第46話SIDE 妖精=新木恵

【SIDE 妖精=新木恵】

高木勝典先輩、びっくりです。

だってあんなにかっこいいんだもの。

最初、私に普通に接してきて、いやどらかと言うとあまりかかわりたくない感じだった。

高校に入ってすぐ、周りの男子が私を見て騒ぎだして、学校が始まって草々にクラスの中で派手な男子グループから『学校が終わったら遊びに行こう』『カラオケに行こう』『ボーリングに行こう』って。

あの日も、先輩?2年?の男子からお昼に話があると呼び出されて告白され、いつもお断りばかりして申し訳ないと言うか、そんな気持ちで沈んでいたら、気が付けば階段で足を滑らせて、大怪我をするところを助けられたんだけど、その男子=先輩は、見た所、周りのお友達が言うところの『モブ』『陰キャ』と言われるような髪型と眼鏡にダボダボの標準服、でも自分の身をかえりみず私を助けてくれた。申し訳なくて、そして心配になってあわてて側によって話しかけたら、自分は平気だからって、私の事を心配してくれて、とても良い人なんだなー、人は見た目じゃないんだよねって思って、急いで床に散乱していた眼鏡と参考書、お弁当箱を渡したら、あっ。

かっこいい。

びっくり。

前髪が上がって眼鏡をしていない素顔がとても素敵だった。とてもかっこよかった。

素顔を見てびっくりして、なんて言ったらいいのか……あせって思わずおでこに手を当てて『熱はないですね』って、ハハハ

吊り橋効果?ううん違う、本当にかっこよかったの。

皆、私の事を『妖精』とか言って近寄ってくるけれど、そんな人達とはまったく違う。今まで私に絡んできた男子より素敵な人。

かっこよかった目がキリっとしてて、鼻筋が通っていて。

あれから毎日階段で待ち伏せて、先輩を待っているんだけど、いつもあのうっとおしい前髪、と眼鏡で、周りの人達は先輩があんなにかっこいいんだって事気が付かないんだ。

そんな先輩が、体を張って私を助けてくれたこと

話しかけた時の受け答えがとてもやさしくて、やっぱり良い人なんだって思った。

私はこの学校に入学してすぐ、皆から妖精を言われるようになって、男子からはチヤホヤするのに、先輩の態度は全然そんな事はなく、普通に接してくれる、ううん、どちらかというと避けてる?

そんな事もあって先輩の事が気になって、もっと知りたくて、何度も待ち伏せして、やっと名前を教えてくれて、園芸部の先輩に聞きまわって高木先輩の事を教えてもらったけど、やっぱり皆先輩の素顔の事は知らないみたい。

そうなんだ、高木先輩はラノベとアニメが好きなんだ。

私は先輩とお話がしたかったから、共通の話題を持とうと思って、ラノベについて色々調べて、何か1冊買ってみようと本屋さんに行くと、オオバロ15巻10アニバーサリーという本がなんと1位になっていたので、ちょっと立ち読みをした。

そっか、これがラノベなんだ、今ちょうどⅣのアニメが始まったんだ、急いでアニメを見るため、番組予約して、既にⅠ、Ⅱ、Ⅲのアニメが放映済で、人気作品らしくⅣが始まる所であわててEアニに申し込んでスマホ、家ではパソコンでⅠから順番に観た。最初、あの骸骨のお化けみたいなのがなんで主人公なんなんだろうって不思議に思ったけど、だんだん面白くなって、途中怖いところもあったけど、それから文庫本を1巻からアミゾンで購入し一生懸命読んで、当然15巻も買ったけど、まだそこまで行っていない(けど高木先輩にはアピールできる!!)。

そして、先輩はお昼に読書部でお昼を食べているので、あの階段を通る事がわかり、その読書部の部員は皆変わった人たちばかりでほとんど部室には来ない、普通『お宅』と言われる人達は部室に籠るって友達から聞いたけど、ここの人達は、そういう『お宅』とはちょっと違って、バクドやスタバみたいなカフェにいるから、ここはほとんど幽霊部。

やった!昼は先輩と2人!

昼休みの知らない男子からの呼び出しも断れるし、先輩とも仲良くなれる。

今までは、今日も誰かに呼び出されて告白されるのかーって思うと学校に行くのも憂鬱だったけどこれからは普通の学校生活ができる。

高木先輩に入部したいと言った時、最初はすごく難色を示されて、それでもがんばってなんとか説得、そして先生に入部申し込み書を提出してて、晴れて私も読書部に!!

これから楽しみ。

//////////////////

早速お昼、部室に行くと、高木先輩の他に2人?

あれ????

皆で自己紹介して、でもあまり話もできず、お昼が終わってクラスに戻って、授業が終わって、さっそく園芸部の先輩に斎藤先輩と萩原先輩の事を聞いたら、斎藤先輩は2年生の『3大天使』と呼ばれていて、綺麗で胸がすごくって、とてもやさしくって、萩原先輩は目立たない大人しい人でモブで齋藤先輩の彼氏で、この2人が恋人同士というのは、2年生の間では東校2年の七不思議って言われているらしくって、斎斎藤先輩と高木先輩は両思いでない事がわかって、一安心。

まあ、人の彼氏の事をモブとか、七不思議とか、そういう事を言う人たちは、人を見かけで判断するから、きっと萩原先輩も良い人なんだろうなって思うと、この2人の事も知りたくなって、明日のお昼が楽しみになった。



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