🎆1―2章 彼女に幸 敵には凶
誰かへの思い
ある部屋にて。彼は手紙の続きを書こうとしていた。だが、筆がいつも止まってしまい、続きを書けない状態が続いている。
今、彼は複雑な心境だからだ。会えて、生きている姿を見られたのはよかった。だが、名前をとられて、生き生きとした姿を見られないのは彼にとって望ましくない。
「普通に生きていると思ったのに、何故あんな風になって」
ポツリと呟いて、彼は拳を握る。彼女の幸せそうな姿を一目見るだけでよかった。影から彼女の人生を見守り続けて、彼女に降りかかる凶を退けていくつもりだった。
なのに、何故、普通の人として生きさせてあげないのかと溜め息を吐く。彼はベッドに寝転んで、天井を見つめた。
彼は個人的な気持ちは過去として置いていくつもり。少女の人生を好きなように生きさせるために。彼女が結ばれるべき人と幸せになってほしいために。
少女の答え次第ではあるが、彼は大切に思う彼女が幸せであるならそれでよかった。
「……今の君の気持ちを大切にして」
誰も聞かせないような小声で呟く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます