ACT.27 『雪降る夜 彩聖一人だけの誕生日』


「ハァ、ハァッ」

「くっ」


MK2に搭乗し、アタックを続けていた万理架まりか

激しい呼吸音と言葉にならない言葉だけが、データーロガーに記録されていた。

一日中、万理架だけの過酷なテストが続いていた。幾ら高度にAI化され、電子制御された機体MK2であっても、扱っているのはいつも人間であるのだ。


とうとう時計の針が午前0時を跨ぐ。


何も知らない彩聖あやせ


ケーキ作りに没頭し、万理架の帰りを待つ彩聖。


午前2時

万理架が帰ってこない。無限の時間に感じているであろう彩聖。

うとうとして、机上のケーキの蝋燭を半目で見つめる。

そして、静かに眠りについた。


「何処にも行かないで」

「万理架...アルテミス...」


その頃ようやく、レヴルージュのテストを終えた万理架。

何を思うか、粉雪舞う寒空を見つめる万理架。

さっと自身の左手をぎゅっと握り、胸に合わせる。




「あと少ししか彩聖と一緒にいられない」

「彩聖...!」




ACT.32 『雪降る夜 彩聖一人だけの誕生日』終




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