4-9 【スキルチャージ】と特殊系4次職

 【精霊憑依】を組み込んだルーティンは、一日6時間でノースビーストリムダンジョンの11階層から15階層を6周、1集団10匹のハーピィパーティを240組屠ることを可能にした。


 その経験値効率は凄まじく、一日目で【ジョブホッパー】【精霊使い】【万能士】がレベル46に、【スキルコレクター】がレベル44になった。


 各ジョブの後半は本当に上がりにくくなっている実感はあるが、稼ぐ経験値が桁違いなため、とんでもない速度である。


 カイトが【スキルコレクター】のレベル40を達成したことで【スキルチャージ】を習得したが、とりあえずの使い道はない。

 現状で安定しているからだ。


 二日目にも同じ数だけ周回した。

 【スキルコレクター】がレベル48に、その他のジョブがレベル49となった。

 いよいよゴールが見えてきただろう。

 ラストスパートと言うには激しすぎるが。


 三日目、5周目が終わったところで【スキルコレクター】を除いた3職が転職準備状態を迎えた。【スキルコレクター】はレベル50だが転職準備状態ではない。

 転職できるかどうかの確認と、転職できた場合に、レベル1からの経験値を稼ぐために、【スキルコレクター】だけは残し、その日の狩りはそこで終了した。


ー▼ー▼ー▼ー


 「さて、じゃあ俺から転職を試すな?」


 「ええ、無事転職できるよう祈っておくわ。」


 「ん。」

 「わくわく。」


 そうしてカイトは転職を試みる。

 

 『【リクルーター】に転職しました。』

 『サードジョブ:【見習い戦士】に転職しました。』


 そんなアナウンスとともに、力の抜ける感覚と、新たなスキルが流れ込んでくる感覚が起こる。


 「・・・【リクルーター】って名前のジョブらしい。」


 サードジョブについてはまだ言わないようだ。


 「やっぱり有ったのね!私も転職するわ!」


 「ルナも!」

 「レナも!」


 そうしてここに希少職4次職のパーティが誕生した。


ー▼ー▼ー▼ー


 フェリアは【精霊術士】、ルナとレナは【ジェネラリスト】というジョブになった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【リクルーター】

特殊【遊び人】系統4次職

転職条件

 【ジョブホッパー】をマスターする

成長条件

 特になし

レベル上限:70

習得スキル

 【サードジョブ】(1)

 【職歴確認】(30)

 【職業斡旋】(60)


○【サードジョブ】:サードジョブを解放する。

○【職歴確認】:対象の現在のジョブ、過去のジョブ、転職可能ジョブを確認する。

○【職業斡旋】:対象のジョブを同意の上変更する。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【精霊術士】

特殊【感応士】系統4次職

転職条件

 【精霊使い】をマスターする

成長条件

 特になし

レベル上限:70

習得スキル

 【精霊術】(1)

 【精霊顕現】(30)

 【精霊器召喚】(60)


○【精霊術】:契約者と契約精霊が協力して使用する精霊術を扱えるようになる。

○【精霊顕現】:契約精霊を一定時間現界させる。

○【精霊器召喚】:対象とする契約精霊に応じた精霊器を召喚する。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

【ジェネラリスト】

特殊【雑用士】系統4次職

転職条件

 【万能士】をマスターする

成長条件

 特になし

レベル上限:70

習得スキル

 【多芸多才】(1)

 【消費魔力半減】(30)

 【消費マナゴールド半減】(60)


○【多芸多才】:全ての基本3次職のスキルが使用可能になる。スキルの消費魔力2倍、消費マナゴールド2倍。

○【消費魔力半減】:スキルの消費魔力を半減する。

○【消費マナゴールド半減】:スキルの消費マナゴールドが半減する。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 フェリアのスキルは分かりにくいものが多いが強力そうだ。


 【ジェネラリスト】はそのスキルが示す通り多芸多才だろう。【万能士】の【器用貧乏】の影響も残るので、そのスキルの多さによる【バリエーション】の利用と【ルーチンワーク】によるデメリットの緩和、レベルアップによる【多芸多才】のデメリットの緩和が出来れば凄まじいと言える。


 「消費2倍・・・。」

 「金食い虫・・・。」


 「まぁ今は稼げてるし、お金は気にするな。魔力管理をしっかりする方が大事そうだな?」


 2次職のスキルまで【多芸多才】の影響を受けるので、それについては誤算だろう。レベル30まで魔力管理が大変そうだ。


 【リクルーター】に関しては・・・やはり特筆すべきは【サードジョブ】だろう。

 【セカンドジョブ】だけでも強力だったのだ。


 そして今回は流石に希少職ではなかったようだ。

 これでとうとう【転職】スキルも日の目を見ることになる。


 【職歴確認】は【ジョブ鑑定】というべきものだろうか。【職業斡旋】のためのスキルではあるだろうが。

 

 【職業斡旋】はとうとう基本4次職の道筋が見つかったと言える。

 個人に依存するシステムはどうかと思うので、他にも方法はあるだろうが。


 カイトが【サードジョブ】で目指すのは、とりあえず全基本4次職の解放である。

 ジョブの存在さえ確認すれば、【職業体験】や【ものまね】、【スキルスロット】で十分対応出来るからだ。


 その後は5次職の存在を確認する必要があるが、未だに【職業確認】にはヒットしない。


 「よし、確認は済んだし、【スキルコレクター】が転職準備状態になるまでレベルを上げちゃおう。明日だけどな。」


 「今日って言われたらどうしようかと思ったわ。」


 「カイトならありえる。」

 「カイトだから。」


 「ないわ!!相変わらず失礼な!!」


ー▼ー▼ー▼ー


 そうして次の日。

 相変わらず11階層である。


 流石にレベル1では危険なので、普通にハーピィを探す。

 【ジェネラリスト】になったルナとレナがいるので、【罠探知】は二人に任せている。

 と言って消費が2倍なので悠長にはしていられないが。


 カイトは【スキルスロット】に【ダークイロージョン】を設定してある。

 【スキルチャージ】によって強化されるからだ。

 人に見られる恐れはあるが、闇に包まれてしまえば誰が使ったかは分からないだろう。


 フェリアの【精霊弾】の威力はレベルに依存しないので、トドメを任せるには丁度いいはずだ。


 そうして3パーティを殲滅すると【サードジョブ】の【見習い戦士】が転職準備状態になったので、【見習い職人】に変更する。

 【見習い戦士】の転職先には【戦士】【魔法士】【斥候】があることは確認した。

 最初の職業で自動転職する場合は様々な条件があるが、【セカンドジョブ】以降は自動転職はないようだ。

 それに【転職】スキルであれば【見習い戦士】をマスターしていれば問題ない。


 そうしてさらに3パーティ。11階層の殲滅が完了した。と言ってもすでに最初に倒したハーピィパーティはリスポーンしているだろうが。


 【見習い職人】はマスターしたので、【サードジョブ】は【戦士】にしている。


 4次職のレベルは13になった。

 ルナとレナがスキルや魔法を使うのはまだ厳しいだろうが、フェリアの【精霊術】は使えそうである。


 試し打ちを兼ねて最後の6パーティ目を相手に使ったところ、フェリアのイメージした攻撃をフェリアの魔力と対応する精霊の精霊力によって実現するものらしい。イメージする現象によって消費は変わるようだ。


 とりあえず試しにと、12階層では【広域招集:ハーピィ】を使用した。

 【スキルチャージ】なしのカイトの【ダークイロージョン】の火力が落ちていることもあって、多少時間はかかったが、それでもカイトは3次職のレベル50を持っている。

 【挑発】で危なげなく防ぎ切り、フェリアの【精霊弾】とルナとレナの弓の攻撃で殲滅し切ったのだった。 


ー▼ー▼ー▼ー


そうしてペースは落ちたもののルーティン通りの狩りに戻して数時間。

 【スキルコレクター】が転職準備状態を迎えた。


 【サードジョブ】の【戦士】もマスターし【魔法士】になっている。


 そして、偶然にも【リクルーター】【精霊術士】【ジェネラリスト】はレベル30となり、新たなスキルを習得したのだった。

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