第52話 キャンプ飯③

 肉を食べたら次に気になるのはアルミホイルの中身だ。


 誰も豪快に開ける人がおらず、そっと丁寧に開ける。


 中身は半分に切ったトマトにチーズとアンチョビが乗っていて、横にブロッコリーが添えてある。

 少し時間が経っていたけど、包んであったおかげかまだ温かく、チーズもとろけている。


 酸味のトマトと、旨味のアンチョビとチーズがうまく調和している。

 見た目がキレイで、味もさっぱりこってりで、ステーキの箸休めに合っている。


 俺:「なんか、前のキャンプと全然違うね。」


 佑:「うん、なんかオシャレ。」


 カケル:「優媛さんのための料理って感じだね。」


 アユタ:「いや、この前のキャンプの時、次は流行りのキャンプ飯って約束してたから、そうしただけ。

 そういえば大聖も何か考えるって言ってたよなー?」


 俺:「あー…オレ、そんなこと言ってた、よなぁ…。」

 俺は誤魔化し気味に苦笑いだ。


 アユタ:「冗談!ただ楽しもうぜ!」


 俺:「おう!」


 2回目の肉が焼けた。


 最後の1枚は、アユタのために焼くと言って、優媛さんが交代する。


 優媛さんもフランベに挑戦するが、ついた火にびっくりしてキャッとか言って可愛らしい。

 家庭料理でフランベなんてしないから仕方ないでしょ!と言って笑って怒ってる。


 優媛さんの表情がくるくる変わる。

 最初に会った頃よりどんどん明るくなってきてる。

 綺麗な人だとは思っていたけど、こんなイメージの人だとは想像していなかった。

 もうちょっとこう、スンとした人なのかなと思ってた。


 ギャップはヤバい。


 アユタは優媛さんの焼いたステーキをすごく美味しそうに食べる。

 アユタの嬉しい顔を見たら、俺達もホッとする。


 食べ終わるとまた鉄板の前に立つ。


 アユタ:「じゃあ、シメ飯はガーリックライスだ!」


 俺:「ガーリックライス?」


 アユタ:「ステーキといえばガーリックライス。ベストな組み合わせだ。」


 佑:「えー、ガーリックなんて食べたらぁ、チューできないじゃん!」


 アユタ:「誰がんなことすんだよ。」


 佑と俺はつい、優媛さんとカケルくんの顔を交互に見てしまった。


 優媛:「ちょっと!何考えてんの⁉︎んなことするわけないでしょ!」


 佑:「だって、外国じゃ挨拶でしょ?」


 カケル:「オレはガーリックの匂いなんて気にしないけど。」

 と優媛さんを見つめて言う。


 優媛:「からかわないで!」

 頬をぷくっと膨れさせ、ちょっと本気で怒ってそっぽを向く。


 ああ、カケルくんて以外に肉食なのかも。

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