ACT.26 『燃ゆ!アルテミス対パンツァー』


物語は、いきなり戦闘シーンの後から始まる。



万理架の出血が止まらない!



彩聖が、息が荒い万理架の腹に急いで止血剤を注入する。

「うっ、うん」

意識が戻り、ようやく楽になる万理架。


「状況は..」


「はぁ、はぁ、もう大丈夫だよ」

「でも、どうやって、やつを倒すんだ?」


「いつだって、完璧な物事なんで存在しない」

「完璧に見えても、どこかに弱点はあるはずなんだ」

「やつを絶対止められる!」

「自信はないけど、やるしかないんだ」

合理性はない。しかし、確信めいた彩聖の言葉。


思い切り伸びをする万理架。

「さーて、もう一戦やりますか」とは、

万理架の言葉。


「はい、はーい」

軽い口調の彩聖の指揮は、相変わらず高い。


無人の最新鋭戦車『000-PA(オーパ)』が再び動き出す。


首都高を走り抜け、横浜エリアに侵入したオーパ

馬堀海岸インター出口で待ち伏せする二人。


万理架が放つ70式多連装バズーカが、オーパのジャミングでかわされる。

今度は、集積型熱式レーザーライフルで一気に決着をつける彩聖。アルテミスのエンジン・ジェネレーターから頂いたとっておきだ。

「これでどうだ!」

しかし、又してもジャミングでレーザーが曲がる!


「これでは、私たち自身で街を破壊してしまうよ!」


懲りずに、オーパに予想進路を割り出すと同時に弱点を探る彩聖。

任務が完了するまで、諦めることを知らない。


「外部からの破壊は無理だ」

「しかし、どこかに弱点があるはずなんだ」

「..」

「ハッ、機体後部に、コマンド入力用キーがある」

「わかったぞ!」

「やはり、この化け物を止めるには、機体に備わっている物理キーに、直接暗証コマンドを打ち込むしかないようだ」


あたりかまわず火力が暴走するオーパ


「このままじぁ、駄目だ」

「そうだね」

ボロボロのアルテミスを乗り捨てる彩聖と万理架、アルテミスを囮にする。

コンテナにあった警邏用リッターバイクに乗り換える。そのバイクで、必死の覚悟で無人戦車に取り憑いた彩聖。


「あなたが一番苦しいんだよね」

「わかってるよ」

無人戦車に話しかける彩聖。


彩聖、手持ちの専用PCで凄まじいい量のコマンドを入力する。

「くっ、ダメか?」


「諦めちゃダメだ」


「しかし!」

「いや、そうか。設計者のミゲルは、娘をこよなく愛していた。ならば..」


時間がない

最後に、亡き設計者の娘の名を打ち込んでみるとするか!


「最後の文字は、復音だぞ」

大きな声で彩聖に伝えた万理架。


「わかってますって」


「M」「I」「K」「A」「A」「A」


熱を帯びた無限軌道が、とっ、止まった...。


横浜ベイエリア

横浜新道

横浜横須賀道路

横須賀駅周辺

被害甚大!!


「派手にやっちまったなぁ」


「そうね」

「フフフ」


「フフフ」

「ハハハッハハ」

「無人戦車もまた、被害者みたいなものだなぁ」


「悲しいわね」


「あぁ..」


夕陽をバックに抱き合う二人。



Act.26 『燃ゆ!アルテミス対パンツァー』終





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