第四話 初めての依頼完了
「よし、何とか片付いた…」
俺の目の前には討伐証明部位、魔石、その他の三つがそれぞれ山積みになって分けられていた。
討伐証明部位と魔石を〈アイテムボックス〉の中に入れ、その他に分類される内臓、皮は燃やして埋めておいた。これらは元々多すぎるということで迷惑をかけない為にも売らないつもりだ。なのでかなり雑に解体してしまった。その為死骸は見るも無残な光景になっている。
(そういえばこれだけLVが上がったんだし何か別の魔法を覚えていてもおかしくはないよな……)
最後に見たときと比べると、LVは倍以上に上がっている。
そう思いながら俺は使える魔法を見た。
結果としては光属性以外の属性で使える魔法が一つずつ増えていた。光属性は既にニつ持っているので、増えなくても仕方がないと思った。
それはさておき新たに使えるようになった魔法は、〈
「よし、まずは〈
そう言うと、目の前に長さ三十センチメートルほどの火をまとった矢が現れたかと思うと、そのまま目の前にある木に当たり、そのまま木を貫通した。その勢いで後ろの木にも当たった為、ニ本の木が燃えてしまった。このままだと他の木に燃え移ってしまうと思い、直ぐに〈
「なるほどな……〈
〈
「次は…〈
そう言うと、自分から五メートル離れた場所に高さ三メートルほどの氷の山が出来た。氷が下からせりあがるように凍っていく光景はきれいなものだった。氷の山が出来るのにかかる時間は僅か三秒だった。
「水属性ではようやく戦闘に向く魔法が出たな」
というか直接的に凍らせるんだから結構強い。更に、発動距離も少し意識すれば十メートルまで伸ばすことが出来る。
「そして、〈
そう言うと、風が吹く。とかそういうのはなく、体の周りに風をまとっていた。
「んーどういうことだ?」
名前通りなら何かを強化するものなのは分かる。〈身体強化〉と似たようなものかと思ってその状態で動いてみたら、〈身体強化〉発動中と同じくらいの速度で走り回ることが出来た。他にも素手で岩にひびを入れられるくらいには強化された。ただ、〈身体強化〉のように耳がよくなったり、頭の回転が速くなったりするわけではなかった。
「最後は…〈
そう言うと、目の前に高さ三メートル横幅も三メートルはある大きな土の壁がせりあがってきた。出来るのにかかる時間は三秒ほどだった。
「こりゃまた壮観だな……」
試しに〈身体強化〉と〈
「なかなか強い魔法がそろったな」
この調子でいくと最終的にはどんな魔法が使えるようになるのだろうか…
(災害級の魔法を使えたり…)
何か怖くなってきた。まあ、もし使えるようになったとしてもホイホイ使うことはない…と思う。
空を見上げると、もう日が沈みかけていた。
「もう夕方か…早めに街に戻るとするか」
俺は〈身体強化〉を使って街へ猛スピードで帰った。
冒険者ギルドの中は今朝よりも多くの人がいて、にぎわっていた。酒を飲み、笑いあっている人もいる。
俺はそんな人達を眺めながら通常受付へ並んだ。夕方で、依頼を終えて帰ってくる人が多い時間帯ということもあってかかなりの列になっていた。
十分ほど並んだところで、俺の番になった。
「常時依頼のレッドゴブリンと
「それでは、討伐証明部位を出していただけませんか?」
俺は大量のレッドゴブリンの右耳と
「ず、ずいぶん多いですね…数えるので少々お待ちください」
受付嬢は目の前の光景に驚いているようだったが、直ぐに丁寧に数え始めた。
三分ほど経ち、
「レッドゴブリンが三十五匹、
俺は〈アイテムボックス〉から冒険者カードを取り出し、受付嬢に手渡した。
「こ、こんなに倒せるのにEランク…あ、失礼しました。冒険者カードはお返しします。あと、こちらが報酬金九万五千セルです」
俺は冒険者カードと報酬金を受け取ると、〈アイテムボックス〉にしまった。
「この調子なら直ぐにDランクになれそうですね。DランクになるためにはEランクの間に依頼を百回こなした後に試験を受けて合格する必要があります」
「百回ってずいぶん大変そうですね…」
俺が今日やったのはレッドゴブリンと
そう思っていると、
「いえいえ、あれは一匹で一回とカウントされるのであなたはあと三十五回で試験を受けることが出来ますよ」
今の言葉にうれしくなって叫びそうになったことは秘密にしておこう。
「分かった。色々ありがとう」
俺は受付嬢に礼を言い、その場を離れようとしたら…
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