対策会議

「しょうもない理由でやっているのかね」


 事件の経緯を聞いた藤田さんは渋い顔でコーヒーを飲む。


「おそらく愉快犯。捕まるまでやめないでしょう」


 そう言うと、巡査部長も渋い顔でコーヒーを飲み干す。


「それがこの商店街にも来てしまったわけです。」


 自治会長は真剣な面持ちで語る。


「いや、私のは物忘れだと思うよ」


 大急ぎで藤田さんが自治会長に話しかけたが、探偵は「別件です」と手を挙げる。


「既に3件ほど確認されています」


 藤田さんは「そうか……」と座り直す。

 その座り直すのを確認してから自治会長は司会役として口を開く。 


「そこで我が商店街も警察など専門家の意見を聞きつつ、対策会議を開く予定です」


 これは商店街で行われる対策会議のリハーサルなのだ。


「私は”元”商店街の住人だよ?」

「いや、何よりも自転車の専門家ですから。ぜひ」


 そう言われると藤田さんは、「やはり、備え付けとは別に鍵をかけるしかないでしょうなぁ」と腕を組んで話し始める。


「あとは駐輪場を整理しないことには見張るのも難儀しますし」


 その言葉に自治会長は「そうですよね……」と力なくため息をつく。

 商店街は店と店の間に駐輪する人もいるうえに、駐輪場の放置自転車の問題も抱えているのだ。



 

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