第49話あの2人、仲いいんですね、ああ
【あの2人、仲良いんですね、ああ】
「ん?」
「かっくん、忍ちゃん、誰なの?」
「ああ」
「……」
「あっ、はじめまして、私、高木先輩と同じ読書部の1年、新木恵と申します、あのー高木先輩の幼馴染さんですよね」
「……はじめまして、かっくんの許嫁の柴田栞です、そう、あなたが1年の妖精さんね」
「はあ、周りがそんな事言ってますが、妖精でもなんでもない、ただの高校生です。それより高木先輩の許嫁なんですか?」
「そうよ、許嫁」それを聞いてた忍が
「ちょっと、それって小学生の時の話でしょ」
「だから、それはこの前も言ったじゃない、ちゃんとかっくんに確かめたって」
「でも、それって斎藤さん対策でそうしたんじゃないの?」
「それは、許嫁ってかっくんと確かめ合った後に斎藤さんが現れたんだって言ったじゃない」
「じゃあ、かっくんが許嫁って言ったの?」
「それは、私が公園でかっくんに覚えてる?って聞いて……」
「やっぱり、それだったら、私なんかかっくんのおちんちんを『うわー!!!』何よ」
「あのね、こんなに人がいっぱいいる所でそんな話はしないの!」
「だって、栞ちゃんがこんな場所で “許嫁” って言うからじゃない」
「許嫁は本当の事だもの 」
「じゃあ、私だって本当の事だもの、かっくんのおちんちんを『だから、それはダメだって』何よ!」
2人のやり取りを見ていた新木さんが俺に
「あの2人、仲、良いんですね」
「ああ、いつもああやってじゃれあってるんだ」
「そうなんですね、なんか良いですねー」
「ああ」
「高木先輩は許嫁がいるのに、従姉さんと恋人なんですか?」
「いや、まあ、その、何と言うか、色々あって……」
「はっきりしないんですね。ひょっとして、高木先輩って、イケメンを良い事に、女を弄ぶ屑なんですか?」
「屑って……、弄んでるわけじゃなくて、あの2人は小さい頃から一緒に遊んでた仲で、今もそれが続いているっていうか、俺に何かあったら助けてくれる大切な人だから、それにイケメンじゃないし……」
「そうなんですね、でも、許嫁がいるのに恋人もいるって、まずいんじゃないんですか?」
「ああ、許嫁がいて恋人がいるのは、やっぱりまずいよな(特に俺みたなモブは)、でも許嫁っていうのは、栞が小学校4年の時の話を今でも守っているっていうか、それに恋人って言うのは、忍が栞と相談して俺のためになってくれたから」
「えっ? 幼馴染さんと従姉さんが相談して恋人?……許嫁が恋人を……」
そう言いながら難しいか顔をしながら考え込んで、急に顔を上げたと思ったら
「あっ、わかりました!2人ともラノベが好きで、高木先輩と2人が、そんな設定をしてみたんですね、そっかーそうなんだ。3人でラノベの中の人物をリアルで設定して遊んでるんだー、そっかー、なるほどねー」
「いや、その、別にラノベをリアル設定したんじゃないんだけど……」
「いいですよ、恥ずかしがらなくても、まあ確かに、そんな事する人って、かなりのアレですけど、大丈夫です。この事は誰にも言いませんから、安心してください、私も読書部の一員なんですし、ラノベリストとして理解できます。はい! 問題ないです、モーマンタイです。」
「はあ」
よくわからないけれど、とりあえず新木さんが違う方面で納得したみたいなので、これ以上この話をしても、寝た子を起こすようなものだから、このままそーっとしておこうと思った。
しかし、あの2人は俺の部屋じゃない所でも、こんなにじゃれあっているんだ、ほんと仲が良いよなーって思うけど、さっきから忍が俺のおちんちんって、言ってて、周りの通行人がその度に忍を見てるんだけど……まずいよなー、俺も恥ずかしくなって、忍に近づいて
「忍―、さっきから『俺のおちんちん』って連呼してるけど、その度に通行人が忍の方を見てるぞ」
「えっ?」
「ほら」通行人が忍と栞の方をチラチラ見ていることに気付くと、2人とも顔を真っ赤にして
「あー――っ」そう言って隠れるように俺の背中に張り付いた
「かっくん」
「ん?」
「ちょっとだけ、このままでいい?」
「ああ」
周りの通行人が流れて行き、HENTAI?に見られていた俺達がただの通行人になった頃、
「「フー」」2人が落ち着いてきたようなので
「じゃあ行こうか」
「うん」「そうね」「はい!」
新木さんの事をそのまま放置し、2人のじゃれあいが始まって、落ち着いた所で話が戻り
「ねえ、その子、なんで一緒にいるの?」
「ああ、なんでも、ほしいラノベ?が普通の本屋になくって、長野ブロードウェイにある、ある本屋の本店にあるらしくって、それで一緒に来たんだよ」
「そうなの」
「ああ」
「はい、高木先輩と従姉さんが長野ブロードウェイに行くって聞いたので、途中まで一緒に行きたいってお願いしたんです」
「そう」そう言って忍の方を見るんだけど、顔はニコニコしてるけど、目が座ってる……これは……栞が怖い
「そ、そうなの、彼女がかっくんにお願いして、かっくんが良いって言ったのよね。ねっ、かっくん」
「ああ、俺が言った」
「そう、そうなの、わかったわ」
「そうなのよ」
「じゃあ、そこまでは一緒ね」
「ああ」
「はい、よろしくお願いします」
「「はい」」
アーケードロードを通って、長野ブロードウェイに、ここまで来ると、俺も中に入りたくなって
「なあ、俺も3階に行ってもいい?」
「いいわよ」
「じゃあ皆で行こっか」
「はい、従姉さんも幼馴染さんもラノベが大好きなんですよね、そこの本屋は、きっと気に入ってくれると思います、まんががいっぱいあって……そこのBL本の数はすごいんですよ」
「BL……新木さん?BL好きなの?」忍が食いついた?
「好きっていうか、ほら、テレビドラマでもあるじゃないですか、映画にもなった、料理作って2人で食べたり、2人っきりで旅行に行ったりして、それ以外にも、その前にすっごく面白いBLドラマがあったんですよ、会社の同僚たちが皆BLなのにその事に気づかなくって、だんだんはまって自分のBLに気付いていくのとか」
「ふ~んそうなんだー新木さん、おこげ?」
「おこげ?中華料理の?」
「あら、知らないの?」
今度は忍が新木さんに説明し出して、なんか2人で盛り上げっているんだけど、まあ仲良くなる事は良い事だから、うん
「それと、BLとは関係ないんですけど、もう1つ興味があって、あの、男性の筋肉?すごいんですよ、動画で見たんですけど。
こうやって、サイドチェストからのフロントダブルバイセプスを決めてからの大胸筋をビクビクさせて……」
エスカレータに乗りながら、新井さんが忍に一生懸命ポージングをとって説明している、自分でおっぱい触って揺するのは……
「へ~新木さんって詳しいのね、ボディービルダー好き?」
「あっ、瞳でいいです。好きっていうか、見ていてすごいな~って、従姉さんは見た事ないんですか?」
「あー、私も忍でいいわ」
「ありがとうございます、忍さんは、興味ないですか?」
「そうね、私は、それほど筋肉がついていない方が良いかな……かっくんくらいがいいな~」
「あーそういう事ですかー」
「そう♡」
この2人のやり取りを見ながら栞が
「かっくん、なんか、2人で盛り上がっているみたいだけど、新木さんっていつもあんな感じ?」
「いや、俺も初めて見たよ」
「そうなんだー」
「うん」
「面白い子ね」
「うん、忍と合うみたいだね」
「なんか、そうみたいね」
そんな4人はエレベーターの3階で降り、本屋さんへ向かった
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