第20話 魔法陣の効果
「あれっ、これってもしかしたら魔法陣の効果が出てたりする?」
魔法陣による対策を始めて数日。
途中途中で魔法陣の追加もしながら薬草畑の開拓を進めた結果、ようやく薬草畑の手前側全体の刈り取りが終わった。
その刈り取りが終わってすっきりとした光景を見て気づいた。
薬草を刈り取った場所から新しく芽が出ていないではないかと。
気づくのが遅い気もするけれど、ついつい計測した魔素量の数値ばかりを気にして薬草畑そのものについてあまり気にしていなかった。
そもそも刈り取った場所から新しく芽が出るのを防ぐことを目的としていたはずなのに。
「でも、周囲の魔素量自体は初日からほとんど変化してないのよね。
なんでだろ?」
記録を見る限りでは、計測した魔素量に変化はほとんど見られない。
一応、初日よりも数値が良化しているように見えるけれど、そもそもの数値が高すぎて誤差レベルだった。
けれど、そもそもの目的である新しく栽培を始める前に芽が出るという事態を防ぐことはできている。
つまり、これはもう対策が成功したと言っていいのではないだろうか。
「新しく流入する魔素を魔法陣で吸収しているのかな?
それで魔素濃度がそれ以上高くなることがないから新しく芽が出なくなった?」
問題だったのは、種を蒔いていないにもかかわらず新しい芽が出ていたことだ。
推測通り魔素濃度を下げるために新しく薬草の芽が出ていたのであれば、魔法陣を使って魔素量の増加を防ぐことで対策できそうな気がする。
「しばらくは様子を見た方がよさそうだけど、薬草畑の魔素濃度対策は一段落したと思ってよさそうね。
そうすると、これからのことを考える必要があるのかしら」
目の前に広がる薬草畑へと目を向ける。
手前側のエリアはサッパリとしたけれど、その奥に関しては相変わらず異常成長した薬草たちに占領されたままだ。
素直に考えるのであれば、このまま薬草畑の奥側も開拓していけばいいということになる。
けれど、残念ながらこれ以上刈り取った薬草を保管しておくだけの場所がない。
いやまあ、場所ならあるんだけど、薬草の劣化を防ぐことができる保管庫の容量がもう残っていない。
今でも既にオニキスのエサだと割り切って半分以上を外の倉庫に積み上げているのに、それを増やしてしまうのはさすがにもったいない。
薬草畑の薬草を売れば1年くらいはどうにかなると考えていたのに、それをしてしまうと半年すら怪しくなりそうだ。
だから、薬草畑の奥側に残った薬草たちについては段階的に刈り取っていきたい。
「試しに薬草畑以外にも手を付けてみる?」
今後の金策も考慮して薬草畑にかかりきりになっていたけれど、この屋敷には手を付けられていないところが多い。
屋敷外であれば、麦や野菜を育てていたらしい畑や種類のわからない実を付けている果樹園がある。
屋敷内に関しても、普段使っているキッチンやお風呂場以外だと地下の実験室くらいにしか手を付けられていない。
その実験室にしても、魔法陣がらみで探し物をしただけで、まだまだ整理しきれていない。
「こうして考えてみると、まだまだやることはありそうね。
というか、前に町で買ってきた種もまだ植えられてないし」
これは、一度整理し直した方が良いのかもしれない。
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