解決へ
藤田さんを見送ったマスターはお皿を洗いながら嬉しそうだ。
「フジちゃん、元気そうで安心したよ」
その言葉に探偵は、「古い付き合いなんですか」と尋ねる。答えたのは自治会長。
「常連中の常連。彼と話をするときは『秋雲』だよ」
その言葉にマスターも「雨の日は”客もこないし”と来てくれたんだ」と笑う。
「ずっとここの勤務でいいかな。良い喫茶店もあるし」
巡査部長は空き箱になったバウムクーヘンの箱をつついている。
そこに探偵が「ところで」と、小さく手を叩いて席につく。
「藤田さんの自転車もアルミ自転車ですよね?」
探偵の質問に巡査部長は「だからやられたワケで」と顔を上げる。
その言葉を聞きながら、マスターは手を拭いて探偵の横に座る。
「銀色で茶色の尻当て《サドル》だったね」
その言葉に疑問の声を出したのは自治会長と巡査部長。
「フジさんのは黒いサドルだよ」
「あの方のは赤いサドルだったはず……」
お互いに顔を見合わせる2人。
さらに探偵が一言。
「私が現場近くで見かけた際は、さらに違うアルミ自転車でして――」
喫茶店『秋雲』にいる一同は思わず黙り込んでしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます