【2段階 - 5,6】神「こいつは陰キャだからハードモードでヨシ!」

 既に教習も終盤になってきたのだが、実はまだ試験項目で練習していない課題がある。


 それは急制動だ。勢いよく加速して時速40kmを保った後、指定された地点からブレーキをかけて目標位置の手前で止まる……というもの。


 バイクは自動車と比べると事故リスクが高い乗り物だ。特に、車の無理な割り込みや横切りは多いらしく、急ブレーキが必要になる機会もまた多い。その為、予め教習所で練習しておきましょう、という事らしい。


 普通二輪の場合、停止目標は基本的には11メート ル以内。しかし、教官は「今日は14m以内に止まろうね」と言ってきた。


 別に教官が間違えた訳でもなく、コケまくる私に同情して特別待遇した訳でもない。

 この日は雨だったのだ。路面が濡れているとブレーキの効きが悪くなるので、停止位置もその分伸びる。


 なんというかこう肝心な時に悪天候になるのは、神様が「陰キャはバイクに乗るな」という怒りのメッセージがあるからなのか、はたまた執筆のネタを余すことなく提供してくれる笑い神のありがた迷惑な配慮なのか。


 ただ、公道と違ってある程度安全が確保されている教習所において悪条件で走れるのはラッキーなのかもしれない。良い経験なのだと思っていざ1本目。


 速度は出ていたがブレーキをかけるタイミングが早くて失敗。

 その後はクラッチを握るのが早かったり後輪がロックしてずるずる滑ったりしたが、停止目標までには止まれていた。


 というかこれ、本気で急ブレーキかけなくても十分止まれるのではないか。

 毎回目標より2、3メートル手前で止まっていたので教官からは「できればラインぴったりで止まりたいねぇ」と苦笑いされた。でも急ブレーキの訓練という名目なら素早く止まれるに超したことはないと思うけどね。バランスも崩してないし。


 教官からは「素早い加速が大事なので、今日やった感覚を忘れないようにしましょう」と言われて本日の教習は終了。



 ちなみに次のコマも急制動の練習がメインだった。

 天気は曇りであったが、直前まで雨が降ってたせいで路面はびしゃびしゃ。停止目標は変わらず14mになってしまった。あの……たまには乾いた路面でも走りたいんですけど神様……(笑



P.S.

これまで毎時間スーフォア君を倒していた私ですが、なんとこの日はコケませんでした!!

急制動でコケたらほぼ間違いなく怪我しますからね。心理的にもブレーキが掛かっていたのでしょう。……急制動だけに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る