第34話栞が攻める
【栞が攻める】
GW明け、栞との仲が復活してからは、学校生活もぼっちのまま、だけど齋藤さんという友達もできて、それなりに充実している。
佐々木さんという問題は抱えているけど……
でも、俺にとっては快挙というか男子の友達ができた、隣のクラスで齋藤さんの幼馴染の萩原進君。
学校では授業を受けて、朝と昼休みにしっかり勉強し、終わればさっさと帰る。
塾のない日は俺か栞の部屋で一緒に勉強するのが楽しみ。
そういえば、俺が萩原君と知り合いになってから、栞が何度か齋藤さんと会って話をしていたらしく、そのせいかどうかわからないけど齋藤さんが絡んでくる頻度が減ったような気がする。
たまにだけど、萩原君と廊下で会って2言3言だけど、話をしていると、気が付くと齋藤さんが俺達の方を見ている。栞の言う通り、齋藤さんも本当は萩原君のことが気になっているんだ。
栞の言う通り、何とかしてあげたいな。
あいかわらず、佐々木さんは図書室には来るけれど、それほどしつこくされるわけではなく、普段は、トイレに行くときとか、廊下で見かけるけど、いつも男子3―4人に囲まれて楽しそうに話しているし、隣のクラスから佐々木さんの笑い声が聞こえてくるんだけど、だいたい周りには男子が何人かいて、だから俺に気が付いていないのかうまくスルーできて、助かっている。
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11月23日の祝日、塾も学校もない、こんな日は、俺は栞をデートに誘うと決めて、でも言えなくて……どのタイミングで言おうか……もやもやしていたら、栞から
「かっくん、23日なんだけど、齋藤さんを呼び出してくれない?」
「えっ?」
斎藤さん?……栞とデートが……
「萩原君だっけ、彼のこと、ちゃんと聞いてみたいの、かっくんも気にならない?
もし齋藤さんが彼の事が好きなのに、あきらめて別の人を好きになろうとしたら、どう思う?」
俺は栞に・・・そう思うと
「うん、それは・・ダメだと思う。……ちゃんと好きな人がいるんだったら、そんな事しちゃ皆が不幸になると思う」
「私もそう思うの、だから齋藤さんにちゃんと聞いてみたいの」
「うん、でも萩原君は?」
「まず齋藤さんに確認してから、それ次第で、その次に萩原君」
「うん、わかった」
「だから、かっくんが齋藤さんを誘ってほしいの、私も一緒にいるから、ねっ」
「うん」
さっそく次の日朝学校に来てから、齋藤さんにRINE送った、
『話があるからお昼に部室にきてほしい』
『うん』
お昼、部室に行くと、齋藤さんが待っていたので、一緒に中に入って2人でお昼を食べながら
「今度の祝日なんだけど」
「23日?」
「うん、齋藤さんって暇?」
「うん、なにもないよ」
「じゃあ、23日OO寺で一緒にランチしない?」
「どうしたの?高木君から誘ってくるなんて、栞ちゃんは?」
「うん、最近、齋藤さんとあまり話できてないなって思ったから、学校だと目立つでしょ、栞にもちゃんと言ってあるから大丈夫」
「うん!」
「じゃあ、11時、OO寺駅の改札で待ち合わせでいいかな」
「わかった♡」
それからお昼を食べ終わって、先に齋藤さんが教室に戻り、俺はいつも通りぎりぎりで教室に戻る。
そして栞に
『うまくいったよ、23日11時にOO寺駅改札で待ち合わせ』
『OK♡』
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23日(祝)俺と栞は10時30分、
OO寺駅改札に、栞はちょっと離れたところで俺を見ている。
10分くらいたって齋藤さんがやってきた。
やっぱり3大天使と言われるだけのことはある。
相変わらず私服姿もめちゃくちゃ綺麗。
俺を見て手を振ってきたので、俺もちょっと右手を上げ「齋藤さん」
「高木君、おはよう、待った?」
「ううん、さっき着いたばかり」
「そっか、ちょっと待たせちゃったかな?」
「いや、11時の約束だから、全然平気だよ」
「そっか」そんなやり取りをしていると、齋藤さんの後ろに栞が
「齋藤さん、おはよう」
斎藤さんがビクっとして後ろを振り返る
にっこり笑った栞……でも本当に笑ってないのがよくわかる
「えっ?」
「うん、ごめんね、私が一緒なんて言わなかったものね」
「……」
「今日は齋藤さんに確かめたいことがあって、かっくんに齋藤さんを誘ってもらうようにお願いしたの、騙すような事な事をしてごめんなさい」
「……ううん……高木君がわざわざ私を誘うなんておかしいなって思ってたから」
「そう、じゃあこんな所じゃなんだから
……そうね、いっぱい聞きたい事があるから二のあたま公園にでも行かない?」
「……うん……」
そう言って、3人で二のあたま公園に向かって歩く。
なんだか齋藤さんが暗い、栞を見ると
栞は俺を見て頷くから、わかってるんだろうな。
ちょっと安心して池のにぎわってないほうに橋を渡って行く、ベンチがあったのでそこに座ると
「かっくん、3人分の飲み物と……何か食べるもの買ってきて」打ち合わせどおり、
「うん」そう言って俺はにぎわってる方まで歩いて、売店でコーヒーとお茶2本、そして団子とポテチを買って……橋を渡ろうとしたら、池にえさ?を投げている人がいたので、思わず投げたえさの方を見てみると、うわっすっごい、こんなに大きな鯉が群がってる。思わず池を覗き込んで、しばらく鯉が口をパクパクするのを見てから栞にRINEをすると、
『もう少しいい?』
『うん』
栞に言われたとおり、最初は2人だけで話すから、と言ってたので、しばらく、にぎわっている方でベンチを探して座って、栞から連絡が来るまで、コーヒーを飲みながら団子を食べた。
しばらくかかるだろうな……コーラとポテチを追加……
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「齋藤さん、かっくんは池の鯉を見たいんだって、だからしばらく来ないと思う」
「うん」
「あのね、今日呼び出したのは、ちょっと確かめたい事があるからなの」
「うん」
「どうしたの?」
「うん、高木君に誘われて、改札で栞ちゃんを見たとき、何かあるなって思ってたから」
「そう、じゃあ単刀直入に聞くけど、齋藤さんは萩原君のこと、どう思ってるの?」
「どう?って、ただの幼馴染よ」
「ねえ、私とかっくんを見てどう思う?」
「……」
「あなた、本当にかっくんの事が好き?」
「……」
「ここって、いろんな人が遊びに来たり、近所の人が散歩で歩いているだけでざわざわしてるから、カフェと違って、私たちの会話って誰も気にしないと思うのよね~ だから…… 」
「うん」
「齋藤さんって萩原君の事、しんちゃんって呼んでるんだ」
「うん、本当はすすむっていうんだけど、小学校に入学した時、同じクラスにすすむ君っていう子がいて、すすむちゃんって呼んだらいっつも2人が振り返って私のところにやってくるから、それからしんちゃんって呼ぶようになったの」
「ふ~ん、そんな昔からの幼馴染なんだ」
「うん」
「幼稚園から一緒なの?」
「うん」
「高校も一緒?」
「うん、しんちゃんって中学の時は東に行けるほど頭よくなかったんだけど、私が東校受けるって言ったら、それから、すごい勉強して、秋に先生が受けていいって言われたから、またそれ以上に勉強してそしたら、東に受かって……」
「それって、あなたのことが好きなんじゃないのかな~」
「ううん、しんちゃんが友達に言ってるの聞いちゃったんだけど、私の事好きでもなんでもないって、ただの幼馴染だって……」
「あのね、大丈夫よ、誰にも言わない、それに、ほら、私学校も違うでしょ」
「……うん」
しばらく沈黙が続いて
「私、最初はただの幼馴染って思ってたんだけど、ずーっと一緒だったから……気づいたら好きになってたの、しんちゃんが一生懸命勉強して、同じ高校に来てくれた時、きっとしんちゃんも私のことが好きで頑張ってくれたんだ、って思ったての、だからいつか告白してくれるんじゃないかって、……でも違った」
栞はじーっと齋藤さんを見つめる
「『ただの幼馴染でなんとも思ってない』って、『告白なんてする気はない』って廊下で聞いちゃって……」
「そっか」
「うん」
「そんな事があったんだ、それはつらかったわね」
「うん、私の片思いだった……」
「ちゃんと確かめた?」
「ううん、でも、他に気になる男子がいるって言っても『よかったな』って」
「そっか、かっくんの素顔を知って、かっくんの事を好きになったの?」
「うん、最初は好きっていうか、この人かっこいいなって思って、もっと知りたいなって思って夏季講習を申し込んだの。
そうしたら栞ちゃんがいて、幼馴染で高木君の事が大好きで忍さんも高木君の事が大好きって、2人とも自分の気持ちに正直にちゃんと前向きに伝えていて、それを見ていたら、楽しくて、気持ちよくて、高木君もとてもいい人だってわかってきたら、彼なら好きになれるって思って……」
「そう、でもこの前私が電話で話してから考えるようになったんだね」
「……うん……」
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