第19話 魔素異常の影響
「そういえば、気にしてなかったけど薬草が異常成長するくらいの魔素濃度ってどうなんだろ?」
朝食を食べている最中にふとした疑問が浮かんできた。
今さらな気がするけれど、魔素濃度が高い環境にいたときの影響について知らない気がする。
「……あれっ、もしかしてかなり危険なことをしてた?」
そういえば、薬草を売りに行ったときにギルドのお姉さんに薬草の異常繁殖について心配されていた気がする。
あれが魔素濃度の高さに対するものだったのかはわからないけれど、何かしら心配する要素があったのだろうし。
ヤバいのでは?
そんな考えと共にイヤな汗が出てくる。
一応、これまで特に影響が出ていないので、少なくとも即座に影響がある類のものではないはずだ。
けれど、だからといってこのまま今まで通りのんきに開拓を行おうという気にもなれない。
「とりあえず、調べるだけ調べておきましょう」
そういうわけで、魔素異常の影響を確認するために実験室に向かうことにした。
「とりあえず、大丈夫なのかな?」
結局、午前中の全てを調べ物をするために費やすことになってしまった。
けれど、ひとまず魔素濃度が高い環境にいても人体に悪影響はなさそうなことが分かった。
まあ、魔力が増えたり、魔力が回復する速度が上がったりと影響がないわけじゃないみたいだけど、悪いことじゃないから大丈夫でしょう。
……たぶん。
強いていえば、魔素に対する抵抗力の低い動物の場合は稀に魔物化することがあるというのが懸念点だろうか。
ただ、これについても単に肉体が魔素で強化されて体内に魔石ができるというだけらしいのであまり問題にはならないと思う。
魔物化したからといって突然凶暴化するわけではないらしいので。
私は知らなかったけれど、かつては国が魔素濃度が高い環境に軍馬を連れて行って意図的に魔物化させようとしたこともあるそうだ。
まあ、魔素濃度が高い環境を用意するのが難しい上に、魔物化する確率も低いので実験的に行って以降は実施されてないらしいけれど。
軍馬の魔物化は戦力アップとして悪くないと思うんだけど、それがされてないということは魔素濃度を高めるためのコストがとてつもなく高いか魔物化の確率が相当に低いのだと思う。
「というわけで、今日も開拓を頑張りましょう。
オニキスもよろしくね」
不安も解消されたところで、午後からの開拓へと元気よく向かうことにする。
魔物化によるデメリットもなさそうなので、いつも通りオニキスも一緒だ。
改めて確認してみると、貸馬屋から買い取った頃に比べて、オニキスも心なし元気になったように見える。
もしかしたら、魔素濃度が高い環境に居続けたことで身体が強くなっているのかもしれない。
まあ、単に自由に過ごせるようになって健康的になっただけかもしれないけれど。
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