第21話 第五ステージ②

 『メタルベアートの攻撃』


 「くるぞ!」

 メタルベアートが右手を大きく振り上げた瞬間に、俺達は予定していた方向へ逃げる。


 予想通り上半身の辺りを思いっきり引っ掻いてくるような仕草だ。

 

 だが、俺はつまずいて派手に転んでしまった。

 まるでバレーボールのスライディングレシーブのようだった。


 「ああー!」

 と声を上げたのは、アユタと佑だ。

 アユタと佑は思いっきり逃げたけど、メタルベアートの攻撃が当たってしまったようだ。

 俺は転んだ衝撃で、メタルベアートの攻撃が当たったかどうか分からない。


 佑:「またドンッていう衝撃きたぁ。」

 アユタ:「俺も。そんなに痛くはないけどさ、結構イヤだな。端末見なくても当たったの分かる。」


 皆で端末を確認する。

 俺だけ当たっていなかった。


アユタ:「うつ伏せが正解かぁ!」

佑:「そりゃ横に逃げてセーフになるばっかりじゃゲームにならないよね。」


 アユタのHPゲージは残りわずかになる。

 佑は攻撃が当たったけど、防御マントのおかげか残りは半分くらいだ。


 アユタ:「…ここで“秘薬”使ってみようか。」

 佑:「自分に?敵に?」

 アユタ:「そりゃ、自分にだろ。賭けだ。」


 アユタは“秘薬”を選択し、『自分が飲む』にする。


 『アユタは眠った。一ターン休み。

 その間の敵の攻撃は受け、その分HPは減るが、その後にHPは完全に回復する。』


 アユタ:「どういうことだ?」

 俺:「自分の攻撃と敵の攻撃一回ずつ休みだけど、敵からの攻撃ダメージは受けるよってこと?それをしのげばHP回復するんじゃない?」

 佑:「HPが0になったら?」

 俺:「それは…それでも大丈夫なんじゃない?」


 アユタ:「あ、続きがあった。」


『休みの間にHPが0になった場合、“デッド”となり、HPは回復しない。』

 

 アユタ:「えー!そんなのアリかぁ⁉︎そういうの、使う前に説明しろよな!」


 佑:「じゃあさ、このままやっちゃうと、ダメって事だよね?」

 俺:「どうする…?」

 アユタ:「いいよ。元々さ、どうなるか分からない前提で使ったわけだし。」

 佑:「そうだけど…。」


 俺:「じゃあさ、俺のを敵に使ってみる?そしたらさ、敵も寝ちゃうんじゃない?」

 佑:「それいいかも!」

 アユタ:「いいのか?使っちゃっても。」

 俺:「もちろん!」


 俺は自分の“秘薬”を選択し、『敵に飲ませる』を選ぶ。


『メタルベアートは眠った。一ターン休み。

 その間の敵の攻撃は受け、その分HPは減るが、その後にHPは完全に回復する。』


 俺:「え?これじゃメタルベアートも回復しちゃうんだ。」

 佑:「攻撃するだけ無駄だよね。」

 俺:「ピコピコハンマーでもいいくらいだな。」


『プレイヤーの攻撃』


 俺と佑はただの消化試合を、気が抜けた状態で攻撃する。

 やっぱりほとんど効果は無い。


『メタルベアートの攻撃は休み』


 アユタとメタルベアートのHPは完全に回復した。

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