第35話生徒会対策

【生徒会対策】


教室に戻ると、皆は実習のため闘技場に、ぽつんと3人、大谷さん達だけが俺を待っていてくれた。


「皆、待っててくれたんだ ありがとう」

「大丈夫、ずーっと待ってたけど、帰ってこないから心配してたんだよ」

楠さんも伊達くんも皆心配してくれたんだ、本当にいい奴ら、良い仲間。

「うん、なんか俺達がさ、誰1人倒されずにCクラスに勝ったのがすごいっていう話を延々とされて、最後は何を言ってるかわからなくって、チャイムがなったから逃げて来たんだ」

「そっか、そんな話だったんだ、よかった、高谷君が連れて行かれる時、叱られるかもって言ってたじゃない、だから謝っても許してくれないのかなって」

「うん、心配かけてかけてごめん そういう話だったから大丈夫、それじゃあ行こうか」

「「うん」」「ああ」


3人で歩きながら伊達君に

「やっぱり伊達君の思っていた事は正しい」

「うん、よかった、臆病に聞こえるかもしれないけど、それでいいんだよね」

「ああ、俺もそう思うよ」


今週からダンジョン復活、俺達は勘を取り戻すため、とりあえず8階層までを何回かにわけて進んでからさゆりさんと一緒に入った10階層まで、但し、今回は10階層のボス部屋の前までを目標にすることにした。


特に伊達君の盾がようやく完成したので、伊達君は盾を試したくてしょうがないようで、ひたすら盾の練習、盾を構えながら大剣を振りまわす練習を繰り返していた。


こうやって見ると、やはり攻撃力の要となる弓が重要になってくるな~。


ダンジョン実習でダンジョンに入った次の日、今度は舘先輩が1人でDクラスにやってきては俺を呼び出した。


それから毎日、会長と舘先輩がDクラスにくるように。


舘先輩はあのまつ毛とネコ耳がかっこいいって、変態袋マンがバージョンアップした、これからが楽しみだ って言ってきて 俺の心境は微妙、スレは滅茶苦茶不評だったのに・・・・・・・


この事をさゆりさんとゆうにレインして、どうしようか相談することに


「うーむ、レベルがばれるよりはいいだろうな、ただ、生徒会の連中と一緒に行動すると、特にそのアサシンの先輩と行動する事が増えると、高谷のレベルがばれる可能性が高まるな」

「そうですよね」

「ねえ、その執行委員って絶対やらなきゃいけないのかな」

「うん、なんかそうみたい」

「そっか・・・」

「入らないという選択肢はないと言う事か、困ったな」

「はい」

「幽霊部員のような立場が許されればいいんだがな」

「はい」


生徒会のメンバーはおそらく皆レベル30で高校ではトップ、探求大学の推薦も決まっているだろう、つまり学校では先生方も含め、正統な主張ならば、誰も逆らえない

・・・レベル30か・・・お願いしてみるか、


「あの、さゆりさんとゆうが調査員のカードを持って生徒会の人達と話すっていうのは」

「なるほど」

「そっか」

2人とも俺よりはるかに頭がきれるから、俺がそれだけ言うとすぐに俺が考えているその先の事までも理解してしまう。

「はい」

「高谷は私達の弟子だから修行に忙しい、邪魔するな。 か」

「はい」

「フフフ」

「おもしろそうだな」

さっそく次の日に生徒会室に、今日は3人、4人欠けているけど会長と舘先輩がいるのでそのまま話をする


「あの、執行委員になるのは構わないんですけど、じつは2人の冒険者に弟子入りしてまして、修行の身なので、執行委員の活動はできないと思います」

「弟子入り?」

「はい、その冒険者の2人に変態マンの動きについても指導してもらっているんです」

「それなら、その修行を生徒会が引き受けるよ」

「無理だと思います」

「高谷君、我々は名門探求高校の生徒会だよ、ここのメンバーは皆レベル30、全員探求大学の推薦ももらっているんだ、その僕達が君の訓練に付き合ってあげると言っているんだよ?」

「あの、レベル30じゃあ、あの変態袋マンの動きの指導はできないそうです」

「レベル30じゃあ?」

「はい」

顔がちょっとだけど引き攣った、まずい さっさと言おうっと、

「協会の調査員って知ってますか?」

「調査員?」

「はい、協会からダンジョンの調査依頼や依頼された素材の狩り取りをしている冒険者なんですけど、レベルが63と61の人なんです」

「63と61?」

「はい、僕の指導をしてくれている人です」

「本当に君がその冒険者に弟子入りしているのかな?」

「はい、会って直接説明しても良いと言ってくれました」

「その調査員の方が我々に会ってくださるのか?」

(おいおい急に口調が変わったぞ)

「はい、ただ、調査員と言う立場なので、大々的に会うのは控えたいとの事です」

「そうか」

「はい、生徒会のメンバーだけで、学校全体に知られたくないとの事です」

「そうか我々だけなら会えるのか」

「はい7人だけです」

「執行委員はダメか?」

「はい、7人だけです」


話しはうまい方向に行ってる、なにせ63と61、探究大学の最終者卒業生でも50、おまけに調査員、滅多に会えない存在。


須藤さんの話からも分かったことだけど、5大パーティーとまでは言えないけど、けっこうそれに近い存在だったんだ。


この態度の急変ぶりに驚きながらも調査員のすごさが改めてわかった。


これはいけそうだ

「いつなら会ってくださるのかな?」

「協会の依頼が結構多いらしく、なかなか都合がつかないらしいのですが、こちらで指定する日程でよければ学校に来てくれるそうです」

「わかった、こちらはいつでも構わないので 調整してくれるかな」

「はい」

すんなりいきそう

さっそくさゆりさんにこの話をすると、

「ゆうの都合もあるから、土曜の午後3時とかはどうだ?」

「はい」

「それじゃあ 今度の土曜の午後3時に、ゆうと2人で 探求高校に行くから 校門で待っていてくれ」

その話を生徒会長にすると

「うん、その時間なら、授業も終わっているし学校には部活の連中と闘技場で訓練している連中しかいないから大騒ぎにはならない、よし、わかった、土曜の午後3時、お願いするよ」

「はい、あの、それと、校門や玄関で待っているのは目立つからやめてほしいそうです」

「そうか・・・わかった、しょうがない、生徒会室で待機しているよ」

「よろしくお願いします」

ちょっと残念そうだった、きっと生徒会7人で校門の前でお出迎えでもしたかったんだろうな、ゆうの予想どおりだった。

さゆりさんとゆうに連絡し、教室に戻って大谷さん達に

「今度の土曜なんだけど、授業が終わってから生徒会に呼ばれているんだ、だから訓練に参加できないんだ、どうせだからこの日はお休みにしない?」

「大丈夫?」

「うん、この前の試合について教えてほしいんだって」

「わかった、ちょっと心配だったけど、そういう事なら大丈夫だよね、気を付けてね」

「うん」


なんか俺、嘘ばっかりついて、イヤになるな~

でも、皆は、さゆりさんとゆうと面識はあるから2人が来たら絶対わかるから。

嘘ついてゴメン


土曜の午後2時50分、校門の前に立っていると、黒塗ハイヤーが おー! パンツスーツに伊達眼鏡姿の超美人2人組。


ゆう?すっごい……大人……

固まっている俺に向かって


「かっくん、こんな感じ、どお?」にっこり

「・・・・・・」

「高谷?」

「はい」

「それじゃあ行こうか」

「「はい」」


3人で生徒会室に、ノックして入ると中に7人が立っていた。すごい、直立不動ってこのことだよね。

テーブルをはさんで壁側に7人、窓側に俺達3人


「初めまして、本日はお忙しいところわざわざお越しいただきありがとうございます」

「いえ、こちらこそ、弟子がお世話になっております」

「改めまして、生徒会長をしている


会長  たちばな 30

副会長1 ヒイラギ 30

副会長2 かつら 30

書記1 だて 30

書記2 あかまつ 30

会計1 すぎた 30

会計2 ひのき 30

・・・・・・・・・・・・・・・・・です」


そう言って名刺を差し出した


「私は調査員をやっている斎藤です」

「同じく司馬です」

「我々は仕事柄、名刺を渡すわけにはいかないので」

そう言って2人が調査員カードを会長に見せると

全員覗き込むようにカードを見て、数名がおーっと声をあげた。


「どうぞお座りください」

そう言って席に座る コーヒーか紅茶か聞かれ

2人紅茶、俺コーヒー


「話をする前に、君達に詫びないといけない事がある。

 豊島ダンジョンの調査が遅れて申し訳ない、本来なら30階層まで調査を終えて、解放しなければいけないんだが、他にも色々な依頼をこなさなければならなくて、調査が遅れている、君達はレベル30と聞いた、本来なら豊島の深層に入りたいだろうが、もう少し待っていただきたい」


「国防軍は?」


「ああ、彼らも忙しくて、ちょうど地方に行っていてね、我々が調査する事になったんだ」

「そうなんですか、大変ですね、そうお気になさらいでください」

「そう言ってくれると助かるよ、今度25階層まで解放するからも少し待っていてほしい」

「はい」


いきなりすごい話を、さすがさゆりさん、完全に調査員やってる。

それにしても、ゆうって本当の俺と同じ歳?


そんな事を思っていると

「さっそくだが、うちの弟子を生徒会に入れたいと?」

「はい」

「申し訳ないが、生徒会に入ったとしても、おそらく生徒会の活動にはほとんど参加できないと思う」

「それは、その訓練が忙しいからですか?」

「ああ、それ以外にも我々の調査の手伝いもしてもらっているんだ」

「手伝いですか?」

「まあ、一緒にダンジョンに入るわけではないが、その間は買取所の事務室で待機してもらっているんだよ」

「はあ」

「それに彼には、クラスのパーティーの活動もあるからね、従って生徒会に入ったとしても、生徒会の活動は難しい、というより、そんな時間があるなら修行しろ、っていう感じかな?」

さゆりさんが生徒会長に向かってニヤっと笑う。

生徒会長はひきつった顔で反論できず

「はあ」

「君達には本当に申し訳ないがよろしく頼む」


そう言ってさゆりさんとゆうが頭を下げた

無事完了、助かった。


さゆりさん、ゆう、ありがとう。

ゆうがチラっと俺を見て小さくピース。 

うん、ありがとう、感謝しているよ

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