第13話 薬草畑の現状

「うん、これで止まったね」


 魔道具がたくさんありそうだという可能性に気を取られてしまったけれど、当初の目的を果たすことにした。

 つまり、魔道具の停止だ。

 幸いにして、魔道具のオンオフはステータス画面の中にあったのですんなりと停止させることができた。


 ちなみに、ポイント設定に関しては4つ使用するもの以外に、1つ使用と2つ使用の方法があるらしい。

 ポイントの部分をタッチして出てきた画面の中に設置数の設定があったので、それで判明した。



「あー、気づいたら結構いい時間になってる。

 オニキス、私はお昼ご飯を食べてくるよ」


 ほぼ真上にある太陽を見上げてから、オニキスに声をかけて屋敷へと戻ることにした。




「魔道具は4×6で24個かな?

 とりあえず、この薬草畑のエリアだけだけど」


 昼食後、薬草畑に戻ってきた私は方針を変更して、手前側にあるはずの魔道具を探すことにした。

 まずは昼前に見つけた魔道具と同じグループに設定されているポイントCの魔道具を探すところから。


 これは比較的あっさりと見つかった。

 おおよそ目星をつけた周辺を注意して探してみると土に埋もれているのが見つかったので。

 で、その魔道具も同じように停止させてから、今度は横に向かって草刈りを開始。

 午後一杯を使って、どうにか薬草畑の横方向のすべてを確認することができた。

 まあ、最初の1個を見つけるまでは手探り状態だったせいで、ふらふらとやや広範囲に草を刈っていたりしたからね。

 今回は目標もはっきりしていたし、ポイントDに位置する魔道具を見つけてからはさらにおおよその位置も見当をつけることができたのも良かったみたいだ。


「まあ、それでもこの薬草畑全体を刈りつくすのは相当時間がかかりそうだけど」


 これはあれかな?

 魔道具の範囲が6分割されていることも分かったし、まずは一ヶ所だけきれいにして、残りは気長にやるのが良いのかな。

 そうすれば、オニキスのエサも確保できるし。


「よしっ、そうしよう!」


 頭の中で考えをまとめ、そう声に出して結論付ける。

 ひとまず、日も落ちたことだし今日のところは終わりにしよう。






 翌日。

 まずは一ヶ所きれいにしようと思っていたのだけど、それより先に魔道具だけは停止させておかなければということで、残った魔道具の捜索を行うことにした。

 といっても、手前の3カ所については見つけた魔道具を停止させたのでエリアとして効果は出ていないはず。

 見つかっていない魔道具自体は稼働しているだろうけど、設定異常になって魔道具の効果は発揮されていないはずだ。


 なので、やりたいのは奥側にある3カ所の魔道具を停止させること。

 まあ、おおよその位置がわかっているので昨日と同じように半日程度で終わるでしょう。




「くそぅ、考えが甘かったか……」


 ひとまず、奥側の魔道具を停止させるという予定は終えることができた。

 ついでに今日という1日も終わってしまったけれど。


「はぁ、気持ちを切り替えて明日から頑張るしかないか」


 そんなことを口にしてみるけれど、イマイチ効果はない。

 何故なら、今日見つかった魔道具の数が12個あったから。

 そう、奥側のエリアは手前よりも細かく分割されていたのだ。


 で、昨日見つけた手前側のエリアは正方形に設定されていた。

 それと同じだと考えると、奥側にはさらに分割されたエリアが存在しているということになる。

 もちろん、奥側のエリアが縦長に設定されている可能性もあるけれど、望み薄な気がする。


「まあ、需要とかを考えると大量に必要になるものと少量でいいものとで違うんでしょうけど、今の私的にはメンドーなだけだわ」


 暗くなってきた中、薬草畑の奥を見てそう愚痴をこぼした。

 とりあえず、考えるのは明日にしよう。

 そう考えて屋敷へと帰ることにした。






 明けて翌日。

 とりあえず、薬草畑の奥については考えないことにして、手前のエリアを1つ使えるようにするという当初の目的に戻ることにした。

 正直、メンドーだっただけというのは否定しないし、ただの先送りだというのもわかっている。

 それでも、ちょっと心が折れてしまったのだから仕方がない。


 で、手前の3つのエリアについてだけど、植えられていたのは2種類の薬草だった。

 左と真ん中がソルベ草、右がリリル草だ。

 この2つはマナポーションの材料となる薬草らしく、おそらく以前の屋敷の主人が特に必要としていたのだと思う。

 なにせ、やっていたのが魔法の研究なのだから、魔力を回復させるマナポーションは必需品だったのだろう。


 3つのエリアからどのエリアを使うか。

 正直、決めかねている。

 まあ、深く考えずにどこか1つをコインでも投げて決めてもいい気もするけど、出来ればこれからの資金稼ぎに使いやすいものが植えられていた場所が良い。


 理由は魔道具の設定がメンドーだから。

 うん、この魔道具、設定画面から育成対象の設定ができるくせに魔道具内の魔導回路を交換しないといけないんだよ。

 つまり、設定画面から変更できても、実は魔道具によって育成対象は決まっているという罠。

 いや、なら最初から固定しておけよと思ったね。


「というか、この魔道具って自作っぽいんだよね」


 素直に考えるなら、節約とかのために自作して魔導回路を固定したというところだろうか。

 固定じゃなかったら、単純に設定可能な種類の分だけ魔導回路が必要だということだろうし。

 そうなると魔導回路の分だけコストがかかる。

 汎用性はなくなるけれど、種類が決まっているのであれば固定してしまった方が簡単だったんだろう。

 もしかしたらサイズ的にもメリットがあったのかもしれない。


「でも、再利用しようとしている私は苦労するっていうね」


 そう愚痴りながら薬草畑を眺める。

 一部だけ薬草が刈り取られてすっきりしたところがあるけれど、全体的には相変わらず鬱蒼とした状態だ。

 長期戦は覚悟の上とはいえ、やはりうんざりする光景には違いない。


「はぁ、とりあえず一度町まで売りに行ってから何を育てるかを決めますか。

 そうなると、今日は各エリアの薬草を少しずつ確保してから明日の準備という感じかな」


 手前の3エリアと奥、あるいは中間の6エリアの薬草を集めて売りに行けば多少は生活費の足しになるでしょう。

 で、実際に売れた中で一番お金になったものが育てられているエリアから手を付けるという方向で。


 そんな風に方針を決めた私は、気合を入れて目の前の薬草畑へと突撃していった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る