ラストゲーム
「さあ、全員そろったということで、ラストゲームをスタートします」
兄、いや家野持主は、こっちを向きながら言った。すると、彼の後ろの廊下から、複数の足音と驚いたような声が聞こえてきた。
「「「「「「あっ」」」」」」
「お兄ちゃん。無事だったんだ」
「零くん、無事で良かったです」
後ろの廊下からやって来たのは、脱落したはずの六人だった。全員が、脱落したときよりも楽しそうに、そして元気そうにこちらに向かって歩いてきた。
「みんな無事だったんだね。良かった」
安心したのか急に眠くなってきた。床に膝がつきそうになった瞬間、大声が耳から脳に向かって響いた。
「零くん。やっぱり話せたんだね」
「お兄ちゃん、いつの間に話せるようになったの?」
襲ってきていた眠気が消え、疲れが吹っ飛んでしまった。久々のうるささに懐かしさを感じながらも、それを上回るほどの呆れがどこからか湧き出していた。
「あのー、お話終わりましたか?そろそろ、ラストゲームを行いたいのですが・・・」
無視されて怒っているのか、さっきとは口調が変わっていた。
「お兄ちゃん、この人誰?」
麗が聞いてきた。
「この人は、家野持主さん。今まで、ゲームを進行していた人だよ」
「へぇー。そうなんだ」
答えると、麗は興味が無いような返事をした。
「持主さん。ラストゲームを始めてください」
なかなか進みそうに無かったため、自分からゲームを始めるように言った。
「では、これからラストゲームのルール説明をします」
さっきまでとは別人のように進行を始めた。
「ラストゲームは、俺と一対一で戦ってもらいます。合図をしたら、この先にある部屋に一人ずつ入って来てください。このゲームは、皆さんの願いを叶えるだけのゲームです。それでは、相馬蒼くんから来てください」
説明が終わると、二つの廊下が無くなり新しく新しい扉が出来た。持主は、蒼を連れて扉の向こうへ消えていった。
「さて、君の願いは何だ」
持主さんが、取り調べのように聞いてきた。
「相馬碧という人を知っていますか?」
必要最低限の言葉で、持主さんに質問した。
「結論から言うと、知っていました。彼は、一年前からここで働いていました。しかし、今回皆さんをここまで送ってきた後、崖から落ちて亡くなってしまいました」
持主さんは重い口調で話した後、こちらに視線を移した。
「それでは、あちらの扉から外に出てください。全員が外に出次第車を出しますので、外でお待ちください」
そう言いながら持主さんは、俺を帰そうとした。
「帰る前に、お願いしたいことがあります」
俺はその後、願いを聞いてもらい外に出た。
「さて、零。願いを言ってみろ」
今更兄っぽく話さなくてもいいと思いながら、口を開いた
「にれ兄、これから三人で一緒に暮らそう」
自分でも気づかないうちに、口が先走っていた。
「零。その願いは・・・」
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