第29話国防軍 ダンジョン探求工作隊
【国防軍 ダンジョン探求工作隊】
いよいよ川越ダンジョン。
入口の影に隠れて俺はコンビニ袋、2人はとても綺麗な仮面をつけ、入口で待っていると、黒づくめの軍団が・・・8人やってきた
「この袋被っていると、中が蒸れてきついです」
「まあ、そこは我慢だな、今日は何もしないでただついて行くだけだから、ときどきガッツビーのクール汗拭きで顔を拭いたらいんじゃないか?」
「あっ、それいいですね、・・・でも持ってないです」
「そうか、これからは高谷には必需品だな」
「はい」
って事はこれからも コンビニ袋被る機会があるって事か?
「おはようござます」
国防のリーダーらしき人物が挨拶してきたので
「おはようございます。今日はよろしくお願いします」
「いえ、それでは、私達4名が先導しますので、皆さんはこちらの4名と一緒に入ってください」
そう言われ、まず4人がダンジョンに、続いて2名、その後に俺達3人と後ろに2名の構成。
どうやら攻撃系4名と防御計4名の計8名で、俺達が入ったことでこのようなフォーメーションになったようだ。
川越の1階層は、最初の頃、1度入っているし、ゲームとほぼ同じだったから別段珍しい物でもない、コンビニ袋と仮面のおかげで俺達の表情がわからないので幸いして、気を使わなく済んだ。
国防の俺達の前を歩いている2人が、色々と説明してくれているので、3人は「はあ」「そうなんですね」と適宜相槌を打つ。
国防の人達はさすが国家公務員、お国の人、言葉使いも丁寧でしっかりいてるし、何より俺を変な目で見ない・・・と思う。
俺達3人とも川越ダンジョンは初めて、という認識でちゃんとそれに合わせて対応しくれているのがよくわかる。
途中ハイウルフが3頭現れたが、国防の人は
「大丈夫です、ここはいつもハイウルフが出てきます。想定内ですので安心してください」
俺達を安心させるように言ってくれた、すごく気を使ってくれ、ちょっと申し訳ない気分。
前の4人のうち2人が剣を構え、2人が盾を構える。
俺達の前の盾2人は俺達を守るように、後ろの2人も周辺を警戒している。
俺達3人は、この世界のレベル70代の戦い方を見る良い機会、と思ってさゆりさんとゆうを見ると2人とも、同じように国防の人達をじっくり見ていた。
なかなか動かないと思っていたら、盾を構えていた2人のうち1人が素早い動きでいつの間にか弓を構えて、ハイウルフに矢を数本放っていた。
見事、1頭が倒れ、残る2頭がそのままこっちに向かって走ってくる。
さっき弓を射った人はまた盾を構え、前衛の2人がそれぞれ1頭づつ相手に剣をふるう。
ハイウルフも素直にやられるわけはなく、剣をかわしながら2人から一定の距離をとりぐるぐる回りながら隙を狙っている
一見2人がハイウルフ2頭に囲まれてしまったように見えたが
「大丈夫です、これも作戦のうちですから」
そう言って俺達を安心させてくれた。
また、あの弓が、しかし今度はぎりぎり外してしまったが(それはわざとで牽制が目的らしい、当てて倒してしまうと他のウルフのヘイトがアーチャーに向いてしまい剣士が無視されてしまうからとのこと)、ハイウルフが隙を見せたその瞬間囲まれていた2人が、ハイウルフに向かって走り出し、2人の連携であっという間にハイウルフを倒してしまった。
同じように、国防の人達は連携しながら次々にブラックウルフも倒し
「これで完了です」
「すごいですね」
俺達3人は完全にお客様でした。
ボス部屋の前に到着し
「ここから先にボスMがいます、今回はここまでというお話でしたので、ボス部屋には入らず、このまま戻ります」
そう言ってまた入り口まで戻ったきた。
戻りながら
「ときどき下の階層のモンスターがこの階層に紛れ込んでくることがありますので、注意しながら戻ります」
そう言うと、俺達の後ろにいる国防の人が俺達に
「もし怪我をするようなことがあっても、私がその場ですぐに治療しますので安心してください」
変わった形のメイスを持っていたので、プリーストかまたは回復系魔法を得意とするウィザードなんだろう。
そういえばさゆりさんってプリーストなのに、メイスじゃなくて刀だし、ゆうもウィザードなのに弓を持っているから、俺達の構成にプリーストも回復系ウィザードもいないって思われているんだろうな。
無事ダンジョンから出た俺達は、その場で国防の皆さんに感謝のお礼を言って、その場で別れ、買取所に行った。
買取所では今日、ここで国防と俺達が来ることを知らされているので、俺達3人は、買取所に行くと、わざわざ待っていてくれていたようで、丁寧にあいさつしてくれ、奥の応接室に案内してくれた、ドアを開けると……あ~やっぱり
―――冒険者協会東京本部川越事務所(通称 川越買取所)
「よう」
「はあ」
俺達はソファーに座って、さゆりさんとゆうが仮面、俺がコンビニ袋を脱いで、フーッ、とすると
「どうだった?」
「まあ、1階層ですから」
「そうだよな」
「はい」
「国防の連中は?」
「はい、とてもやさしくて紳士的でした」
「そうかそうか」
「はあ」
須藤さんには、あまり思ったことはそのまま言わないようにしているが皮肉の1つくらい、
「国防の人達はすごい装備を持っている感じでした」
「そうだろな」
「それに比べると、俺達の今の装備だと、ここのダンジョンは厳しいですね」
「そうか」
「はい」
「素材について、なんとかしてみる、とりあえずこれでひと段落、お疲れ様」
「はい、それじゃあ、これで」
それ以上話もせず、さっさと切り上げ、俺達は買取所を後にした。
そして、いつものように俺の家に。
さゆりさんが来たので、待ってましたとばかりに陽が、この前の刀を見せて、それから刀と同じ重さ、同じバランスに調整した木刀(針金ぐるぐる巻き)を見せ、毎日どんな訓練をしているか説明し、次のダンジョンに一緒に行きたいアピールを。
さゆりさんは、いつものように今度、訓練指導をすると約束し、なんとか自分の部屋に戻らせた。
3人で今日の国防の人達についての話し合い
「あのリーダーの剣ですが、さゆりさんの脇差と同じく刃が赤かったですね、もう1人の方は、赤茶の帯が見えました。」
「ああ」
「あの盾に弓が装備されて、びっくりしちゃいました」
「おそらく、他の盾にもそれぞれ自分の得意な武具が装備されているんだろうな」
「それも結構、軽そうでしたよね」
「ああ、いくら訓練しているとしても、あれだけの大きさの盾だからな」
「ゆうの今の弓って、須藤さんから支給された代用品のままだよね」
「うん」
「国防の人が使ってた弓は?」
「うーん、軽そうでいいかもしれないけど、まだいいかな」
「そう?」
「ゆうは、あの弓がほしいんだろ?」
「はい、でもマジックバックがないと無理ですから」
「そうか」
「はい」
「あの弓って?」
「うん、マジックバックにしまってあった弓」
「そんなのがあるのか?」
「うん」
「それはいらないの?」
「ううん、ほしいけど、マジックバックがないとダメなの」
「そうだな、ゆうのあの弓はばかでかいからな」
「はい」
「ふ~んそうなんだ」
「だから、軽くてかさばらないこれで十分」
「そっか」
「うん」
まあ、ゆうは弓を使うとき、弓と矢に魔法付与(エンチャント)を掛けて使っているから、それで良いのかもしれない。
この世界のレベル70の戦いを目の前で見て
「国防の人達は、あんな戦い方をするんですね」
「そうだな、連携がうまいな、そういう意味では国防はさすがだ」
「はい」
「レベルは70としても、あの人数、あの装備、あの連携だと10階層くらいまで行ってそうですね」
「おそらく、一番深く潜っているのは国防だろうな」
5大パーティーは各省庁がバックにいるけれど、どちらかというとスター的要素が高いので、芸能活動まではいかないがテレビや動画配信などでその活躍ぶりがいつでも見れる。
その動きや装備を見る限る、国防はその上のクラスだろう。
国防も警察も、それぞれのイベントの時や何かあった時以外はあまり表に出てこないから、今回国防の人達と一緒にダンジョンに入って、装備や戦い方を直に見れたことはとても参考になった。
まあそういう意味限定で須藤さんには後でお礼のレインを入れておくことに
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