第11話3人で夏期講習

【3人で夏期講習】


次の日、いつも通り栞と一緒に出掛ける。


朝、教室に入ると齋藤さんはまだ来ていなかったので、斎藤さんの席も一緒に取ってあげる。


5分ほどして齋藤さんが入ってきて、

「高木君おはよう、栞ちゃんおはよう」

「「齋藤さんおはよう」」

栞が斎藤さんの耳元で何か話して、最後にお礼をしていた。

斎藤さんは

「いいのよ、でも親しくなったら私もかっくんって呼ぶから※〇それまでは◇%#=‘“*****」

??何の話だ?

無事午前中の講義が終わり、お昼は昨日のように一緒に。


昨日と同じイタリアンで昨日と違うメニューを3種類、同じように1口ずつ分け合って、

「ねえ、高木君、栞ちゃん、この近くにおいしいケーキ屋さんがあって、その中にカフェルームがあるの、講義が終わった後、ちょっと寄ってかない?」

俺はどう答えて良いか・・栞を見ると

「そうね、3人で行くのも良いかもね、じゃあ行きましょう」

「うん」思いっきり嬉しそうな齋藤さん

それから午後の講義は順調に、トイレ休憩も昨日までと違いばらばらでトイレに。

講義が終わり、齋藤さんおすすめのケーキ屋さんのカフェ。


3人がそれぞれショーウィンドのケーキを頼み、紅茶とセットで運ばれるてくる。

「栞ちゃんのおうちって高木君の家の近くなの?」

「そう、同じ敷地内よ」

「同じ? えっ? どういう事?」

栞は俺の顔を見て頷いてから、渋々状況を話す

「えっ?じゃあ、ただの大家さんなのね」

本当の事を話すには、こういう場所ではちょっと……と思うんだけど、どうしようか悩んでいたら

「かっくん、私にまかせて」

「うん」

栞が、心情的な肝心の部分は言わないようにうまく要点だけをまとめて齋藤さんに話してくれた。


栞の父親と俺の両親が医師仲間で、栞の父親が死んだ時、父親の友達である俺の両親に誘われて引っ越してきたこと、その後俺の両親がなくなって、じいちゃんと2人暮らしの俺達のことを栞が面倒を見てくれている事。


「そうなんだ、栞ちゃんが高木君の面倒を見てるんだ……そっか……」

なんか栞が勝ち誇ったように胸を張って

「そうよ」

「そっか……かなりの強敵だわ……」

「ん?」

齋藤さんが何か変な言ったような気がするんだけど……

それから、ちょっと雑談をして、帰ることに

「それじゃあまた明日」

「……ねえ、これから一緒に高木君のおうちに行ってもいい?」

「えっ?」

「明日も夏期講習あるのよ?」

「うん、そんなに長居しないから」

「でも……」

「大丈夫よ、萩久保なんて大江戸温泉なら東長野で乗り換えればすぐだから」

「わかったわよ、しょうがないわね」

結局、俺は何も言えず、栞が齋藤さんに折れる形で3人で俺の家に向かって地下鉄に乗って帰ることに。

駅を降り、10分ほど歩くと俺の家、門をくぐって、

「へ~、高木君のおうちって大きいのね~」

「俺んちってもともとここらへんの農家だったんだよ、だから家は建て替えたり、改築したりしているけど、間取りとかは、基本、その時のまんまなんだ」

「言われてみると、確かにそうかも、昔ながらの家って感じ、この庭も」

「そう、だから、あそこの物置小屋なんか昔農機具を入れていたらしいんだけど、その時のまんまだし、この庭ももともと畑でとれた野菜なんかを出荷する前に処理する広場みたいだったんだ」

「ふ~ん、栞ちゃんのマンションって?」

「あそこ」って指さすと

「ほんと近いんだね」

「うん、表の道路に出ないで、そこの路地から直接行けるの」

「そっか、ところで、家に入れてくれないの?」

「あーそうだった、ごめん」そう言って3人で家に

「高木君の部屋は?」

「やっぱりそうなるわよね」

栞がそう言って、3人で俺の部屋に

「ふ~ん、私男子の部屋って2人目だけど、なんか違う、高木君の部屋ってこんな感じなんだ、思ったより綺麗ね」

「ああ、汚くしていると栞に叱られるから」

「そうなの?」

「そう、かっくんは1人では何もできないから、私がこうやって面倒見てるのよ」

「いつも、栞ちゃんは高木君の部屋に?」

「そうよ、一緒に寝る事もあるの」

「えっ? それって、一緒に住んでるって事?」

「そうよ」

「おい、栞、ちゃんと説明しろよ、勘違いされるだろ」

「えっ?なんで?本当の事じゃない、となりの部屋は私の部屋だし、今日も朝一緒にこの家から出かけたじゃない」

「そうだけど、それはおばさんが夜勤の時、1人じゃあ危ないからって、じいちゃんと話しあって決めたんだろ」

「そうだけど、ちゃんと私の部屋もあるし、昨日も一緒に寝たし」

「いやいや、一緒には寝てないだろう」

「……まあ……となりの部屋だったけど…… 」

「そうなんだ、そうよね、お父さんたちが仲良かったんだものね、うん、1人は危ないもの、それだけよね、そうよね、お母さんが夜勤の時は高木君のお世話は栞ちゃんお願いね、学校では、私が高木君のお世話をするから」


「うっ……」

「うん、今日は高木君のおうちに来てお話できてよかったわ、ねっ栞ちゃん♡」

「そう、よかったわね、でも、学校ではくれぐれもそっとしておいてくださいね、どうかお願いします」

そう言って栞は深々と頭を下げた

斎藤さんはその態度を見てちょっとびっくりしながら

「大丈夫、わかってるから」

「ありがとう」と言ってもう1度頭を下げたので、それは俺の学校でのことを思ってだろうから一緒に頭を下げた。


その後は、3人で、ほとんど栞と齋藤さんだけど、いろいろな話をして、いい時間になったので、2人で齋藤さんを駅まで送って、「「「また明日」」」 

2人で俺の部屋に戻った。

「なあ、齋藤さんと何話してるんだ?」

「何って?」

「2人の会話聞いてもときどきよくわからない内容があるんだけど、いつのまにそんなに仲良くなったのかなって」

「ああ、その事、そうね、そんなに仲良くなったわけじゃないけど、私と齋藤さんが、同じ思いだったことがわかって、それからかな、そうね、まあそこらへんの話は私達2人しかわからないかもね」

「そっか、まあ友達になったんだったら、良い事だよね」

「そう、かっくんの学校の人とお友達になった事は良い事よね、かっくんにもお友達ができたし・・でもかっくんは学校で、ぼっちのままでも平気?」


「まあね、友達はほしくないって言えばうそになるけど、塾もあるしじいちゃんの相手もしなきゃいけないから、時間もないし、それに栞がいるから今のままでも平気かな」

「そっか、そうよね、かっくんには私がついているんだから平気よね、うん」

栞がニコニコしながら、俺の腕に抱きついて、そう言ってくれた。

「あっ、今日の晩御飯お母さんが帰ってくる前に準備しなくっちゃ」

「そうか」

「うん、そうだ、かっくん、今日はうちでご飯食べない?」

「じいちゃんが」

「大丈夫よ、おじいちゃんの分も作ってあげれば」

「そっか」

「おじいちゃんに言ってくるね」

「ああ」そう言って部屋を出て行った、

20分くらいたって栞が戻ってきたので

「けっこう長がったね」

「うん、おじいちゃんとちょっとね、今日はおじいちゃんはおじさんの処に行くんだって、だから晩御飯はいらないって、かっくん、うちでご飯食べるって言ってきた」

「そっか」

「じゃあ、スーパーに買い物に行くよ」


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