第29話今度は別の3大天使?

【今度は別の3大天使?】

記念祭も終わり、またいつもの生活に戻る。

ちょっと困ったことが1つ。


俺が図書委員の当番の時、図書室のカウンターにいると決まって隣のクラスの佐々木さんがやってくる。


小さな声だからいいけど、決まって

「今日は何時に終わるの?」

「終わったらちょっとつきあってほしいんだー」

「すみません、用事があるんで」

「この前もそう言って逃げるように帰ったよね」

せっかく齋藤さんと栞が友達になって、ぼっちいじりじゃないってわかって、俺ともお友達になって、そのおかげで静かな学生生活が送れていると思っていたのに、新たなぼっちいじりが……


佐々木さんはとなりのクラスの、かなり陽キャ、よく言えば天真爛漫、明るくて誰とでもすぐに仲良くなることから、男子からは絶大な人気を誇る齋藤さんと並ぶ3大天使のうちの1人。


ただすぐに皆と仲良くなるけど、ちょっと距離が近すぎるので勘違いする男子が多く、告白トラブルが多いらしい、そういうときに齋藤さんが間に入って助けているんだそうだ。


確かに齋藤さんの言う通りだと思う。

俺は図書カンターで受付をしているとき、初めて話しかけられたけど、昔からの親しい友達のような感覚、それもかなり距離が近い。

話したこともなく、名前も噂で聞いたくらいで、何も知らないのに、突然

「ねえ、今日何時に終わるの?」

「????」

「終わるまで、本でも読んで待ってる?それとも校門で待ってようか?」

「あの~、お会いするのは初めてだと思うんですけど?」

「あっ、そっか、高田君と話すの初めてだったね♡」

「高木です」

「ごめん、知ってるんだけど、つい間違って高田君って言っちゃうんだ、ごめんね」

「はあ」

「私の事知らないの? 一応これでも3大天使、って言われてるんだけどな~……ちょっとショック~」

3大天使……知っている。

齋藤さんもそう呼ばれてる。

「……齋藤さんなら知ってるけど」

「あっ、裕子ちゃん?うん、彼女は私の親友……みたいのものよ?♡」

「はあ」

初めて話すのにその距離……なんか怖い……栞・どうしよう……

「私の名前は、佐々木彩、覚えてね♡」

「はあ」

「で、高木君って図書委員なんでしょ?今日の当番は何時まで? 終わったら一緒に○○寺でお茶しようよ」

「すみません、今日は用事があって、終わったらまっすぐに、行くところがあるんで」

「いっつもそう言って避けるのよね」

「いえ、本当に用事があるんです。」

「じゃあ、どんな用事があるかちゃんと言ってよ」

「これから塾があるんです、だから」

「そう、それじゃあしょうがないわね、じゃあまた明日ね」

「はあ」

そう言って手をひらひらさせて図書室から出て行った。

「ふ~っ」

なんでこう目立つ人から、ちょっかいをかけられるんだろう。

齋藤さんといい、佐々木さんといい、3大天使と言われるくらいの人なんだから、俺みたいなボッチをからかう暇があったら、陽キャ連中と一緒に遊ぶ方が楽しいはずなのに。

明日は栞とデート、春から約束していた、栞の誕生日が平日なので日曜に、って言っていた日がやってくる。

明日デートなんだけど、いつもと変わらず栞が俺の部屋にやってきたので佐々木さんの事を話すと、今までにないくらい眉間にしわを寄せてうなっている

「う~ん困ったわね……」

栞が真剣に俺の事考えてくれてる、

「栞、ゴメンね、こんな相談ばっかりで」

「ううん、いいの、そうやってなんでも言ってくれた方がうれしいんだから」

「ほんと?」

「うん♡、だから学校であった事はなんでも言ってね♡」

「うん」

「それにしても、その佐々木さんって女子は要注意よね、今まで話したことないんでしょ?」

「うん、クラスも違うし、他の人達が3大天使って言ってるから名前は知っていたけど、今まで挨拶もしたことないし、話したこともないんだよ」

「齋藤さんみたいな人だったら、お友達になって、かっくんとも仲良くできそうだけど、ちょっと怖いわね」

「うん、どうしよう」

「とりあえず、今は図書室でしか声をかけてこないんでしょ?」

「うん」

「齋藤さんに聞いてみるけど、今は様子を見てみるしかないないかな、何か対策を考えるまでは、図書室以外では会わないように気を付けるしかないわね、なるべくすぐに対策を考えるから」

「うん、栞、ありがとう」

「いいのよ、これからも、そういうことがあると思うから」

「えっ、そうなの?」

「うっ、うん、まあね」

「そっか・・・まだあるのか……」

「かっくん」

「うん」

「大丈夫、私に相談してくれたらちゃんと解決してあげるから」

「うん、なんかいっつも栞に頼ってばかりで・・・」

「もう、そんなこと気にしてるの? 大丈夫、私は全然平気だよ、かっくんに頼られる方がうれしいんだよ、ほんと、だから気にしないで、ねっ♡」

「栞~」

「はいはい」そう言って俺の頭を撫でてくれる。

本当に栞はやさしい、俺の面倒ばかりでごめんな。

 

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