🦊2 序章
月下の駿府
カランコロン。
カランコロン。提灯の明かりが頼りの中、男性はゆっくりと歩く。
ふわふわした髪を束ねた茶色に近い黒髪を持ちながら彼は歩く。
三日月は
「あの人はなんでここにいけって命令したんだか」
見回りついでのお散歩道を彼はゆっくりと歩む。城の見回りの者とは顔見知りになるほど、お散歩の道と一つとなっている。かつては天下の
だが、町並みに電柱はない。ネオンもなく、電気の明かりもなく現代家屋やビルもない。あるのは、木造と障子のある建物。昼間になれば
大きな武家屋敷を通り、長屋を通り、寺社地を通り。町の道にはいくつもの
彼は町並みを見ながら空を見る。
《八一。君にも僕や茂吉のように大切だと思う人物が現れるよ》
かつての親友兼相棒の言葉を思い出して、彼は息を吐く。ため息をつくと幸せが逃げると言うが、精神を整えるために必要な行為だ。吐く度に心の重荷が減っていく。大切だと思うのは親友と組織の仲間ぐらいなものだと、彼は考え
「なんか、面白いこと起きないか……」
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