に設定できる。対象は指定されたスキルが【スキルスロット】にある限り使用出来なくなる。
○【スロットアップグレード】:【スキルスロット】の対象にパッシブスキルを選択することができるようになる。
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何と言うか、無駄がない。
【リリーススキル】によって、まずすることはなかったが、無駄なスキルを【スキルスロット】に指定してもデメリットがなくなった。
そしてレベル30で習得する【テイクスキル】。
このスキルで使わないスキルをリリースすることも出来る。つまり自分にとっては不要でも、相手にとって有用なスキルをテイクしても、デメリットがほぼないと言うことだ。
そして極め付けは【スロットアップグレード】。
【スキルスロット】にパッシブスキルを指定できるようになるスキル。これ自体も恐らくパッシブスキルだろう。
【テイクスキル】でしか出来なかったパッシブスキルを自由に【スキルスロット】に指定できるようになる。
未だ【スキルラーニング】によるスキル習得は起きていないが、パッシブスキルも対象になるだろう。条件はどうなるか分からないが。
【スキルラーニング】を習得してから【スキルスロット】で一番使用しているスキルは恐らく【ダンジョンウォーク】だ。最初にラーニングするのはこのスキルだろう。
「とまぁ、こんなジョブだ。」
カイトが説明を終える。
「なんか本当に無駄のないジョブよね。」
「ズルい。」
「便利。」
「ルナレナの【ジェネラリスト】も十分ずるいだろうに。レベル30になって不便も減っただろ?」
【ジェネラリスト】がレベル30で覚えるスキルは【消費魔力半減】。【多芸多才】で増えていた消費が戻った形だ。
スキルが増えたメリットだけが残る。
「ん。」
「嬉しい。」
「まぁまさか転職した次の日に覚えるとは思わなかったけどな。」
「早くて良かったわ。この子達にも会えたし。」
そう言うフェリアが抱えているのはスライム。
フェルムが顕現した姿らしい。
フェリアが与えた魔力の分だけ顕現させられるらしい。
ただし話し声はフェリアにしか聞こえない。
戦闘などでは、その形に引きずられることになり、有利不利は状況によって変わる。
ただし、内包されたフェリアの魔力を使って【精霊憑依】と似たような力を振るえる。
使い過ぎれば当然顕現は終わることになるし、【精霊憑依】や【精霊術】よりは効率は悪いが。
フェリアの魔力を効率良く使える順番としては【精霊術】、【精霊憑依】、【精霊顕現】となる。
威力であれば【精霊憑依】、【精霊顕現】、【精霊術】だ。
こうして比較すると【精霊顕現】には余りメリットがないように見えるが、そうでもない。
顕現した精霊の周りには精霊力が満ち、様々な恩恵が与えられる。
フェルムであれば生命力・魔力・気力の自動回復効果、リルムであれば状態異常耐性、アルムであれば敏捷性の増加などだ。効果はさほど大きくないが、精霊の成長に伴って増大するらしい。
ちなみにリルムは水でできた空飛ぶ鯨型、アルムは緑がかった銀色の毛色の小さな狼型、ガルムは赤みがかった蜥蜴型、カルムは小人型である。
全員を顕現させたフェリアは今現在魔力枯渇中である。フェルムが側にいるので通常よりは回復は早いだろう。
「戦闘中の顕現はまだ難しそうだな。」
「ちょっと魔力使いすぎるわね・・・。」
「ん、可愛い。」
「もふもふ。」
ルナはリルムを、レナはアルムを愛でている。
「よし、とりあえず今後の予定を決めようと思う。」
「予定?」
「未定?」
「未定ではないけど・・・、アルマリアとの接触をどうするかよね?」
「ああ、とりあえず明日もう一度ハーピィ狩りをして【スキルテイカー】をレベル30にする。これは確定だ。そのあとどうするかってことだな。」
「私は・・・どうしたいかわからないわ。家にいる時アルマリアは優しく接してくれてたけど・・・。それだって契約とか使役の効果かも知れなかったんだもの。」
アルマリアはフェリアにとって姉のような存在だ。
そんな存在に置き去りにされたのだから、その心中は計り知れないものだろうと思っていたのだが、フェリアにとっては特に問題はないと言う。
それは【従者】が当主の命令に従順、というか逆らえないというのは周知の事実だったからだ。
逆らえないという表現が出るということは、『普通なら当然逆らう』ようなことも命令されているからだろう。
ここで問題となるのは『契約』や『使役』の影響がどの程度あるかだろう。
少なくとも【奴隷】になるということは、この2つのどちらか、もしくは両方が存在することに他ならない。
というよりカイトは見つけていた。
【契約士】と【使役士】という基本4次職を。
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【契約士】
基本4次職
転職条件
【回復魔法士】をマスターする
【交渉人】をマスターする
成長条件
特になし
レベル上限:70
習得スキル
【コンファーム】(1)
【ディスコントラクト】(30)
【コントラクト】(60)
○【コンファーム】:対象の魔法契約数を確認する。対象の同意があれば契約内容を開示できる。
○【ディスコントラクト】:対象の魔法契約を同意の上、解除する。内容に不備や著しい不平等があれば契約破棄時の効果は発揮されない。
○【コントラクト】:対象と魔法契約を結ぶ。内容は自由に設定できる。
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【使役士】
基本4次職
転職条件
【補助魔法士】をマスターする
【交渉人】をマスターする
成長条件
特になし
レベル上限:70
習得スキル
【主従構築】(1)
【使役解除】(30)
【隷属使役】(60)
○【主従構築】:使用者を優位者とした使役関係を構築する。対象がジョブを持つならば、同意の上【奴隷】に強制転職させることが出来る。
○【使役解除】:対象の使役関係を同意の上解除することが出来る。この同意の際、【主従構築】や【隷属使役】などの影響を受けない。
○【隷属使役】:使用者を絶対者とした使役関係を構築する。対象がジョブを持つならば、【奴隷】に強制転職させることが出来る。
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どれも強力なスキル群である。
ただ強力なだけあって、実際の使用にはかなりの制限がある。
スキルの使用方法や条件などは、スキルを習得した際、情報として得られるので間違いはない。マナゴールド消費量など使ってみないとわからないこともあるが。
まず【契約士】のスキルも、【使役士】のスキルも前提として【交渉人】の【マナワード】を使用する。
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【交渉人】
基本3次職
転職条件
【商人】をマスターする。
初回転職:【目利き】を300回使用する。
成長条件
特になし
レベル上限:50
習得スキル
【ポーカーフェイス】(1)
【話術】(20)
【マナワード】(40)
○【ポーカーフェイス】:感情を表情に出しにくくすることが出来る。
○【話術】:他者に話を聞いてもらいやすくなる。
○【マナワード】:マナを込めた言葉を発したり書いたりすることが出来る。そうした言葉は通常よりも影響力を発揮する。
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【ポーカーフェイス】と【話術】はパッシブスキルである。使う使わないの選択は可能だが。
【マナワード】の説明にある『マナ』とはマナゴールドのことで、スキルによって使用すると内部的にはマナとして使用される。マナは魔力のようなものと考えられていて、【マナワード】は言葉に魔力を載せるスキルであると言える。
そして【マナワード】は、マナを載せる言葉の数によってマナゴールド消費量が変化する。
【マナワード】が前提スキルとして必要なことで、【契約士】や【使役士】は非常に使いにくいものとなる。
魔力やマナゴールドを可変的に消費するスキルは【スキルスロット】での使用に向かない。
【スキルスロット】によるスキル使用は消費が0だからだ。
固定消費であれば問題なく発動するのだが。
つまり【マナワード】を使用するには【ものまね】か、【職業体験】で【交渉人】を指定する必要がある。
また、必須ではないが【話術】も重要である。
相手が聞く気がなければ契約も使役も出来ないのは当然だ。
以上のことから【契約士】や【使役士】が十全にそのスキルの効果を発揮するには、【話術】【マナワード】、そしてそれぞれのジョブのスキルが必要になる。
【話術】がパッシブなので、【職業体験】は必然的に【交渉人】となる。
【職業体験】ではその前提となるジョブのスキルは使用できないからだ。
【職業体験】の枠を【交渉人】で埋めなくても済むようにするには、【サードジョブ】で【交渉人】を指定できるように育てるか、【スロットアップグレード】でパッシブスキルを【スキルスロット】に指定できるようにならなければならない。
さらに【契約士】の【コントラクト】、【使役士】の【主従構築】と【隷属使役】は感覚的に消費量可変スキルなので、こちらは【ものまね】での使用が前提となる。
自由度がないというのは不便である。
その悩みはカイトだけのものではあるが。
ちなみにカイトは【契約士】と【使役士】のことを3人にまだ話していない。
カイトとしてはアルマリアに接触するのは出来るだけ避けたいのである。
暴走してアルマリアの契約や使役の状況を確認しようとされても困るのだ。
とりあえず話し合いでは何も決まらず、【スキルテイカー】のレベルを上げてからもう一度考えようということになって、その場は終了した。
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