第22話 第五ステージ③

 アユタ:「大聖、サンキューな!」

 俺:「いえいえ。」


 アユタ:「オレさ、休憩の間に持ちアイテム見てたんだけど、“殺虫剤”あるんだわ。これって、“ガスバーナー”と一緒に使えないかな?」

 佑:「どういう事?」

 アユタ:「スプレーってさ、ガス入った可燃性のものだと火を近付けると燃えるんだよね。実際に現実でやっちゃったら人にも燃え移るとか爆発するとかの可能性があって、すごい危ないんだけど、ゲームの中なら火炎放射器みたいにならないかな?」

 俺:「ナイスアイディア!」

 佑:「でも、2個の武器使えるかな?」


アユタ:「まず、“ガスバーナー”選択…、“殺虫剤”…お!大丈夫だ!」

 俺:「良かった!」

 佑:「どうやったら思ったように使えるかな?」

 アユタ:「んー、仕草的には“前ならえ”みたいな感じでいけるんじゃないかなと思ってる?」

 俺:「やってみよう!」


 『プレイヤーの攻撃』


 アユタが思い付いたポーズ、両手を頭の上から胸の方まで振り下ろし、“前ならえ”のポーズをする。

 殺虫剤の噴霧とガスバーナーの火が合わさって、大きな炎となってメタルベアートへ向かっていく。

 メタルベアートはもだえる仕草をして、かなり効いているようだ。


 俺と佑も攻撃する。


 メタルベアートのHPゲージは一気に半分近くまで下がる。


アユタ:「やったぁ!すげぇ!」

俺:「本当だ!火炎放射器になった!」

佑:「アユタよく思いついたね、すごい!」


『メタルベアートの攻撃』


 俺:「来るぞ!」

 アユタ:「うつ伏せだな!」

 佑:「オッケー!」


 メタルベアートが右手を振り上げたタイミングで俺達はうつ伏せになる。


 避けれた!


と思った瞬間、今度は左手で地面を削り取るるようにくじってくる。


 「うわ!痛て!」


 3人共、背中にビリッとした感触を受ける。


 攻撃は当たってしまった。


 佑:「ドンもビリもヤダー!」

 アユタ:「うつ伏せもダメだったか。」

 俺:「やっぱ2回も同じ手は通じないかぁ。チェストプロテクターも背中は防御してくれない。」


 佑:「仰向けになる?」

 俺:「倒れる時、頭強打しそうだ。それにこのプロテクターはお腹はカバーされてないから意味無さそう。」


 HPを確認すると、俺とアユタは1/3減って残り2/3くらい。佑はやはりマントのおかげで残り1/3よりちょっと少ないくらいまでしか下がっていない。


 佑:「俺、ここで“秘薬”使っていい?一回休みになっちゃうけど。」

 俺:「もちろんいいよ!佑はマントの防御あるから、もう一回攻撃受けても大丈夫そうだし、このタイミングしか無いよな。」

 アユタ:「うん。俺もそう思う。」


 佑は“秘薬”を使い、一回休みとなる。


『プレイヤーの攻撃』


 アユタはまたダブルアイテムで火炎放射器を作り攻撃し、俺は空気砲を撃つ。


 攻撃はしっかり効いて、メタルベアートのHPが残り1/4くらいになる。


 「あー!」

 アユタが叫ぶ。


 俺:「どうした?」

 アユタ:「“殺虫剤”が空になって、終わっちゃった…。」

 佑:「えー⁉︎たったの2回で終わりなんだぁ。どうする?勝てないかもしれない…。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る