4-4 アルマリアの様子とレベル上げ
ノースビーストリムに到着して、風鳴り亭で宿泊し始めてから数日。
毎朝【カモフラージュ】を利用し、アルマリアの様子を観察している。
分かったことは3つ。
アルマリアに同行者はいないこと。
3階に部屋を借りていること。
常に物憂げな様子をしていること。
1つ目は朗報だ。
まぁフェリアから同行者は下衆な男どもだったと聞いていたので可能性は高いと思っていたが。
2つ目も朗報である。
少なくとも顔を合わせる確率は下がった。
3つ目は・・・判断がつかない。
フェリアによるとお堅い性格ではあるものの、暗い雰囲気はないということだった。
好意的に考えるならば、自分のしたことを後悔しているとも思えるのだが。
接触は危険なようだ。
アルマリアは【軽戦士】だが、その強さはその範囲に留まらないらしい。
イグルードなぞとは比べ物にならないだろう。
言われてみれば、この世界では現在は3次職のレベル50が強さの上限だ。
全員が横並びの世界。そんな世界で権力を維持出来るものだろうか?
アルマリアには貴族、それも高位貴族の秘密が何かあると考えてもおかしくはない。
フェリアに言わせると、この発想も異常らしいが。
とにかく接触は避け、観察に留めることにした。
ー▼ー▼ー▼ー
アルマリアの調査とは別にノースビーストリムダンジョンの攻略も進めている。
人気階層の6階層から10階層は避け、【コールパーティ】で不人気階層の山地エリア、11階層から15階層の通称『ハーピィの巣』での戦闘だ。
ハーピィはランク3の鳥人間型のモンスターで、その厄介さは空中にいることが多いことにある。遠距離攻撃手段のない人間にとっては為す術がない。
しかしカイト達のパーティは全員が遠距離攻撃手段を持っている。フェリアだけ別格であるが。
そういうこともあって、人目につかず、数も多いハーピィはカイト達が戦うには適していた。
そこそこ広い階層で、奥へ向かうルートさえ避ければ人が来ることはない。
ハーピィは10体ほどの集団で現れる。
まずはハーピィ。集団の中で一番弱いノーマルのモンスターだ。攻撃手段は体当たりと足の爪による引っ掻き攻撃。カイトであれば難なく防げる。
次にハーピィスカウト。単独で行動し、獲物を見つけると仲間を呼び寄せる厄介なモンスターだ。カイト達にとっては飛んで火に入る夏の虫だが。
そしてハーピィメイジ。【ウインドボール】と【ウィンドアロー】を使用し、常に空中にいる厄介なモンスターだ。こいつのおかげでハーピィ達は前衛後衛の戦いが出来ている。
最後にハーピィウォーリア。剣を持って突撃とともに【パワーアタック】を仕掛けてくる前衛特化型のモンスターだ。空も飛ぶので厄介極まりない。しかも指揮官のようで、ウォーリアのいるいないで集団の厄介さがまるで違う。
構成はハーピィ4、ハーピィスカウト1、ハーピィメイジ4、ハーピィウォーリア1であることが基本だ。
ハーピィスカウトが発見し、仲間を呼び寄せ、ハーピィを突撃させている間にハーピィメイジが魔法を放つ。必死に対応していると、ハーピィウォーリアがその隙をついて突撃し、一撃離脱でまた空に舞い戻る。
厄介以外の言葉はないだろう。
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「スカウトがいるぞ!戦闘準備!」
そうしてカイト達とハーピィ集団の戦闘が始まる。
カイトのスキル構成は【ものまね】を【挑発】、【職業体験】を【罠士】で、【スキルスロット】で【パラディンガード】を使用後、【アースバースト】を装填してある。
ハーピィは土属性弱点のようで、先制で使うことで全体に大ダメージを与えられる。中には落ちてくるものもいるくらいだ。
開幕【アースバースト】のあとはカイトが挑発を使用。ハーピィ達の攻撃を一手に引き受ける。【パラディンガード】のおかげで盤石だ。
その隙にルナとレナは落ちてきたハーピィに【パワーアタック】や【シャープアタック】で止めを刺し、定位置に戻ってからは【マジックボール】で牽制を兼ねてダメージを与える。
フェリアのすることは単調だ。5体の精霊による【精霊弾】の連発である。
土属性のカルムの【精霊弾】は別格で、かなりの威力が出ている。逆にアルムの風属性は防御属性のようで効果は薄い。
ちなみにアルムはこのダンジョンの精霊と同化して無事風属性を手に入れた。風属性ダンジョンだけあって、風の精霊が多いようだ。
という感じでハーピィ集団に対する安定的な攻略方法を見出せた。
ここまで来るのに、カイトの単独での移動に2日間、攻略法の考案に2日間かかっている。今日で5日目だ。
その遅れを取り戻すかのようにハーピィ達を屠っている。その勢いは凄まじい。
大体1時間に6集団ほど倒せるスピードだ。
昨日安定した後の1時間だけで、14000弱のマナゴールドを得ている。宿泊代など余裕で払える額だ。
レベルも【ジョブホッパー】【精霊使い】【万能士】がレベル27、【スキルマニア】がレベル25と、一つずつ上がった。
そして今日は5時間。
【スキルマニア】がレベル30に達し、転職準備状態になったところで終了した。
他のジョブはレベル27から32まで上がった。
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ハーピィが齎したものは経験値とマナゴールドだけではなかった。
ジョブである。
【メイジ】と【スカウト】、ついでに【ウィザード】を発見したのだ。【ウォーリア】はなかった。
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【メイジ】
基本4次職
転職条件
【攻撃魔法士】をマスターする
【回復魔法士】をマスターする
成長条件
モンスターを討伐する
職業に関連した行動をする
レベル上限:70
習得スキル
【光属性適正】(1)
【リフレクション】(30)
【シャイニングレイン】(60)
○【光属性適正】:【属性変更】に光が追加される。ワードは【ライト】。
○【リフレクション】:光の壁を展開し魔法を跳ね返す。
○【シャイニングレイン】:光の矢が降り注ぎ敵全体にダメージを与える。
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【ウィザード】
基本4次職
転職条件
【攻撃魔法士】をマスターする
【補助魔法士】をマスターする
成長条件
モンスターを討伐する
職業に関連した行動をする
レベル上限:70
習得スキル
【闇属性適正】(1)
【ダークミスト】(30)
【ダークホール】(60)
○【闇属性適正】:【属性変更】に闇が追加される。ワードは【ダーク】。
○【ダークミスト】:闇の霧を発生させ、敵全体の視界を奪う。
○【ダークイロージョン】:闇の霧を発生させ、敵全体にダメージを与える。
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【スカウト】
基本4次職
転職条件
【狩人】をマスターする
【鑑定士】をマスターする
成長条件
モンスターを討伐する
職業に関連した行動をする
レベル上限:70
習得スキル
【気配感知】(1)
【五感強化】(30)
【スキル鑑定】(60)
○【気配感知】:気配を常に感知することが出来るようになるバフスキル。
○【五感強化】:感覚を鋭くすることが出来るバフスキル。
○【スキル鑑定】:対象が持つスキルを把握できる。
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光属性魔法や闇属性魔法、そしてその威力も相当なものだったが、目立ちすぎるため使い所が難しかった。何より消費が激しすぎるため、現状まともに使うには【スキルスロット】が必須であった。
それよりも現状において特筆すべきは、【スキル鑑定】だ。4次職の中には【アサシン】の持つ【鑑定阻害】があるが、現時点で防ぐ術はない。マジックアイテムなどはあるかも知れないが。
【スキル鑑定】も3次職までのスキルが全て知られている今、人に対してはほとんど意味のないものだったが、現時点においては違った。
それはアルマリアの持つスキルがとんでもなかったからだ。
☆アルマリア 所持スキル
【奴隷根性】×
【スレイブジョブ】×
【身体強化】
【滅私奉公】×
【サーバントジョブ】
【戦闘体勢】
【パワーアタック】
【従者魂】
【アイテムボックス】
【パリィ】
【カウンター】
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