第25話 セミファイナル②

 『プレイヤーの攻撃』


 俺達は、うちわと扇子を上下左右に振ってTYPHOONを仰ぐ。


 …何も変化がない。


 俺達はバタバタと力を入れてさらに仰ぐ、


 …無反応だ。


 アユタ:「何だこりゃ?」

 俺:「これじゃダメだ。攻撃だと認識すらされてない。」

 佑:「“知恵の本書”、嘘つきか?」


 アユタ:「オレの“知恵の本書”も使ってみる?一緒かな?」

 俺:「ダメ元で使ってみよう!このままじゃ全然分かんない。」


 アユタは“知恵の本書”を使う


 アユタ:「ええと、“ウイング”だって。あ!“翼”か!」

 俺:「オレ持ってる!」

 アユタ:「オレもある。ここで使うのか。」

 佑:「ごめん、オレ持ってない。邪魔しないように、“ピコピコハンマー”にするよ、いい?」

 俺:「うん、その方がいいと思う。」

 アユタ:「ピコピコハンマーも案外効くかもな。」


 俺とアユタは“翼”を装備する。

 てっきり背中から天使のように生えてくると思ってた翼は、なんと手が翼に変わったのだった。


 俺:「ビミョー…」

 アユタ:「なんか、コントするやつみたいだな。」

 佑:「2人並ぶと余計おもろい、ぷぷ。」

 アユタ:「笑うなよ!」


 俺達は改めてTYPHOONに攻撃する。


 加減が分からないが、両手を広げてバタバタと風が届くように閉じて広げてを繰り返す。

 

 すると、TYPHOONはふわふわっとしてほんの少し小さくなる。


 佑も一応“ピコッ”と攻撃する。


 HPは1/5ほど下がる。


 俺:「なんか、戦ってる感じしない。」

 アユタ:「オレも。てか、倒すのに回数かかるな。」

 佑:「オレ確実にやられる自信ある。」

 アユタ:「オレもギリかも。」


『TYPHOONの攻撃』


 TYPHOONはさっきより少し風が弱まったような雨風を降らし、グルグル回ってまたドーンと雷を落とす。


 俺達への衝撃はさっきより若干弱くなってるように感じる。


 俺のHPはほぼゼロに近かったので、やっぱり空になった。

 俺は“復活の呪文”でHPを全回復する。


 佑はもうギリギリのところまで下がり、アユタは2/5くらいまで下がる。


 『プレイヤーの攻撃』


 俺とアユタはまた翼になった手でバタバタとTYPHOONを仰ぐ。

 佑もまた“ピコッ”と叩く。


 TYPHOONはまたほんの少し小さくなり、HPは3/5くらいになる。


 俺:「一応、効いてはいるな。」

 アユタ:「でもなんかまどろっこしいな。」

 佑:「さっきのクマの方がよっぽどセミファイナル向きだよね。」


 俺:「多分、ここではオレ達のHPを下げるのと、時間稼ぎが目的なんだろうな。」

 アユタ:「やっぱ10万ポイントはやらん!てか?」

 佑:「えー、ツリかよ!」


 俺:「そもそもこのゲームの分てお金払ってないし、中級コースも初級より高いとはいえ500円だし。それで10万ポイントって、まあ簡単にはねぇ…。」

 アユタ:「それにしたって、せめてファイナルまでは行きたいな。」

 佑:「オレは次でもうアウトだ。」

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