第30話栞とデート

【栞とデート】

次の日、いよいよ待ちに待った9月23日、日曜日。

俺は朝からそわそわしながら、栞に選んでもらった服を着て、駅前で栞を待つ。

栞のマンションに迎えに行くと言ったら、デートなんだから、よくカップルがするように駅前とかで待ち合わせしてみたい、って言われて、駅前改札口で待つことに。

10時の待ち合わせが……9時に着いてしまった。

アハハハ、我ながらどれだけ栞の事が好きなんだよって思っていると、10分もしないうちに栞がやってきた。

「栞?」

「あっ、かっくん、おはよう」

「ちょっと早くない?」

「うん、そういうかっくんだって早くない?」

「うん」

「ひょっとして、私とデートするのがそんなにうれしくて、思わず早く着いてしまったとか?」

「……」

「そういうときは、『ハイ』って言うんだよ?」

「はい」

「素直でよろしい」

「うん」

「じゃあ、いこっか」

「うん」

今日の栞はいつにもまして綺麗だった。

思わずじーっと見ていたら

「何?」

「ううん」

「見とれてた?」

「……」

「かっくん、正直に言いなさい」

「はい、見とれてました」

「そう、どう?」

「うん、とても綺麗です」

「そう、よかった、かっくんもかっこいいよ♡」

「ありがと」

 栞、こんなぼっちの俺をいつもそう言ってほめてくれる。

栞、知ってる?俺、栞の事が大好きなんだよ?

2人でデートなんて、夢のような事なんだ。

だから、うれしくてうれしくて……

ほとんど毎日のように栞と俺は一緒にいるけど、やっぱりデートとなるとやっぱり気分が違う。

毎日一緒にいるときは、幼馴染だからって感じるんだけど、デートって……恋人同士がするものだから……。

そのまま電車に乗って水族館に、

「かっくんと水族館デート♡」

「うん」

「それだけ?」

「……うれしい」

「そうね、わたしもうれしい、デートなんだから、ずーっと手は離しちゃダメよ」

「うん」うれしい。

ずーっと手をつないで2人で……

「かっくん、ここの水族館ってアリクイの親子がいるんだって、それがとってもかわいいんだけど、よく脱走するから、その建物に入るには2重ドアとか結構厳重に管理されてるんだって」

「そうなんだ、楽しみだね」

「うん♡」こんなに喜んでいる栞の笑顔がとてもまぶしくて、ずーっとこの笑顔を見られたら・・、

やめよう、今日はせいいっぱい栞とのデートを楽しむんだ

そのビルに入ってずーっと奥まで歩いて行くと、水族館いきのエレベーターが、そして水族館に

オー ペンギンが空を泳いでいるように見える、カワウソが滅茶苦茶かわいい。

2人で色々みながら、一番の目的の建物へ

いた! アリクイってこんなにかわいいんだ、知らなかった。

栞の瞳がキラキラ輝いている。栞の方がかわいよ……なんて……

「かわいい!」

「ほんと、かわいいね」

「うん、ネットで見たんだけど、実物はもっとかわいい、ふんわりしていて白黒の感じがぬいぐるみみたい♡」

「ほんと、こんなにふわふわしてるんだね」

「うん」

それから、他の水槽も見て回って、最後にまたアリクイを見て、アリクイのぬいぐるみを買って、水族館を後にした。

それから59階の中華料理屋さんでちょっと遅めのお昼を

「あのアリクイっていつも見れないんだって、よく脱走するし、高齢だから公開期間を限定しているらしいの、だから今日、見れてよかった」

「そうなんだ、よかったよ」

「うん、きっと私たちのために、見せてくれたんだよ」

「ははは、まあそういうことにしておこうか」

「そうよ、私たちの記念すべき初デートなんだから」

「……うん」

デート?そうだよデートだよ、栞とデート……

急に、俺のテンションが上がって、うれしくてうれしくて。

それから、2人で商業施設の中をいっぱい見て、ついでに洋服も買って、おいしいケーキを食べて、そこで、プレゼントを渡した。

俺ははっきり言ってそういうセンスはなく、だれかに聞こうかと思ったけど、聞けるような相手は齋藤さんしかいないし、学校で俺から齋藤さんに話かけるのはまわりの目があるから怖い。

結局、記念祭が終わってから毎日OO寺駅で降りてて色々見て回って、ネックレスとかも考えたんだけど、そういうのは好き合ってる人同士がプレゼントすればうれしいんだろうけど、俺はただの幼馴染ででも身に着けてほしい……腕時計に落ち着いた。

タックトックという時計屋さんで女性向けの腕時計を見ていたら、店員さんが寄ってきて色々進められ、ちょっと変わったのが目に入った。

一見おもちゃっぽい作りの時計だったけれど、お店の人曰く、綺麗でおしゃれな女性が遊び気分で買って行くらしく、メーカーもしっかりしているんだそうだ、俺はよくわからないけど。

ムーブメントもしっかりしているから普段使いもできるというので、それに決めた。

たしかに見た目は一瞬おもちゃみたいに見えるけど、

店員さんに言われてみると、栞が付けるとめちゃくちゃかっこいいかも。

お願いしてちゃんとリボンを付けてもらったんだ。

この中華料理のお店、結構高級な感じで、親同伴ならいいけど、高校生が2人でこんなお店を予約して入って見たら、やっぱり場違い?を思っていたらお店の人が妙に頭が低くて、なんとか平常心のふりをして言われるまま椅子に座る。

いつも思うんだけど栞や忍と2人で来る時のお店の人はすっごく対応がいいんだ、それも俺に対して。

きっと、とびっきり美人の大人っぽい女性と一緒にいるから、さえない男だけどそういう対応をしてくれるんだろう。

注文を取りに来るのも、料理の説明をしてくれる時もニッコリしながら俺に向かってしてくれて、う~ん緊張マックス……ちょっときつい。

でも、せいいっぱい背伸びしている俺の事を配慮してそういう対応してくれてるんだよね、

さすが高級料理店、店員さんありがとう。

大きなゲームセンターもあったけど、きっとそういうのが好きな人達は楽しめるんだろうけど、俺達2人ともゲームはしないから、ぶらぶらするだけ、2人だと色々なお店を見るだけでも楽しい。 

これがデートなんだな~好きな人と一緒にいるって、こんなに楽しいんだ。

いつも、食材の買い物や俺のセンスのなさから、俺の服を買うのに一緒に出掛けるけど、俺はそれでも楽しかった、うれしかった。

でもデートって、2人で一緒に楽しむためだけに出掛けるっていうだけで、こんなに気分が違う。

今日1日、夢心地のまま家に帰った、1人ベッドで寝転んで……今日1日を思い出す

俺は天井に向かって思わず「栞、大好きだー!」声をだしてしまい、あわてて回りを見渡すと……誰もいなくてほっとしたら、 ガチャ……栞がニヤニヤしながら

「かっくん、今なんて言ったの~?」

「いえ、何も言ってません」

「そう?」

「はい」

「ふ~ん、まあいいわ、ヘタレなかっくん♡」

さっきまでデートしてたのに、

帰ってきたばっかりなのに、いつものように栞が部屋に、いつもと変わらない態度の栞、

思わず栞とのデートは夢だったのか? って

「どうしたの?」

「いや、別に」

「はは~ん、さっきデートしていたのに、いつも通り部屋にいるから驚いているんでしょ」

「……うん」

「夫婦になったらこんな感じよ♡、2人一緒に住んでいるんだから、デートして帰ってきても、同じ家に一緒にいるでしょ?私たちは普通の恋人じゃなくて許嫁なんだからね♡ 2人でデートの余韻を楽しむのもいいかなって」

それから2人でずーっと今日のデートの楽しかった話をしながら、今度はどこ行こうかとか、もう1度行きたいね、とか、栞は俺にとってはうれしいことばかり言ってくれる。

その日は夢気分で眠りに。

次の日、本当は俺1人でケーキを買ってこようと思っていたけれど、「2人でいこ♡」

2人で手をつないで、歩いて20分いくらいかかるちょっと遠いけど、フランスでパティシエをしていた人が帰国してオープンしたお店というケーキ屋さんに行って、栞がおいしそう と言ったホールケーキを買って、栞のマンションに、おばさんが夜帰ってきて、3人で忍の誕生日をお祝いした。


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