第27話 初探索を終えて
初めての探索ということで、予定通りお昼になる前に屋敷に戻ってきた。
「今日の成果は魔の森で狩りができそうってことが分かったことかな」
昼食を取りながら、今日の探索を振り返る。
最初のリスと遭遇するまではそれなりに時間がかかったけれど、それ以降は割と頻繁に生き物に遭遇することができた。
一番多く見かけたのは最初に出会ったリスで、次いで大きなネズミみたいなヤツが多かった。
ネズミっぽいのはリスと同じくらいのサイズも見かけたけれど、大きいヤツと同じ種類なのか別の種類なのかはわからない。
見た目が違ったように見えたから違う種類のような気はするけれど、大人と子供でまるで見た目が違う動物とかもいるしね。
「そういえば、以前マリーさんに聞いた動物たちは見かけなかったわね。
ウサギを1回見たのと野鳥を何度か見かけたくらいかしら。
やっぱり、ボアみたいな大きな動物はもっと奥に行かないといないのかしら?」
今日の探索範囲は、午前中に往復できる範囲でしかないのであまり広くない。
それに、屋敷の右手の森を真っすぐ進むように探索したので、探索した場所の森の深さとしては屋敷と大して変わらないはず。
まあ、屋敷の周囲に大型の動物がいないのは良いことではあるけれど、狩りのときにかなり奥まで行かないといけないとなると、それはそれで厳しいものがあるかもしれない。
「まあ、どうせ1人なんだから小型の獲物で問題ない気はするけどね。
というか、仮にボアを狩れたとしても持ち帰るのが厳しい気がするし」
一応、屋敷の整理中にそこそこの容量があるマジックバッグを見つけているので、ボアみたいな大型サイズでも持ち帰れなくはない。
ただ、持ち帰ったところで解体できないし、ギルドに持ち込むのも無駄に心配をかけそうなので難しい。
「まあ、それも先の話かな。
まずは周囲の森の様子を確認するのが最優先だろうし、実際に狩りに手を出すのは周りの確認が終わってからだね。
そもそも確認が終わらないと狩りのために用意する道具も決まらないしね」
今のところ考えているのは罠を使った狩りなので、狙う獲物のサイズくらいは把握していないといけない。
後は行動範囲もチェックする必要があるし、獲物以外の危険な動物がいたらその範囲を避けるようなことも必要になるだろうし。
「後はまあ、狩り以外の採集できるものの確認も必要だしね」
今日の探索だとあまり見つけることができなかったけれど、狩りのために森に入るのであれば、ついでに木の実だったり野草だったりを採集したい。
一応、薬草畑と野菜畑があるけれど、森の中でしか手に入らない物もあるかもしれないし。
まあ、これについても今後の探索次第なんだけれど。
「やっぱり、しばらくは周囲の確認を兼ねた探索を進めるしかないかな。
探索に慣れる必要もあるし」
とりあえず無事に終わった初探索だけれど、課題も見つかっていたりする。
たぶん探索に慣れていないことが原因なのだとは思うけれど、はっきり言って周囲に対する注意力が足りていなかった。
リスやネズミみたいな小動物を見かけてはいるけれど、これはあちらが音を立てたりしたから気づけただけだ。
実際、音を立てていなかったヘビには気づけなかったし。
「いや、あれはかなりビックリしたよね」
何せ横を向いた瞬間に木の枝にぶら下がったヘビと目があったからね。
普通に驚いて叫び声を上げちゃったよ。
まあ、そのおかげでヘビの方から逃げてくれたから被害はなかったのだけれど。
ただ、このときに襲われていたとして、ちゃんと対応できたかはわからない。
ローブのおかげで首元とかは守られていたから、ダメージを負う可能性は低かったと思うけれど、パニックになってその後の対処を誤った可能性はある。
そもそも、あのヘビが毒を持っていたかどうかもわからないし。
「考えてみると見つけた動物とかの知識も必要になるのか。
当たり前だけど、森で採集もするのだとしたらその知識も必要になるし」
今日の探索でキノコも見かけたけれど、キノコとか知識が必要なものの筆頭かもしれない。
いやまあ、この世界だと鑑定の魔道具とかいう便利アイテムがあるから食用かどうかくらいはわかるけれど。
ただ、それでも最適な採集方法や利用方法なんかは図鑑などで調べないとわからない。
「まあ、ゆっくりと気長にやっていくしかないか」
とりあえず、次の探索からは鑑定の魔道具を持っていくことにしよう。
そう決意して明日の買い出しのための準備に取り掛かることにした。
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