第26話
どれ程眠ったのか、幸雄は下半身に妙な感触を感じて目覚めた。
部屋は明るかった。すぐには時間の見当がつかない。午後だろうとは思ったが、まだ秋のこととて日は永い。午後も遅くなっていないとは限らなかった。
彼はうつぶせに寝ていた。股が妙な具合に開いているようだ。感覚はそこからやって来ていた。
首を捩って足元の方を見た。どうも臀部が掛布団から出ている感触なのだ。するとその辺りに沈んでいる由香里の顔が半分見えた。
幸雄は目を閉じて、加えられている感触に浸った。
由香里の舌が強力な括約筋をこじ開けて中に侵入しようとしていた。それが困難とみるや、周りの粘膜を舐めまわし、そうやってほぐしてからまた侵入しようとした。それが繰り返された。
幸雄は括約筋を弛めてやった。途端に舌先が鋭く刺さってきた。
「う~ん……」
思わず呻いていた。
腕を伸ばして由香里の後頭部を掴み、軽く自分に押し付けた。
由香里が顔をあげて、笑った。悪戯を見つけられた子供のような表情だった。だが行為は止めない。幸雄の腰を横に捻ると、肛門と陰嚢の間を舐めあげた。その舌が次第に這い上がってきた。陰嚢を唇に含まれ、内部の玉をしゃぶられた。そのうち前面にあるものが勢いよく頭をもたげてきた。自分の回復力が我ながら誇らしい。
撥ね上がろうとする力が、半端に掛かった寝具に阻まれて痛い。幸雄は仰向けになった。途端、それがそそりたった。その勢いに由香里が一寸びっくりした。夫婦は互いに顔を見合わせ、笑いあった。
由香里はすぐにそれを手で二三度しごき、笑んだまま幸雄の顔を一瞥すると、呑み取った。
幸雄は掛布団を払いのけ、彼のものを留めている由香里の口を支点に180度水平に回転した。そして間近に来た由香里の片脚を掬って、脚の間に顔を入れた。
すると今度は由香里が仰向けになろうとした。二人は絡まったまま体を入れ替え、幸雄が上になった。すかさず由香里が蛙のように脚を折り曲げた。
幸雄は下になった女体の繊細な部分を指で拡げようと覗き込んだ。ところがそこは既にたっぷりと潤い、発育しすぎた花のように捲れあがっていた。行為の最中ならいざ知らず、そこに到る前からこんなに発情している姿を見るのは珍しい。初めてしをりを交えてしたさっきのセックスがまだ尾を引いているのだろう。
花弁の外縁から舐め始めた。途端に股全体がベタベタしてきた。乾いていた幸雄の放出液が水分を得てジェル化し始めたのだ。
舌を強く挿入した。迂遠な愛撫は必要なかった。男女のどちらもが強い刺激を求めていた。幸雄の舌は長い。その長い舌を由香里が喰い千切らんばかりに締め上げた。幸雄のものも今や喉深くに呑み込まれているようだ。下腹にぐいぐい由香里の顔が押し付けられる。幸雄が満足に腰も振れないような圧力だった。
間もなくして由香里を組み敷いて、まさに挿入した時、ドアがノックされた。
訪いをいれたのが誰かは考えるまでもない。膳場や麻里は休日の幸雄夫婦の営みの激しさを知っているから、用があるときは必ず先に電話を入れてくる。
「開いてます」
と、下から由香里がこたえた。腹筋の動きにつれて幸雄のものがぎゅっと締め上げられた。
入ってきたのは、当然しをりだった。
少女のようにはにかんでいた。ほんの数時間前(?)、牝蟷螂のように男を貪ったのと同じ女とは思えない。こんなところがしをりの可愛いところなのだ。
しをりはピンクのネグリジェを着けていた。大胆なカットもなく、短くも透けてもいない。ごくごく大人しい前合わせのタイプのものだ。多分何を着てくるべきか、さんざん迷ったに違いなかった。あまりあからさまなのはいかにもそれ目的らしくて下品で恥ずかしいし、カシッとしたのも夢中になっている二人には場違いだろう――そう考えたに違いない。そして大分前から幸雄達の部屋の様子を外から窺い、営みが始まった気配に入ってきたのだろう。
幸雄は嬉しくなった。
「お早う!」
「お早うございます!」
夫婦は声を揃えた。由香里まで「お早う」と言ったので、実際の刻限はともかく、三人とも直前まで眠っていたのだろうと分かる。
「お早うございます」と返すしをりの声は少し掠れていた。
彼女は後ろ手に持っていたワインを胸の前に掲げた。
「一緒にどうかなと思って……」
「それは嬉しいな!」
「有難う!」
「でもさ、運動後のワインは特に美味いよ?」
そう言いながら幸雄は腰を動かした。ぺちぺちと若い肉と肉がぶつかる音がした。
「そお……?」
しをりの息もすでに弾んでいる。
しをりはサイドテーブルの一つにボトルを置き、夫婦の方に寄って来た。
幸雄の裸の尻を撫で、下になっている由香里の体の側面を撫でた。目が交接部分に釘付けになるのが、幸雄にも分かった。
由香里が腕を伸ばして、しをりのネグリジェの前の紐を解いた。身頃を払う。反対側は幸雄が払った。
真っ白な肉体が現れた。雪に降り閉ざされた日々の後ようやく晴れた朝、外に出た瞳に雪の純白が痛いほど眩しい――そんな鮮烈さだった。
熟れた一対の果実も零れ出ていた。
下には淡いピンクのショーツを着けていた。セクシーランジェリーの類いではないが、おばさん型ではなく、露出の程々なお洒落なショーツだった。それが程よく女体を引き締め、そのことで生まれたラインが、熟れた腰部を却って強調していた。また色合いも肌の白さと女体の円やかさをより一層引き立て、女らしい色気を醸しださせていた。
その豊醇に幸雄は一瞬にして酔った。
堪らずショーツを下へ引き下ろしていた。由香里もネグリジェを脱がそうとした。するとしをりが自ら脱いだ。
ふわっと淡く香水の香がたった。ソープの匂いも混じっている。風呂をつかってきたようだ。そういえば髪も整っている。
曲線しか存在しない肉体の、そこだけが縦一文字に深く彫り込まれた円やかな谷が幸雄の目を射た。薄い翳りがその上に載っている。色は浅く疎らで、蒼天の日輪にかかる薄い絹雲を連想させた。が、その存在が却って淫靡だ。
幸雄は指を差し伸べた。そこは何の抵抗もなく、こめた力の分だけ左右にたやすく割れた。生々しい女の野生が喉元を開き見せていた。いかに洗っても、欲望の表面的な徴は消せても、芯に燻る火種は消せはしない。
更に指を挿入しようとすると、素早く由香里が動いた。幸雄に先んじて、彼女の舌が入っていった。舌の裏が摘出したばかりの内臓のようにヌラヌラ蠢き、エロチックだ。
「ああんっ!」
しをりが派手に悶えた。深い関係になっている間柄では遠慮はない。体をブルブル震わせながら膝を曲げ、自ら股を開いた。
由香里の顔面がしをりの股の間へとどんどん入っていく。それにつれてしをりが前にのめってきた。目の前に突き出てきた熟れた果実を両つ、幸雄は鷲掴みにしてかぶりついた。
しをりは膝の上でショーツが一杯に張りきり、肉に食い込んでいる。それ以上脚を開けないしをりは、由香里を受け入れるために脚をがに股に開き、更に膝を折った。卑猥な恰好だ。由香里は狭い空間に頭を挟まれた。ショーツがまるで枕のようになってしまった。
しをりが夢中で腰を前後に動かし始めた。由香里の顔の凹凸を使って股間を刺激するのだ。実に淫らな動きだった。幸雄は自身の強張りが由香里の中で更に硬化するのを感じた。
由香里を楽にしてやることにした。
由香里から砲身を抜き取り、脚を引っ張って顔を引きずりだした。反動で前によろけ出るしをりを抱き留めた。柔らかい、パウダーのような感触が胸に密着した。その肌触りに幸雄は昂った。
しをりを後ろ向きにさせた。背中を押して屈ませる。豊かな臀部が一層膨らんで、幸雄の視野を大きく塞いだ。
その姿勢で、しをりは自分からショーツを脱いだ。
幸雄は両親指で尻の肉を開き、由香里が半ばこじ開けたらしい唾液に濡れた、後ろにある括約筋に舌を突き入れた。
「ああっ! あっ!」
しをりが悶えた。
その臀部を平手で張った。
みるみる手形が浮き出てきた。
これがしをりの膚の特徴だ。しをりも由香里も肌はぬけるように白い。だがその白さに違いがあった。由香里の白さは、真珠の輝きのように内側から照り映えてくる白さだ。一方しをりの膚はすぐに血の気を帯びる。血潮が映えた白さだ。高揚すればする程、肌が紅潮する。
幸雄はどちらの膚も好きだった。今こうしてその二つを我が物としているのだ――その征服感が更に彼の蕩心を煽った。しをりと由香里。二つの女体を並べて交互に責める――その光景をこれまで何度夢想したことか。それが現実となっているのだ。
自らの先端にぬるりとした感触があった。由香里の舌が絡みついたのだ。
「う~むむ」
幸雄は目の前にある充血して外に剥けた花弁の上、ピンク色の粘膜にまた唇を圧しあてた。
舌は易々と括約筋の門を突破し、深くに分け入った。花弁から溢れて糸を曳いているのはしをりの体液か、由香里の唾液か、垂れ下った自分の唾液なのか、もう判らない。そこには人差指を挿入し、よくしなう親指で強張った芽を刺激した。
いつの間にか由香里の顔が真横に来ていた。発情した美しい顔は蕩けるように甘く、食べてしまいたい程だ。彼女の手は幸雄のものをしごいている。
指を抜いて由香里の唇に捩じ込んでやった。ヌラヌラ光る指を、まるで棒飴でもしゃぶるように由香里は吸った。吸いながら、空いた方の手の指を二本、しをりの割けた奥部に挿し入れていた。それはすぐ抽送されだした。
幸雄は人差指を由香里の口から抜き、しをりの括約筋に差し込んだ。
濡れた指はたやすくそこに埋まり込んでいく。三本の指が二つの穴を抉りながら出入りする、クチュクチュと湿った音が卑猥だ。
由香里の唇が弛んで開いてきた。幸雄はそこに舌を差し入れた。すぐに由香里はそれを、腹を空かせた鯉のように貪った。その間も二人は指の動きを止めなかった。
やがてどちらからともなく、同時に指を抜き、互いの口にそれを挿入した。
それをしゃぶり終えると、今度は幸雄がしをりの前に指を挿入した。三本だ。由香里も後に二本入れた。これだけ挿入するのは、ふつう相手に対して失礼だ。だが幸雄も由香里もしをりのキャパシティと性向をよく知っているので遠慮はしなかった。そうしながら二人でまたキスしあった。その間指は一層強く動かしている。
「……ああっ! ……ああっ!」
しをりが叫んだ。叫びながらも股を割り、腰を後ろに突き出した。彼女の方から迎え撃ちに来たのだ。
また夫婦は阿吽の呼吸で指を抜き、それを互いに舐めあった。その間、しをりは腹の側から自分の股間に手を伸ばし、自分で自分を刺激していた。
自然に役割が交替し、また由香里が前に、幸雄が後に指を挿れ直した。その時、これも申し合わせたように指が一本づつ増えていた。前に四本、後に三本だ。その動きにしをりの手は一瞬止まったが、すぐに動き出し、また強張った芽を刺激しだした。
二人はまたキスをした。三人の体から溢れ出た液体が口の中で混じりあった。
しをりのそこは今や激しい摩擦に白濁していた。ねっとりとした滴りが糸を引いて垂れ、激しい動きにつれてブラブラ揺れた。遠心力に堪えきれずに千切れた塊がべちゃりと由香里の乳房に跳ねとんだ。股の間からそれを見たしをりが手を伸ばし、その汚れごと由香里の乳房を掴んで手荒く揉んだ。汚れがしをりの指に絡まり、乳首と指の間から押し出され、また垂れて揺れた。
由香里がまた指を抜いた。夫の口へ運ぼうとする。
その瞬間、幸雄はひらめいたものがあった。
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