第24話 セミファイナル

 『敵の出現!』


 次に現れた敵は、灰色の大きな雲のように見える。


 俺:「これは…何だ?」

 アユタ・佑:「分かんない。」


『SEMI FINAL : RAIN CLOUD 属性〔水・その他〕』


 俺:「セミファイナル、レインクラウド」

 アユタ:「セミファイナルということは、これ入れてあと2回か!」

 佑:「レインクラウドって、やっぱこれ雨雲なんだね。」

 俺:「なんか、今までと違って、キャラじゃないな。ただの雲だな。」

 アユタ:「セミファイナルだから、強いんだろうな。」

 佑:「武器はどうする?」


 俺:「前の属性水のスズラーノの時は女性だったから、オレと佑、まともに戦ってないよね。」

 アユタ:「オレは“雷剣”だ。水にはコレだ。」

 佑:「うーん、雲に普通のソードは効かないだろうね。同じ属性の“水龍の杖”はどうかな?」

 俺:「オレも、空気砲もソードもダメだな。“水龍の杖”しかないよな。」


 俺と佑は水龍の杖を選び、防御アイテムはそれぞれ“雨ガッパ”と“防御マント”を装備する。


 『プレイヤーの攻撃』


 俺:「よし!やるぞ!」

 アユタ:「おー!」


 俺と佑はグルグルと杖を回して敵に突き出す。水龍が現れ、トルネードでアタックする。


 RAIN CLOUDはクルクルと回る。


 俺:「ん?これは効いてるのかな?」

 佑「分かんない。」


 アユタ:「オレもいくぜ!」

 アユタは雷剣を振り下ろす。雷剣から出た稲妻はRAIN CLOUDの中に入っていく。


 アユタ:「何か、効いてなさそう?」


 横の大きなスクリーンに文字が表示される。

『RAIN CLOUDは、トルネードと雷を吸収し、TYPHOONへ進化した』


 俺:「え?進化とかあるの?」

 佑:「タイフーンて、台風だ。強くなったよね、間違いなく。」

 アユタ:「俺達のワザを吸収したんだ!」

 俺:「そんなのアリかぁ?」

 佑:「TYPHOONのHP、全く減ってない!」

 アユタ:「こんなの絶対勝てないじゃん!」


 『TYPHOONの攻撃』


 TYPHOONは暴風雨の雨を降らし、回りながらゴーゴーと音を立て、アバターの上に覆い被さり、ゴロゴロゴロドーンと雷を落とす。


 「痛てー!」

 俺達3人共、ドーンという衝撃を浴びる。防御アイテムはあまり効かず、今までよりも衝撃は強くて痛みも強い。


 俺のHPはほぼゼロに近い。佑も残りあと1/4くらいで、アユタは残り2/3くらいだ。


 俺:「セミファイナル、ヤバイな…。」

 アユタ:「ああ、多分、こっちが攻撃したら余計強くなるよな。」

 佑:「どうしたらいい?もっと痛くなるんだよね?オレ、多分次で終わる。」

 

 俺:「戦い方が分からない。」

 アユタ:「どうしたら…

 そうだ!“知恵の本書”は?」

 佑:「そうだね、オレの見てみるよ。」

 俺・アユタ:「サンキュー!」


 佑:「えーっと、“戦う方法”だね!

 …“優しい風”?」

 俺:「優しい風って…何?」

 アユタ:「まあ、そよ風とか?」


 俺:「あ!“うちわ”あるよ。でも、うちわなんかで効く?」

 佑:「オレも“うちわ”だ。」

 アユタ:「オレは“扇子”がある。“知恵の本書”のとおりなら、効くんだろ。下手に攻撃してまた進化しても困るからな。」


 俺達は“うちわ”と“扇子”で戦うことにした。

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