第35話2人ともそれじゃあダメよ
【2人ともそれじゃあダメよ】
「まだ萩原君が好きなんじゃないの?」
「……よくわからない」
「じゃあ、かっくんは?」
「高木君って、素直で正直で一生懸命で、栞ちゃんや忍さんの事、信用してるし、かっこいいし、強いし……素敵だなって……でもしんちゃんとお話するとやっぱり落ち着くっていうか、でもあの事が……」
「あのね、私とかっくんは中学から違う学校だったけど、もし同じ学校だったら、きっと同じことがあったと思うの、かっくんってヘタレでしょ、私達は違う学校だったからそういう事がなかっただけ、って思うのよね~。でもね、私だったらその話を聞いたらかっくんを問詰める、そして思いっきり叱るわ」
「うん、私もそう思う、栞ちゃんだったら、絶対そうすると思った。
忍さんもそうするだろうなって思う。
だから2人と高木君のやりとりがうらやましかった、そして私も素直になれそうだった。
けど、しんちゃんの前ではやっぱりダメなんだ。
なんでなんだろう……」
「そうね、そういう性格なんだからしょうがないんじゃない?でも、だからと言ってちゃんと確かめないで、別の道に進むのって、ずーっと後悔が残るんじゃない? それでいいの? そもそもそんな気持ちで進める?」
「……うん……」
「その、しんちゃんって、ひょっとしてかっくん並みにヘタレ?」
「……うん、そうかもしれない……」
「なんかそんな気がするわ、齋藤さんもヘタレだけど……2人そろってヘタレって大変」
「ごめんなさい」
「なんとなくだけど、齋藤さんの事がわかったわ。
齋藤さんは、本当の自分の気持ちがどうなのか、しばらく考えてみた方が良いと思うの」
「……うん……」
「別に、だからと言って、萩原君?に告白しなさいとか、かっくんをあきらめなさい、とか言わないから」
「うん、わかった」
「またこれからもちょくちょく齋藤さんに連絡するから、ときどき2人で会いましょうね」
「うん、ありがとう」
「じゃあ、今日は、この話はこれでおしまい、3人で遊びましょ?」
「うん」
「ひょっとして、かっくんと2人きりで遊びたかった?」
「……うん、まあ・・・」
「ふ~ん、私がそんな事許すと思う?」
「そうよね」
「そうよ」
「「フフフ」」
30分くらいたっただろうか、栞からRINEが来たので、もう1度だんごとポテチを買って 栞たちのいるところに行くと、齋藤さんはさっきよりすっきりした顔になっていて、栞もちょっとだけどいい顔になっていた。
「かっくん、お待たせ」
「ううん、これくらい平気、あのね池の鯉がすっごくてね えさを投げると、それにすごい数の鯉がよってきて口がパクパクしてるんだけどそれがちょっとすごくて、親指ならすっぽりはいっちゃうくらいの口でね、グロかった」
「そう、おもしろかった?」
「ちょっとキモかった 」
「そっか、じゃあ3人で遊ぼっか」
「うん」
それから3人で ちっちゃな動物園? とか公園内を散歩して、帰りにOO寺駅で スウィーツカフェでお茶をして、齋藤さんと別れた。
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今栞は俺に部屋にいる、
「かっくん?」
「何?」
「かっくんはどう思う?」
「何が?」
「齋藤さんと萩原君の事」
「なにかわかったの?」
「うん、齋藤さんね、6月ころまでは、萩原君の事が好きだったみたいなの、それがね、萩原君が#$%&‘((((“#$%」
事のいきさつを教えてくれた。
「そっか……」
「うん、きっとまだ好きなのかもしれない、と思うの」
「うん……」
「萩原君もそこまでして同じ高校に来たのにね~」
「うん」
「ねえ、もし私がかっくんと同じ高校で、友達に同じ事聞かれたらなんて言うの?」
「……」
栞に見透かされた、そう、俺もきっとそう言うと思う。
栞は俺の答えを待たずに
「男子ってほんと、お子様!ヘタレが多いのよね~」
俺の顔を覗き込みながら
「……」
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
「私は、2人の気持ちを確かめて、お互いまだ好きだったら、結ばれてほしいと思う」
「うん」
「かっくんもそう思う?」
もちろん
「うん」
「そうよね、お互い好きなのに、一緒になれないってつらいよね」
「うん」
「だからかっくんと私で何とかしてあげようね♡」
「うん」
次の日、萩原君に
「今度の土曜って学校終わった後、時間あるかな?」
「ん? どうして?」
「実は、僕の幼馴染の事でちょっと相談に乗ってほしいんだ」
「そういう事か、それならいいけど」
「じゃあ、土曜が終わったら、一緒にOO寺駅で降りて話そうよ」
「いや別にわざわざ OO寺駅じゃなくても」
「いや、学校だと目立つから」
「そうか、わかった、じゃあバラバラで出て、OO寺駅の改札で待ち合わせようか」
「うん」
この時初めてRINE交換した。
萩原君と別れて、教室に入ると 齋藤さんが俺の方を見て、何か言いたそうだったけど、陽キャ連中が齋藤さんの周りを囲んでいたので、それ以上のこと はなく、そのまま何もせずに無事家に帰った。
早速栞にその話をすると
「じゃあ、さっそく作戦会議ね」
「うん」
うんうん、さすが栞、土曜日がんばろう
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